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第五章
大草原血に染めて-03
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「クフール=アルターマン、58歳。階級は軍曹。グランデ・ダバージスに任官。…他には?」
「なにもないね、俺にあるのは、今アンタが言った情報そのものだよ。それ以上でも、それ以下でもない」
アジ・ダハーカ内の一室で、ローンはこの軍曹の尋問に手こずっていた。
「ローン=リアリズレン卿… だったな、お前さん。部下を率いるなら、それなりの責任を果たしているのかい?」
「果たして… ちゃんとこなせているかどうかは、後世の歴史家や評論家が査定してくれるさ」
「…気に食わねぇな。だから、あんな小僧まで殺人マシンのような動きをするんだ」
「あんな小僧… とは、ライヴ=オフウェイのことを言っているのかね?」
「そうそう、そんな名前だったかねぇ。この俺を地に伏せて、挙句には俺のファハンを壊しやがった」
「彼は特別だ。ジーベン・ダジールだからな」
「魂の入れ替え?…そんなものが本当にあったとはね」
「…そうだ。彼は一通りの人材ではない。いろんな意味で突出している」
「それでか。あの情け容赦のない殺しっぷりは。アンタ、アレをそのままでいいと思っているのかい?」
「…質問は私がしている。くれぐれも立場を間違えないでほしいものだ」
「ハイハイ、貴族様。一介の軍曹には何も応えるものなんて持っちゃいませんよと何回言えばいいのかねぇ…」
◇ ◇ ◇ ◇
「クーリッヒ=ウー=ヴァンの物語を覚えているものは幸せである。心穏やかであろうから。だからこそ伝えよう、連綿たる勇者たちの物語を。皆さん、こんばんは。クーリッヒ=ウー=ヴァンの世界へようこそ。当番組のナビゲーターを努めます、ブレンドフィア=メンションです。ご機嫌いかがですか?
さて。今回からいよいよダズアルト砦ダッシュの物語に入ってまいります。沈黙を守り続けるダズアルト砦やスターファ、グリート・レインズなど諸地方の動きが気になりますね。…えっ? そんなに勿体つけるものではないって? ハハハ、確かにこの物語の多くのファンは、そう仰るかもしれませんね。ですが、皆さんが知っているお話の多くは演義として伝えられているお話に過ぎません。では、史実ではどのようにお話が展開していったのでしょうか?」
「私は今、ダズアルト砦遺跡の城壁の上に立っています。いや、本当に風がとても強いですね。数千年前のこの砦の上も、今と同じように風が強かったのでしょうね」
そう語るのは、アンスタフト=ヒストリカ教授である。
「この砦はひとつの都市を囲む、大城塞都市となっています。そのために外周だけでも約50Giz(約80.5km)もあり、このグロウサー帝国でも屈指の要塞でもありました。市民の多くはこの砦を守る兵士とその家族であり、次いで彼らの生活を守り管理するサービス業や商家で構成されていました。物資は交通の要ということもあって絶えず物流で溢れかえり、僻地とも言うべき立地にも関わらず豊富な資金で運用されていたのです。特筆すべきは、この砦がグランデ・ダバージスと同じく個人の領地ではないと言うところにあります。スタディウム・ノーディスタンの直轄地… つまり、安全と安定が国によって保証された特別な地域なのです。そこへ現れたのが、勢力を巨大化させたブラウ=レジスタルス率いる反帝国軍でした。個の地の図書館に収められていたバンバスの書簡には、このように記されています。
『連中がアーサーハイヴまでやって来た。第13騎士団団長の名において、我々市民は速やかなる退去を命じられた』
ここで言う第13騎士団団長とは件のアムンジェスト=マーダーであり、彼に逆らうことは即ち”死”を意味していました。市民たちは訳も分からず、フラックフェルト平原の北西に位置するズィーゲン・ダミーラスという海洋都市まで移動したのです」
