2 / 35
始まりの唄
少女・ゆのかの家出
しおりを挟む
人一人いない、静かな夜。
街灯は、ぽつりぽつりと頼りなさげに道を照らす。淡い色の家が建ち並ぶお洒落な外観とは裏腹に、不気味さが残る。
『不浄の悪魔に連れさらわれちゃうよ。』
この州では、大人も子どももそう言う。だから夜は、誰も外を出歩かない。
おかげで、時が止まったと錯覚してしまいそうになる。
──まるで、街が死んでいるみたいだ。
「はぁ…っ、はぁっ…………」
そんな街の中を、1人の少女が走っていた。線のような三日月が、何かから逃げるように必死に走る少女を照らす。
名前はゆのか。年は16歳。道行く人が思わず振り向いてしまうほど、顔立ちが整っている。スッと通った鼻筋に、薄い唇。二重で大きな深緑の瞳は、悲しみと絶望を秘めながらも、美しい。
だが、やつれた顔に青白い肌、そして、今にも折れてしまいそうな手足が、彼女の美しさを霞ませた。
(急がなきゃっ……使用人さんに、見つかっちゃう…!)
真夜中に、静まり返った街中をたった1人で走っている理由は、家出だった。
家の使用人や、この州に住む人達に見つかってしまわないよう、危険を承知でわざわざ夜を選んだのだった。
普段着ることのない全身黒い服装。黒い帽子も被り、長い髪を中に隠して夜に紛れる。少しはみ出た金髪がキラキラ輝いた。
「はぁー…はぁー……」
ゆのかは足を止めて、膝に手を置いた。
(疲れた……)
息を整えようと、深呼吸するも、ヒュ…ヒュ…とかすれた音が鳴った。喉の奥が突き刺されるように、ズキズキ痛む。
(こんなに走ったの……いつぶり…かな?)
細い足で、今にも崩れそうな自分を必死に支える。
座り込む訳にはいかなかった。きっともう使用人がゆのかの家出に気づいて、捜し始めている頃に違いない。
(でも、私は…何としてでも……“家出”を、成功させなきゃ………)
ようやく、荒い呼吸が収まってきた。だがゆのかの胸は、キリキリと痛み出す。
いろんな人を、苦しませた。
いろんな人を、傷つけた。
それでも、家に縛られるように守られていた彼女には、何の制裁も与えられなかった。
(そんな私が…これ以上、のうのうと生きていていいわけない。)
涙が溢れそうになる。慌てて首を振った。
立ち止まっている暇はない。少し休んだら、疲れがとれた気がした。ゆのかは、目的地に向かって再び走った。
(今の私を見たら…みんなは、何て思うかな…?)
とうの昔に別れた、大好きな幼馴染達の顔が思い浮かぶ。
(最後に、一目…会いたかったな……私にはもう、そんな資格…ないけど…)
“会う”という選択肢を切り捨てたものの、やっぱり最後に伝えたいことがあったゆのかは、幼馴染に向けて手紙を書いた。
『大好きなみんなへ
私は今日、この州を出ます。
もし、家出に失敗したら、私が大好きな場所へ行きます。
“必ずまた会おう”って約束、まだ覚えていますか?
あの約束があったから、私は、みんなとお別れした後も頑張ることが出来ました。
でも、それも今日で終わりにしようと思います。
勝手に約束を破って、ごめんなさい。迷惑をいっぱいかけて、本当にごめんなさい。
みんなと過ごした時間は、何よりも大切な私の宝物です。
もう会うことは、きっとないと思う。だから、私のことは忘れてください。
みんなの幸せを祈ってます。どうかお元気で。さよなら。』
郵便局に出すことができない手紙。差出人を調べられて、ゆのかと関わっていたなんてことが知られたら…幼馴染達に迷惑がかかるからだ。
だからゆのかは家出してすぐ、幼馴染の1人の家のポストにこの手紙を入れた。もちろん、誰かに見つかっても分からないように、名前は伏せて。
(今思えば…酷い言葉をたくさん書いて、嫌われる内容の方が、よかったのかな…?
