データな彼女は、いじめられっ子。

小住人(こすみひと)

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真実という事実

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月人会長の声に皆が注目する。
 ただでさえ、目立つ人が壇上でしかもマイクで、しかもそのマイクは校長から奪い取ったものだとしたら、ここにいる、皆がその人を見入るのは当たり前だろう。

 俺もゴクリと生唾を飲み込む。
 今からスミレの悪童が暴かれようとしているのだ。

「みんな、真実を知る覚悟はあるのか、俺はそう聞いている」

 そう言われても、理由を全く知らない奴らは何も答えないだろう。
 月人会長はつまらなそうに、説明をする。

「この学校に大変な欠陥がある! それは汚い金で人権を踏み荒らす先生方だ!」

 その声とともに、電気は落とされ、体育館のカーテンが閉まる。
 勿論、自動ではないので誰がやっているのかと思えば、金子先輩と篠目先輩だ。
 あの二人には事前に伝えていたのかも知れない。

「この映像を見てくれ!」

 そして、スクリーンがゆっくり降ろされ、そこには例の映像が流れる、はずだったのだが、

「おい! 貴様! 何もべらべら喋ってる!」

 校長がそれを止めようとする。
 まぁ、あんだけ煽れば流石に止めに入るだろう。
 それに発言から察するに、月人会長は千冬を襲った真犯人を突き止めている、と校長はそう踏んだはずだ。

 月人会長の胸ぐらを掴み、怒り奮闘の様子で何度も揺らしている。
 俺はその光景をただ見つめていたのだが、

「止めるぞ」

 そう言って俺の肩を掴むのは、亮介だ。
 
 亮介は俺の返事も聞かずに校長を止めに入る。
 俺はその時、身体が勝手に動く感じがした。
 こんな時に不謹慎かもしれないけど、心が熱くなって、ワクワクしていた。

 千冬がこれで報われる。
 
 勿論、死んだわけじゃないし、何ならポケットの中にいるし。
 でも、そう思うと、自然と壇上に向け、歩みを進める。

「おい! 止めろこいつらを!」  

 校長の声に先生たちが集まってきた。
 しかし、もう手遅れだ。
 既に映像は感じ始まっていた。
 
「あなた達でしょう!」

 千冬が、スミレに対して叫ぶ。
 そこには雫と、咲と良く一緒にいるやつ、名前は確か花江?だったか? そいつも映っている。

「はぁ? 何のことかわからないけど? そうやって根拠もないのに、決め付けるの、うざすぎ」

 スミレは、舐めた態度で千冬の肩を殴る。

「…………春樹はあんなことしない」
「あー、春樹ね、春樹くんはね、千冬を犯したいって叫びながら出て行ったよ、教室を」

 はぁ?! 
 ふざけるな!
 誰がそんなこと言うもんか!
 

「そんな人じゃないよ春樹は!」
 
 ………千冬。
 
「それはどうかなー?」
「もう許さない!!」

 パチン!

 まさかだった。
 千冬は大人しい性格だ。
 勿論誰かを殴るような行為は今まで見たこともない。
 だから、初めてだった。
 誰かをビンタしているとこを見るのは。

 そして、俺たちを止めようとしていた先生も眠たげだった生徒もみんな、画面を真剣にみている。

「うぜ!」

 スミレは頬を擦りながら千冬に飛びつく。

「許さない……」
「千冬てめぇー! 離せよ!」

 千冬も負けじと胸ぐらを掴む。
 まるで月人会長と校長の状態のようだ。


「スミレ、これ!」
 
 そう言って花江は折れた箒の柄を投げる。

「ナイス! くらえ!!」
 それを千冬の頭に向かって思いっきり叩きつけた。
 ひどく鈍い音だった。
 千冬の頭から真っ赤な血が流れている。

「……これは流石にやばくない?」
「…………え、私は知らないから、帰る!」
「ちょ、雫待てよ! 私も帰る!」

 そこで映像は止まった。
 
 …………。

 一瞬の沈黙。
 その後声を荒らげたのは、

「こんなの、加工よ! 嘘だわ!」

 校長でも月人会長でもない。
 天上スミレだった。
 
 スミレはここにいる全員の視線を集め、壇上に上がる。

 月人は表情を全く変えることなく、マイクを黙って渡す。
 それをスミレがもぎ取る。

「よーく考えて! この映像おかしくない?
だって、この角度で映すなら、相当上から取らなくちゃならないのよ! それにもし、こんな場面で撮影してる人がいるなら、何故、その場で止めないのよ!」

 スミレの言い訳は、一理ある。
 あの角度で撮影するのは物理的に不可能だ。
 ただそれは人間がスマホで撮影するときに限る。
 今回は太一の盗撮で、固定式のカメラだった。
 だからこそ、あんな高い位置から、正確には道具入れの位置から撮影されているのだ。

 しかし、それを知っているの、チーム春樹だけだ。
 だから、ここにいる全員が、

「……たしかに」
 
 と思っている。

 駄目かも知れない。
 俺は、いや、俺たちはそう思った。

「………それは僕が!」

 その声はステージの袖から聞こえた。
 

「それは、僕が撮影したものです!」

 その声の正体は、草場太一だったーー。 

 
 
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感想 1

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みんなの感想(1件)

花雨
2021.08.09 花雨

お気に入り登録しました(^^)

2021.08.13 小住人(こすみひと)

返信遅れてすみません!
花雨さん、お気に入り登録ありがとうございます!
初めてだったので本当に嬉しいです!
これからもよろしくお願いします!!

解除

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