「果たして。本当にダズアルト砦の市民たちが退去したのか、疑問の声も上がっています」
そう語るのは、ミンダーハイト=ギリアートン教授だ。
「市民の3割に兵役を課していたこの都市で、戦えないという者は殆ど存在しませんでした。戦闘の経験を持たない市民は成人していない子供くらいだったのです。中にはドラグナーを乗りこなせる市民もいました。また、巨大砲台を扱える、特殊な砲手のスキルを持った市民もいたのです。ズィーゲン・ダミーラスへ退去したのはほんの一部、つまり子供を含む非戦闘員のみだったと考えられるのです」
◇ ◇ ◇ ◇
「で?」
その初老の男は俺の顔を見るなり、怪訝そうに言った。
「…それは、俺が聞きたい」
グランデ・ダバージス攻略戦の翌日のことである。俺はローンの命令で、捕虜にしたひとりの兵士の所へとやって来たのだった。前回の戦い… グランデ・ダバージスでは思った以上の戦果をあげられた。当然ではあるが、グランデ・ダバージスとスターファの軍勢は俺達の進路を挟撃する目的でフラックフェルト平原に主だった兵士を配置されていたという。彼はグランデ・ダバージスにおいて、寡兵で俺達と戦う羽目になった兵士の一人であると聞いた。
「他の連中は既にこの牢から出されたと聞いているが?」
相変わらずの怪訝な声が、分厚い牢屋の扉の向こうから聞こえてくる。
「知りませんよ。その無作法な物言いが原因じゃないんですか?」
俺もまた、仏頂面で言葉を返す。
「お前…、声が随分と若いな。新兵か?」
「そのようなもんです。この部隊に来てから、まだ3ヶ月ほどしか経っていませんから」
「何歳になる?」
「16です。…それが何か?」
「そうか、16かぁ…。俺が最初の妻を娶ったのもそん時くらいだったなぁ。お前、コレはいるのか?」
男は小指を立てて、ニヤニヤと興味深げに聞いてきた。
「いる訳ないじゃないですか」
「だよなぁ、そんな度胸もなさそうだしなぁ」
「馬鹿にしてるんですか?」
「ああ。女に声もかけられないような軟弱な男にゃ、馬鹿にする他あるめぇよ」
まるで茶化すように、ニカッと笑う。だが、どうもこの男調子がつかめない。
「どうせ、剣もロクに持たせて貰えないんだろ? で、俺んトコに来た、と」
「好きに言っててください。どうせ、あなたはこの先で保釈されるんでしょうし」
「…そんなお人好しゃいねぇよ」
その男は笑顔こそそのままだが、どこか淋しげに視線を泳がせた。
「…食事です。速やかに食べて、食器を返却してください。尚、フォークやナイフなどは安全な木製のものを使っていただきます。何か、質問は?」
「無いよ。お嬢ちゃん。なんだ、ここんチじゃ、子供しかいねぇのかい?」
「お嬢ちゃんだけ余計です。これでも、ボクはドラグナー乗りなんです」
「ほぅ… そんなナリで騎士様かい… そりゃ、失礼しました」
「こんな人の相手してたの? ホント、ローン様も何考えてるんだろうね?」
「そう言うなよ、シェスター。ローンさんにはローンさんの考えがあるんだろうしね。…もっとも、俺にはその真意なんて考えもつかないけどな…」
「だろうね。そろそろ君も食事に行ってきたら?」
「そうさせてもらうよ、ありがとう」
「どういたしまして、ライヴ君!」
「…待て」
突然、男の声に殺意めいた気迫が込められた。
「今、なんと言った?」
「だから、食事に行く話を…」
「お嬢ちゃんに聞いている。今、この坊やをなんと呼んだ?」
「……」
「何と呼んだと聞いている!」
「…ら、ライヴ君…」
「この坊やが… こんな小僧が俺を倒したライヴ=オフウェイだというのか?」
「それじゃ、まさか、アンタが…」
「…ああ。俺がお前と戦った、クフール=アルターマンだ」
◇ ◇ ◇ ◇
「どういう事ですか? 俺とあの男を会わせるなんて?」
アジ・ダハーカの後部にある指揮官室で、俺はローンと対峙していた。
「どうもこうも無いよ、ライヴ君。正直、私も疑問に思っていたんだ。その答えを知る良い機会だと思ったのだが…」
「…何を、言ってるんですか?」
「いや、こっちの話だ。と言うより、君は君自身の戦闘スタイルに疑問を持ったことがあると言ったね」
「ええ。その通りです。この世界に来てから、戦争での戦いというものに何の感情も持たなくなっていました」
「その答えを、きっと彼の男が持っていると踏んだのだがね」
「流石にそれはないでしょう。でもどうしてそう思ったんです?」
「君は彼と戦って気付かなかったのかね? 今までの君の戦闘スタイルとは全く違うということに」
「…それは…」
「今のままでは、いずれ君は落とされる。これは直感だがね、私のカンがそう警報を鳴らしているのだ。このままだと、この先君をつまらぬ戦闘で失いかねないとね」
「……」
「そこで、ライヴ=オフウェイに厳命だ。君はクフール=アルターマンとコミュニケーションを取り、その戦い方を学べ」
「命令… ですか?」
「厳命だ。そこを間違わないでもらいたい」
「…分かりました」
「…私は部下を甘やかせすぎたのかな?」
サングラスの奥で、鋭い光が俺を刺した。
「り、了解! 直ちに厳命を受け、彼の者とコミュニケーションを取り、その戦い方を学びます!」
「…よろしい」
その夜、俺の慌てた様子を見てニッコリとするローンを、俺は全身全霊をかけて呪ってやった。
◇ ◇ ◇ ◇
「…という訳で、俺はアンタに戦い方を教えてもらうことになりました。よろしくお願いします…」
「棒読みだな?」
「いえいえ、やる気満々ですよ~」
「…ホントにやる気満々だな…」
牢屋の前で、俺はクフールと対面した。
「俺に戦い方を教えるのを条件に、アンタは開放されます。これ以上いい条件はないでしょ?」
「…やだね」
「なぜ?」
「俺は戦争が嫌いなんだ。これに関わってから、いい事なんぞひとつもねぇ」
「なら、解放後に除隊すればいいじゃないですか?」
「…やだね」
「なぜ?」
「少なくとも捕虜でいりゃ条約で身分は保証され、メシだって食いっぱぐれる事はないからだ」
「話にならない」
「てめぇにその気がねぇからさ」
「…まぁね」
俺は牢屋の扉に背中を預けた。
「…坊主、ちょっと無防備過ぎんぞ」
「いいんです。万が一のことがあれば、俺も元の世界に戻れるかもしれないし」
「それでは、今からてめぇの首へし折って…」
「できるわけないでしょ? アンタは言いました。捕虜のままがいいってね」
「そのまま逃げるかもしれないぜ? それに、てめぇにゃリーヴァとかいう愛人がいるらしいじゃねぇか」
「死んでしまえば関係ないでしょ」
「…本心か?」
「…まさか」
「だよなぁ…。てな訳で、俺はこの案件からは手を引く!」
◇ ◇ ◇ ◇
「ダメだよライヴ君、そんなんじゃボクだって断るね!」
「そうかな?」
「そうだ。あまりにも誠意がなさすぎる」
「シェスターもフラウも厳しいな。もうちょっといい案出してもらえないか?」
「君はフザケてるのかって言ってるの! そんな態度じゃ、その気になんてなってもらえないよ!」
「…はぁ…、私も今回ばかりは力になれんな…」
◇ ◇ ◇ ◇
「…だってさ。どう思う?」
「て、てめぇ…」
俺は牢屋の扉に背を預けて、クフールに声をかけていた。
「みんな冷たいよなぁ…。何一つ有効な案を出しちゃくれないんだもんな~」
「てめぇ、聞きに来る相手、間違っちゃいねぇか?」
「…なんで?」
「なんでって…」
「……」
「てめぇ、根本的なところ、おかしいんじゃねぇか?」
「そうかな…? そうかもしれないな~…」
「フザケてんのか!」
「フザケてなんていないよ。本気で悩んでるんだぜ、これでもさ」
「とんだコミュ障だな、全く…」
「コミュ障? …誰がよ?」
「お前だお前! それでよく指揮を取れてたな?」
「…俺は作戦立案だけで、後はみんながやってくれてるだけで…」
「…はぁぁぁぁあ… 天然かよ…」
「そうかな? おかしいか?」
「てめぇ… 自分のことに関しちゃ、全くのダメ男だな…」
「返す言葉もありませんな」
「他人事かよ」
「困ったもんだ」
「ああ、鬱陶しい! こっから出てけ!」
「…やだ」
「しつっこいな! 俺は…」
「やだ」
「わかった。貴様の腐りきった根性、叩き直してやるわ!」
「…ホント?」
「俺はてめぇみたいな奴が大嫌いだ!」
「俺はそうでもないぜ?」
俺はニカッと笑い返した。
「表に出ろ! 手加減なしだからな!」
◇ ◇ ◇ ◇
「この場所で作戦行動中のライヴ=オフウェイに関する書類が幾つか発見されています」
そう話すのは、アンスタフト=ヒストリカ教授だ。
「このフラックフェルト平原には、大小含めて数多くの遺跡が眠っています。そのひとつから、このような石版が発見されています。見えますでしょうか? …そう、このガラスの奥にある小さな石版ですね。ここに、なかなか興味深い内容が刻みつけられていました。
『ライヴは強かった。それ以上に、策士だった』
たった一文。そのたった一文が、ライヴ少年の本質を表していますね。果たして、どのような事例を指して策士だったと言わしめたのでしょう。この文章を刻みつけた本人にしか知り得ないことなのかもしれません。ですが、数多くの作戦を成功させてきたライヴ=オフウェイという人物像が、その実、かなりの人格者であったと言わざるを得ませんね」
「私はその意見に異を唱えています」
そう語るのは、ミンダーハイト=ギリアートン教授だ。
「このフラックフェルト石版に刻まれた一文で、彼の性格を全て表しているとは言い切れません。”策士”とは、決していい意味だけでは使われないからです。これはあくまで推測に過ぎませんが… 彼から悪意に満ちた手酷い仕打ちを受けた者が、そう刻みつけたのかもしれません。とにかく、彼を聖人視しないことが真実に近付く大事な要素であると、釘を差しておきましょう」
◇ ◇ ◇ ◇
「はぁあああ! はぁあああ! はぁあああ!」
移動中のアジ・ダハーカ上部甲板にて、俺達は肩で大きく息をしながら倒れ込んでいた。その手には竹刀が握られたまま、体中には打ち傷が多数見受けられる。…見受けられる? そんな甘いもんじゃないな、なにせ、痛ェもの。
本気だった。本気で打ち込んだんだ。
普段、あれだけ手加減とかできていた俺が、こんなにも惨めに叩き伏せられるとは…。
「てめぇ、ライヴ、…はぁあああ! はぁあああ! はぁあああ! …このッ… 根性悪がァ…!」
「そりゃこっちのセリフだ! とんだ喰わせモンだぜ… おっさんよォ…!」
「なんだ、ありゃ? 剣の軌道チョロチョロ変えやがって!」
「おっさんだって、何だありゃ! コレは剣でのガチ勝負だっての! 何発マジパン喰らわせんだよ! 顔は役者の命なんだぜ。信じらんねぇよ、マジでッ!」
もう体が動かないから、もう詰り合いの言い合い位しか、俺達に残された術はなかった。
だから、俺は言いたい放題叫んでやった。
言いたい放題、言ってやった。
「…で? もう気は済んだかい? 坊主?」
「まだだ。まだおっさんを叩き伏せてねぇ!」
「…その意気だ、坊主。てめぇの剣は綺麗すぎて無駄が多い。人を魅了するための剣だ。殺し合いのソレじゃねぇ」
「そりゃ、どういう意味だよ?」
「自分で考えな、坊主。剣は最低限が基本だ。余分な殺し合いは、ただの自己満足の剣に過ぎねぇ。本当に倒すべきは誰か、よく考えて剣を振らなきゃ、大事な時にクタバッちまうぜ」
「でも一撃で倒さなきゃ、俺はとっくに死んでるぜ!」
「ソコだよ。大事なのはソコだ。自己満に陥るな。…約束だ。俺はもう、自由の身だな」
言うが早いか、クフールはゆっくりと身を起こし立ち上がった。
「じゃぁな、もう会うことは無いだろう。さらば、だ」
クフールはニカッと笑うと、デッキから飛び降りた。俺は慌てて飛び起き、デッキの下を眺めた。しかし、既に暗くおっさんの姿を見ることは叶わなかった。ダズアルト砦攻略まで後9日、俺は高く登った月を眺めるしかなかった。
「なにもないね、俺にあるのは、今アンタが言った情報そのものだよ。それ以上でも、それ以下でもない」
アジ・ダハーカ内の一室で、ローンはこの軍曹の尋問に手こずっていた。
「ローン=リアリズレン卿… だったな、お前さん。部下を率いるなら、それなりの責任を果たしているのかい?」
「果たして… ちゃんとこなせているかどうかは、後世の歴史家や評論家が査定してくれるさ」
「…気に食わねぇな。だから、あんな小僧まで殺人マシンのような動きをするんだ」
「あんな小僧… とは、ライヴ=オフウェイのことを言っているのかね?」
「そうそう、そんな名前だったかねぇ。この俺を地に伏せて、挙句には俺のファハンを壊しやがった」
「彼は特別だ。ジーベン・ダジールだからな」
「魂の入れ替え?…そんなものが本当にあったとはね」
「…そうだ。彼は一通りの人材ではない。いろんな意味で突出している」
「それでか。あの情け容赦のない殺しっぷりは。アンタ、アレをそのままでいいと思っているのかい?」
「…質問は私がしている。くれぐれも立場を間違えないでほしいものだ」
「ハイハイ、貴族様。一介の軍曹には何も応えるものなんて持っちゃいませんよと何回言えばいいのかねぇ…」
◇ ◇ ◇ ◇
「クーリッヒ=ウー=ヴァンの物語を覚えているものは幸せである。心穏やかであろうから。だからこそ伝えよう、連綿たる勇者たちの物語を。皆さん、こんばんは。クーリッヒ=ウー=ヴァンの世界へようこそ。当番組のナビゲーターを努めます、ブレンドフィア=メンションです。ご機嫌いかがですか?
さて。今回からいよいよダズアルト砦ダッシュの物語に入ってまいります。沈黙を守り続けるダズアルト砦やスターファ、グリート・レインズなど諸地方の動きが気になりますね。…えっ? そんなに勿体つけるものではないって? ハハハ、確かにこの物語の多くのファンは、そう仰るかもしれませんね。ですが、皆さんが知っているお話の多くは演義として伝えられているお話に過ぎません。では、史実ではどのようにお話が展開していったのでしょうか?」
「私は今、ダズアルト砦遺跡の城壁の上に立っています。いや、本当に風がとても強いですね。数千年前のこの砦の上も、今と同じように風が強かったのでしょうね」
そう語るのは、アンスタフト=ヒストリカ教授である。
「この砦はひとつの都市を囲む、大城塞都市となっています。そのために外周だけでも約50Giz(約80.5km)もあり、このグロウサー帝国でも屈指の要塞でもありました。市民の多くはこの砦を守る兵士とその家族であり、次いで彼らの生活を守り管理するサービス業や商家で構成されていました。物資は交通の要ということもあって絶えず物流で溢れかえり、僻地とも言うべき立地にも関わらず豊富な資金で運用されていたのです。特筆すべきは、この砦がグランデ・ダバージスと同じく個人の領地ではないと言うところにあります。スタディウム・ノーディスタンの直轄地… つまり、安全と安定が国によって保証された特別な地域なのです。そこへ現れたのが、勢力を巨大化させたブラウ=レジスタルス率いる反帝国軍でした。個の地の図書館に収められていたバンバスの書簡には、このように記されています。
『連中がアーサーハイヴまでやって来た。第13騎士団団長の名において、我々市民は速やかなる退去を命じられた』
ここで言う第13騎士団団長とは件のアムンジェスト=マーダーであり、彼に逆らうことは即ち”死”を意味していました。市民たちは訳も分からず、フラックフェルト平原の北西に位置するズィーゲン・ダミーラスという海洋都市まで移動したのです」
「果たして。本当にダズアルト砦の市民たちが退去したのか、疑問の声も上がっています」
そう語るのは、ミンダーハイト=ギリアートン教授だ。
「市民の3割に兵役を課していたこの都市で、戦えないという者は殆ど存在しませんでした。戦闘の経験を持たない市民は成人していない子供くらいだったのです。中にはドラグナーを乗りこなせる市民もいました。また、巨大砲台を扱える、特殊な砲手のスキルを持った市民もいたのです。ズィーゲン・ダミーラスへ退去したのはほんの一部、つまり子供を含む非戦闘員のみだったと考えられるのです」
◇ ◇ ◇ ◇
「で?」
その初老の男は俺の顔を見るなり、怪訝そうに言った。
「…それは、俺が聞きたい」
グランデ・ダバージス攻略戦の翌日のことである。俺はローンの命令で、捕虜にしたひとりの兵士の所へとやって来たのだった。前回の戦い… グランデ・ダバージスでは思った以上の戦果をあげられた。当然ではあるが、グランデ・ダバージスとスターファの軍勢は俺達の進路を挟撃する目的でフラックフェルト平原に主だった兵士を配置されていたという。彼はグランデ・ダバージスにおいて、寡兵で俺達と戦う羽目になった兵士の一人であると聞いた。
「他の連中は既にこの牢から出されたと聞いているが?」
相変わらずの怪訝な声が、分厚い牢屋の扉の向こうから聞こえてくる。
「知りませんよ。その無作法な物言いが原因じゃないんですか?」
俺もまた、仏頂面で言葉を返す。
「お前…、声が随分と若いな。新兵か?」
「そのようなもんです。この部隊に来てから、まだ3ヶ月ほどしか経っていませんから」
「何歳になる?」
「16です。…それが何か?」
「そうか、16かぁ…。俺が最初の妻を娶ったのもそん時くらいだったなぁ。お前、コレはいるのか?」
男は小指を立てて、ニヤニヤと興味深げに聞いてきた。
「いる訳ないじゃないですか」
「だよなぁ、そんな度胸もなさそうだしなぁ」
「馬鹿にしてるんですか?」
「ああ。女に声もかけられないような軟弱な男にゃ、馬鹿にする他あるめぇよ」
まるで茶化すように、ニカッと笑う。だが、どうもこの男調子がつかめない。
「どうせ、剣もロクに持たせて貰えないんだろ? で、俺んトコに来た、と」
「好きに言っててください。どうせ、あなたはこの先で保釈されるんでしょうし」
「…そんなお人好しゃいねぇよ」
その男は笑顔こそそのままだが、どこか淋しげに視線を泳がせた。
「…食事です。速やかに食べて、食器を返却してください。尚、フォークやナイフなどは安全な木製のものを使っていただきます。何か、質問は?」
「無いよ。お嬢ちゃん。なんだ、ここんチじゃ、子供しかいねぇのかい?」
「お嬢ちゃんだけ余計です。これでも、ボクはドラグナー乗りなんです」
「ほぅ… そんなナリで騎士様かい… そりゃ、失礼しました」
「こんな人の相手してたの? ホント、ローン様も何考えてるんだろうね?」
「そう言うなよ、シェスター。ローンさんにはローンさんの考えがあるんだろうしね。…もっとも、俺にはその真意なんて考えもつかないけどな…」
「だろうね。そろそろ君も食事に行ってきたら?」
「そうさせてもらうよ、ありがとう」
「どういたしまして、ライヴ君!」
「…待て」
突然、男の声に殺意めいた気迫が込められた。
「今、なんと言った?」
「だから、食事に行く話を…」
「お嬢ちゃんに聞いている。今、この坊やをなんと呼んだ?」
「……」
「何と呼んだと聞いている!」
「…ら、ライヴ君…」
「この坊やが… こんな小僧が俺を倒したライヴ=オフウェイだというのか?」
「それじゃ、まさか、アンタが…」
「…ああ。俺がお前と戦った、クフール=アルターマンだ」
◇ ◇ ◇ ◇
「どういう事ですか? 俺とあの男を会わせるなんて?」
アジ・ダハーカの後部にある指揮官室で、俺はローンと対峙していた。
「どうもこうも無いよ、ライヴ君。正直、私も疑問に思っていたんだ。その答えを知る良い機会だと思ったのだが…」
「…何を、言ってるんですか?」
「いや、こっちの話だ。と言うより、君は君自身の戦闘スタイルに疑問を持ったことがあると言ったね」
「ええ。その通りです。この世界に来てから、戦争での戦いというものに何の感情も持たなくなっていました」
「その答えを、きっと彼の男が持っていると踏んだのだがね」
「流石にそれはないでしょう。でもどうしてそう思ったんです?」
「君は彼と戦って気付かなかったのかね? 今までの君の戦闘スタイルとは全く違うということに」
「…それは…」
「今のままでは、いずれ君は落とされる。これは直感だがね、私のカンがそう警報を鳴らしているのだ。このままだと、この先君をつまらぬ戦闘で失いかねないとね」
「……」
「そこで、ライヴ=オフウェイに厳命だ。君はクフール=アルターマンとコミュニケーションを取り、その戦い方を学べ」
「命令… ですか?」
「厳命だ。そこを間違わないでもらいたい」
「…分かりました」
「…私は部下を甘やかせすぎたのかな?」
サングラスの奥で、鋭い光が俺を刺した。
「り、了解! 直ちに厳命を受け、彼の者とコミュニケーションを取り、その戦い方を学びます!」
「…よろしい」
その夜、俺の慌てた様子を見てニッコリとするローンを、俺は全身全霊をかけて呪ってやった。
◇ ◇ ◇ ◇
「…という訳で、俺はアンタに戦い方を教えてもらうことになりました。よろしくお願いします…」
「棒読みだな?」
「いえいえ、やる気満々ですよ~」
「…ホントにやる気満々だな…」
牢屋の前で、俺はクフールと対面した。
「俺に戦い方を教えるのを条件に、アンタは開放されます。これ以上いい条件はないでしょ?」
「…やだね」
「なぜ?」
「俺は戦争が嫌いなんだ。これに関わってから、いい事なんぞひとつもねぇ」
「なら、解放後に除隊すればいいじゃないですか?」
「…やだね」
「なぜ?」
「少なくとも捕虜でいりゃ条約で身分は保証され、メシだって食いっぱぐれる事はないからだ」
「話にならない」
「てめぇにその気がねぇからさ」
「…まぁね」
俺は牢屋の扉に背中を預けた。
「…坊主、ちょっと無防備過ぎんぞ」
「いいんです。万が一のことがあれば、俺も元の世界に戻れるかもしれないし」
「それでは、今からてめぇの首へし折って…」
「できるわけないでしょ? アンタは言いました。捕虜のままがいいってね」
「そのまま逃げるかもしれないぜ? それに、てめぇにゃリーヴァとかいう愛人がいるらしいじゃねぇか」
「死んでしまえば関係ないでしょ」
「…本心か?」
「…まさか」
「だよなぁ…。てな訳で、俺はこの案件からは手を引く!」
◇ ◇ ◇ ◇
「ダメだよライヴ君、そんなんじゃボクだって断るね!」
「そうかな?」
「そうだ。あまりにも誠意がなさすぎる」
「シェスターもフラウも厳しいな。もうちょっといい案出してもらえないか?」
「君はフザケてるのかって言ってるの! そんな態度じゃ、その気になんてなってもらえないよ!」
「…はぁ…、私も今回ばかりは力になれんな…」
◇ ◇ ◇ ◇
「…だってさ。どう思う?」
「て、てめぇ…」
俺は牢屋の扉に背を預けて、クフールに声をかけていた。
「みんな冷たいよなぁ…。何一つ有効な案を出しちゃくれないんだもんな~」
「てめぇ、聞きに来る相手、間違っちゃいねぇか?」
「…なんで?」
「なんでって…」
「……」
「てめぇ、根本的なところ、おかしいんじゃねぇか?」
「そうかな…? そうかもしれないな~…」
「フザケてんのか!」
「フザケてなんていないよ。本気で悩んでるんだぜ、これでもさ」
「とんだコミュ障だな、全く…」
「コミュ障? …誰がよ?」
「お前だお前! それでよく指揮を取れてたな?」
「…俺は作戦立案だけで、後はみんながやってくれてるだけで…」
「…はぁぁぁぁあ… 天然かよ…」
「そうかな? おかしいか?」
「てめぇ… 自分のことに関しちゃ、全くのダメ男だな…」
「返す言葉もありませんな」
「他人事かよ」
「困ったもんだ」
「ああ、鬱陶しい! こっから出てけ!」
「…やだ」
「しつっこいな! 俺は…」
「やだ」
「わかった。貴様の腐りきった根性、叩き直してやるわ!」
「…ホント?」
「俺はてめぇみたいな奴が大嫌いだ!」
「俺はそうでもないぜ?」
俺はニカッと笑い返した。
「表に出ろ! 手加減なしだからな!」
◇ ◇ ◇ ◇
「この場所で作戦行動中のライヴ=オフウェイに関する書類が幾つか発見されています」
そう話すのは、アンスタフト=ヒストリカ教授だ。
「このフラックフェルト平原には、大小含めて数多くの遺跡が眠っています。そのひとつから、このような石版が発見されています。見えますでしょうか? …そう、このガラスの奥にある小さな石版ですね。ここに、なかなか興味深い内容が刻みつけられていました。
『ライヴは強かった。それ以上に、策士だった』
たった一文。そのたった一文が、ライヴ少年の本質を表していますね。果たして、どのような事例を指して策士だったと言わしめたのでしょう。この文章を刻みつけた本人にしか知り得ないことなのかもしれません。ですが、数多くの作戦を成功させてきたライヴ=オフウェイという人物像が、その実、かなりの人格者であったと言わざるを得ませんね」
「私はその意見に異を唱えています」
そう語るのは、ミンダーハイト=ギリアートン教授だ。
「このフラックフェルト石版に刻まれた一文で、彼の性格を全て表しているとは言い切れません。”策士”とは、決していい意味だけでは使われないからです。これはあくまで推測に過ぎませんが… 彼から悪意に満ちた手酷い仕打ちを受けた者が、そう刻みつけたのかもしれません。とにかく、彼を聖人視しないことが真実に近付く大事な要素であると、釘を差しておきましょう」
◇ ◇ ◇ ◇
「はぁあああ! はぁあああ! はぁあああ!」
移動中のアジ・ダハーカ上部甲板にて、俺達は肩で大きく息をしながら倒れ込んでいた。その手には竹刀が握られたまま、体中には打ち傷が多数見受けられる。…見受けられる? そんな甘いもんじゃないな、なにせ、痛ェもの。
本気だった。本気で打ち込んだんだ。
普段、あれだけ手加減とかできていた俺が、こんなにも惨めに叩き伏せられるとは…。
「てめぇ、ライヴ、…はぁあああ! はぁあああ! はぁあああ! …このッ… 根性悪がァ…!」
「そりゃこっちのセリフだ! とんだ喰わせモンだぜ… おっさんよォ…!」
「なんだ、ありゃ? 剣の軌道チョロチョロ変えやがって!」
「おっさんだって、何だありゃ! コレは剣でのガチ勝負だっての! 何発マジパン喰らわせんだよ! 顔は役者の命なんだぜ。信じらんねぇよ、マジでッ!」
もう体が動かないから、もう詰り合いの言い合い位しか、俺達に残された術はなかった。
だから、俺は言いたい放題叫んでやった。
言いたい放題、言ってやった。
「…で? もう気は済んだかい? 坊主?」
「まだだ。まだおっさんを叩き伏せてねぇ!」
「…その意気だ、坊主。てめぇの剣は綺麗すぎて無駄が多い。人を魅了するための剣だ。殺し合いのソレじゃねぇ」
「そりゃ、どういう意味だよ?」
「自分で考えな、坊主。剣は最低限が基本だ。余分な殺し合いは、ただの自己満足の剣に過ぎねぇ。本当に倒すべきは誰か、よく考えて剣を振らなきゃ、大事な時にクタバッちまうぜ」
「でも一撃で倒さなきゃ、俺はとっくに死んでるぜ!」
「ソコだよ。大事なのはソコだ。自己満に陥るな。…約束だ。俺はもう、自由の身だな」
言うが早いか、クフールはゆっくりと身を起こし立ち上がった。
「じゃぁな、もう会うことは無いだろう。さらば、だ」
クフールはニカッと笑うと、デッキから飛び降りた。俺は慌てて飛び起き、デッキの下を眺めた。しかし、既に暗くおっさんの姿を見ることは叶わなかった。ダズアルト砦攻略まで後9日、俺は高く登った月を眺めるしかなかった。
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