でも…今更、手紙を取りに行く暇も、書き換える暇もないから……しょうがない…か。)
余計なことをして使用人に見つかってしまったら、本末転倒。ゆのかは、逃げることに専念することにした。
(今は…なんとか“家出”を、成功させないと。
このまま進めば…この州を出られる。)
家出するにあたって、ゆのかは2つの計画を練っていた。
1つ目は、使用人から何とか逃げ切って、この州から脱出すること。
この州── ホペ=アンテ=デサペ州、通称“ホペ州”は、周りが海で囲まれている小さな島。他の州に行くには、ホペ州にある唯一の橋を渡らなければならない。
しかし、頑張って走ってはいるものの…家から橋までかなりの距離がある上に、交通機関があまり発達していないため、かなり時間がかかってしまっているのが現状だ。
(私の家出に気づかれて、橋が封鎖される前に…早く行かなきゃ……)
固く決心して、分かれ道を右に曲がろうとしたその時だった。
「休んでいる暇はないぞ!!捜せ!!!」
「も…申し訳ありません…!」
夜の静けさを切り裂くような、鋭い声が響き渡る。
(…!!!)
足を止める。
低い声だった。しかも、かなり近い。足音からして、どうやらこちらに向かっているようだった。
(まさか、使用人さん…?
っ、どうしよう……どうしよう?!)
すぐさま辺りを見渡す。目に入ったのは、家と家のわずかな隙間だった。
今いる道よりもさらに暗くて、狭く…汚くて、不気味な場所。
(…それでも)
捕まることを考えれば、躊躇う暇はない。滑り込むように隙間に入る。黒いフードを被ったと同時に、3つの人影が見えた。
「オマエがちんたらしているせいで、ゆのか様が見つからなかったらっ、どうするつもりだ?!」
「クビじゃすまねぇぞ?!!」
「すみません…っ、すみません!!」
ゆのかの体が硬直する。心臓は、今までにないくらい速く動いていた。
(私を…捜しにきた……使用人さんだ……)
会話の内容からして、間違いない。わずか数m先で、1人の若い男の使用人が、他の2人に怒鳴られている。
(もし…今、見つかったら……私…私っ…)
家出失敗。捕まって、元の生活に逆戻り。
そんな言葉が、頭の中をぐるぐる回る。硬直していた体はガタガタ震え、荒い呼吸はどんどん浅くなっていく。
それでも決して見つかるまいと…苦しさの中、ゆのかは息を止めた。
(お願い……っ、早く…行って……!!
私は……あんな家に…もう、戻りたくないの……)
指を交互に組んで、すがるように天に祈る。
「こ、この辺に…いるんですかねぇ…?」
「フン!見て分からんのか?!ゆのか様がこんな場所にいる訳ないだろう!!
なんてったってこの辺は、“アレ”がある…“あの方”のお孫様が、この近辺に来るわけがない!!!」
「それより橋だっ!!別の州に逃げられでもしたらっ、手も足も出ねぇ!!」
「応援に行くぞ!!」
使用人達はそう騒いで、ダッダッ!!とその場を走り去った。
辺りは何事も無かったかのように、また静かな世界に戻っていた。ゆのかは、家の陰からそっと顔を出した。
(いなくなってる…よかった……)
どうやら、願いが届いたようだ。
止めていた息を吐ききる。その拍子に涙が1粒、ポロリと落ちた。
その涙が、安心か絶望か、ゆのかには分からなかった。
(足…動かすと、痛い………)
ゆのかは、土埃で服が汚れることなんて気にもせず、その場に座り込んだ。
(息…苦しいなぁ……)
建物の隙間から見える三日月は、夜空で立派に輝いていた。
小さな手を伸ばす。涙で滲み、原型をとどめていない。
唯一の逃げ道であるホペ州唯一の橋へ、使用人達が向かっている。
(しかも…さっきの3人だけじゃない……“応援”って、言ってた…きっと、もっとたくさん、橋にいて…私を捕まえようとしているんだ………
あの長いトンネルみたいな橋を渡って、逃げ切るなんて…絶対、無理……)
1つ目の計画は、失敗。ゆのかが家出を続けるには、2つ目の家出計画を実行する以外、方法はなかった。
(これで…いいんだ……
ホペ州の人が、“本当のこと”を知ったら…きっと……)
ゆのかは、涙を拭った。
(……行かなきゃ。
大好きな…“あの場所”に。)
ひとりぼっちではない気がした。不思議と、勇気が湧いた。
疲れを忘れて立ち上がる。ゆのかは、元の道に出て、来た道を戻った。
(やっと…終わりに…できる……)
昂る鼓動と、小さな足音が…ゆのかの中で重なり合った。
街灯は、ぽつりぽつりと頼りなさげに道を照らす。淡い色の家が建ち並ぶお洒落な外観とは裏腹に、不気味さが残る。
『不浄の悪魔に連れさらわれちゃうよ。』
この州では、大人も子どももそう言う。だから夜は、誰も外を出歩かない。
おかげで、時が止まったと錯覚してしまいそうになる。
──まるで、街が死んでいるみたいだ。
「はぁ…っ、はぁっ…………」
そんな街の中を、1人の少女が走っていた。線のような三日月が、何かから逃げるように必死に走る少女を照らす。
名前はゆのか。年は16歳。道行く人が思わず振り向いてしまうほど、顔立ちが整っている。スッと通った鼻筋に、薄い唇。二重で大きな深緑の瞳は、悲しみと絶望を秘めながらも、美しい。
だが、やつれた顔に青白い肌、そして、今にも折れてしまいそうな手足が、彼女の美しさを霞ませた。
(急がなきゃっ……使用人さんに、見つかっちゃう…!)
真夜中に、静まり返った街中をたった1人で走っている理由は、家出だった。
家の使用人や、この州に住む人達に見つかってしまわないよう、危険を承知でわざわざ夜を選んだのだった。
普段着ることのない全身黒い服装。黒い帽子も被り、長い髪を中に隠して夜に紛れる。少しはみ出た金髪がキラキラ輝いた。
「はぁー…はぁー……」
ゆのかは足を止めて、膝に手を置いた。
(疲れた……)
息を整えようと、深呼吸するも、ヒュ…ヒュ…とかすれた音が鳴った。喉の奥が突き刺されるように、ズキズキ痛む。
(こんなに走ったの……いつぶり…かな?)
細い足で、今にも崩れそうな自分を必死に支える。
座り込む訳にはいかなかった。きっともう使用人がゆのかの家出に気づいて、捜し始めている頃に違いない。
(でも、私は…何としてでも……“家出”を、成功させなきゃ………)
ようやく、荒い呼吸が収まってきた。だがゆのかの胸は、キリキリと痛み出す。
いろんな人を、苦しませた。
いろんな人を、傷つけた。
それでも、家に縛られるように守られていた彼女には、何の制裁も与えられなかった。
(そんな私が…これ以上、のうのうと生きていていいわけない。)
涙が溢れそうになる。慌てて首を振った。
立ち止まっている暇はない。少し休んだら、疲れがとれた気がした。ゆのかは、目的地に向かって再び走った。
(今の私を見たら…みんなは、何て思うかな…?)
とうの昔に別れた、大好きな幼馴染達の顔が思い浮かぶ。
(最後に、一目…会いたかったな……私にはもう、そんな資格…ないけど…)
“会う”という選択肢を切り捨てたものの、やっぱり最後に伝えたいことがあったゆのかは、幼馴染に向けて手紙を書いた。
『大好きなみんなへ
私は今日、この州を出ます。
もし、家出に失敗したら、私が大好きな場所へ行きます。
“必ずまた会おう”って約束、まだ覚えていますか?
あの約束があったから、私は、みんなとお別れした後も頑張ることが出来ました。
でも、それも今日で終わりにしようと思います。
勝手に約束を破って、ごめんなさい。迷惑をいっぱいかけて、本当にごめんなさい。
みんなと過ごした時間は、何よりも大切な私の宝物です。
もう会うことは、きっとないと思う。だから、私のことは忘れてください。
みんなの幸せを祈ってます。どうかお元気で。さよなら。』
郵便局に出すことができない手紙。差出人を調べられて、ゆのかと関わっていたなんてことが知られたら…幼馴染達に迷惑がかかるからだ。
だからゆのかは家出してすぐ、幼馴染の1人の家のポストにこの手紙を入れた。もちろん、誰かに見つかっても分からないように、名前は伏せて。
(今思えば…酷い言葉をたくさん書いて、嫌われる内容の方が、よかったのかな…?
でも…今更、手紙を取りに行く暇も、書き換える暇もないから……しょうがない…か。)
余計なことをして使用人に見つかってしまったら、本末転倒。ゆのかは、逃げることに専念することにした。
(今は…なんとか“家出”を、成功させないと。
このまま進めば…この州を出られる。)
家出するにあたって、ゆのかは2つの計画を練っていた。
1つ目は、使用人から何とか逃げ切って、この州から脱出すること。
この州── ホペ=アンテ=デサペ州、通称“ホペ州”は、周りが海で囲まれている小さな島。他の州に行くには、ホペ州にある唯一の橋を渡らなければならない。
しかし、頑張って走ってはいるものの…家から橋までかなりの距離がある上に、交通機関があまり発達していないため、かなり時間がかかってしまっているのが現状だ。
(私の家出に気づかれて、橋が封鎖される前に…早く行かなきゃ……)
固く決心して、分かれ道を右に曲がろうとしたその時だった。
「休んでいる暇はないぞ!!捜せ!!!」
「も…申し訳ありません…!」
夜の静けさを切り裂くような、鋭い声が響き渡る。
(…!!!)
足を止める。
低い声だった。しかも、かなり近い。足音からして、どうやらこちらに向かっているようだった。
(まさか、使用人さん…?
っ、どうしよう……どうしよう?!)
すぐさま辺りを見渡す。目に入ったのは、家と家のわずかな隙間だった。
今いる道よりもさらに暗くて、狭く…汚くて、不気味な場所。
(…それでも)
捕まることを考えれば、躊躇う暇はない。滑り込むように隙間に入る。黒いフードを被ったと同時に、3つの人影が見えた。
「オマエがちんたらしているせいで、ゆのか様が見つからなかったらっ、どうするつもりだ?!」
「クビじゃすまねぇぞ?!!」
「すみません…っ、すみません!!」
ゆのかの体が硬直する。心臓は、今までにないくらい速く動いていた。
(私を…捜しにきた……使用人さんだ……)
会話の内容からして、間違いない。わずか数m先で、1人の若い男の使用人が、他の2人に怒鳴られている。
(もし…今、見つかったら……私…私っ…)
家出失敗。捕まって、元の生活に逆戻り。
そんな言葉が、頭の中をぐるぐる回る。硬直していた体はガタガタ震え、荒い呼吸はどんどん浅くなっていく。
それでも決して見つかるまいと…苦しさの中、ゆのかは息を止めた。
(お願い……っ、早く…行って……!!
私は……あんな家に…もう、戻りたくないの……)
指を交互に組んで、すがるように天に祈る。
「こ、この辺に…いるんですかねぇ…?」
「フン!見て分からんのか?!ゆのか様がこんな場所にいる訳ないだろう!!
なんてったってこの辺は、“アレ”がある…“あの方”のお孫様が、この近辺に来るわけがない!!!」
「それより橋だっ!!別の州に逃げられでもしたらっ、手も足も出ねぇ!!」
「応援に行くぞ!!」
使用人達はそう騒いで、ダッダッ!!とその場を走り去った。
辺りは何事も無かったかのように、また静かな世界に戻っていた。ゆのかは、家の陰からそっと顔を出した。
(いなくなってる…よかった……)
どうやら、願いが届いたようだ。
止めていた息を吐ききる。その拍子に涙が1粒、ポロリと落ちた。
その涙が、安心か絶望か、ゆのかには分からなかった。
(足…動かすと、痛い………)
ゆのかは、土埃で服が汚れることなんて気にもせず、その場に座り込んだ。
(息…苦しいなぁ……)
建物の隙間から見える三日月は、夜空で立派に輝いていた。
小さな手を伸ばす。涙で滲み、原型をとどめていない。
唯一の逃げ道であるホペ州唯一の橋へ、使用人達が向かっている。
(しかも…さっきの3人だけじゃない……“応援”って、言ってた…きっと、もっとたくさん、橋にいて…私を捕まえようとしているんだ………
あの長いトンネルみたいな橋を渡って、逃げ切るなんて…絶対、無理……)
1つ目の計画は、失敗。ゆのかが家出を続けるには、2つ目の家出計画を実行する以外、方法はなかった。
(これで…いいんだ……
ホペ州の人が、“本当のこと”を知ったら…きっと……)
ゆのかは、涙を拭った。
(……行かなきゃ。
大好きな…“あの場所”に。)
ひとりぼっちではない気がした。不思議と、勇気が湧いた。
疲れを忘れて立ち上がる。ゆのかは、元の道に出て、来た道を戻った。
(やっと…終わりに…できる……)
昂る鼓動と、小さな足音が…ゆのかの中で重なり合った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる