9 / 22
第一章
マーダーの影-05
しおりを挟む
さて、問題である。
水分が飽和状態にある雲海の中で、急激な温度低下を引き起こしたらどうなる? それもコアとなる微粒子が含まれていたとする。ちょっと、簡単すぎたか。
俺は身支度を済ませると、上部甲板上に設置された護摩壇に向かい祝詞を上げた。
「…たつみやのおおんかみにましますたかおかみのおおんかみ…」
護摩壇に火が焚べられると、小さな火はやがて炎となり煙を上げた。
「…ひとつちをむすひたまひて、ばんぶつをそうぞうしたまふ しほつちのおおんかみ…」
…何故この様な祝詞をあげられるのかって?
答えは簡単、そういう役を演じたことがあるからなのですよ。雨乞いの儀と言って、大体どこでも同じような祝詞をあげるのです。
「…あめたもれ、あめたもれ。なるかみじゃ…」
俺は炎の前で大幣(宮司や巫女さんが持ってる、白い紙の付いた棒。アレな)を左右に振りながら、言葉を続けた。それにしても、この祝詞が正しいかどうかはわからない。何故なら、以前演じた安倍晴明の役においては、その台本を書いてきた奴がどこからか拾ってきた祝詞を組み上げて作ったものだからだ。
そう。でっち上げなのである。八百万の大御神はきっと寛大な神様ばかり、こういう無礼も許してくれるだろう。俺ってば、本当に罰当たりな人間である。てか、この祝詞を考えたの、脚本担当のやつですからね! 神様、どうか許して下さい! 罰を当てるなら、そいつに当てて。少なくとも、今だけはよろしくお願いします。
「…おほみたの うるおふばかり せきかけて ゐせきにおとせ かわかみのかみ…」
あれ? 今気づいた。
コレって和歌だよね? 何らかの和歌集にある、有名かもしれない和歌だよね?
…ええい、ままよ!
「雨を降らせ給え、キェ~ッ!」
…所詮、こういうのはお神輿なのだ。人の見ている前で戯ける、ただの道化師にすぎないのだ。その役を演じているにすぎないのだ、うん。
その場にいた誰もの目が、俺に集中していた。色んな意味で嫌な汗が頬を伝う。
…ぽつ…。
…ぽつ…ぽつ…。
降り出した雨はやがて、間を置かずして土砂降りの雨になった。護摩壇の火はあっという間に消え去り、…いや、降りすぎでしょ? それこそ、バケツの水をひっくり返したような、とは、この状態の事でしょ? 嗚呼、神様、ごめんなさい!
「艦長、なに呆けているんですか。打ち合わせ通り、作戦開始ですよ!」
「…そうだった。ありがとう、大尉!」
「あ、…」
ヌッツはただただ言葉を失っていた。それもそうだろう。予告した通り、しかも想定以上の大雨が振ってきたのだから。この降り方は『しとしと』と降る梅雨のソレではない。明らかに意図された大雨だったのだ。
「ど、どう? 面白かったっしょ?」
俺は精一杯の笑みでヌッツに話しかけた。
「どう…って、こりゃ何の魔法なんですかい? まるで旦那がドルイーダの様な自然を操る魔法使いのようだ…」
「そう、天気を操ってみた。いいネタになるでしょ?」
「ね、ネタって…」
「艦長!」
「大尉が呼んでるから行くぜ。じゃ、またな。ヌッツさん!」
俺は軽くウインクすると、呆然としたままのヌッツを残しブリッジへと走っていった。
◇ ◇ ◇ ◇
「…皆さん、こんばんは。クーリッヒ・ウー・ヴァンの世界へようこそ。私が番組の進行を努めます、ブレンドフィア=メンションです。ご機嫌いかがですか?
さて。私達の世界では、その存在の数だけ神が宿るという多神教を私たちは信仰しています。その象徴たるものが、クーリッヒ・ウー・ヴァンにおける雨乞いの儀式ではないでしょうか? 今でも伝統行事として連綿と受け継がれているこの雨乞いの儀式ですが、その発祥もまた、たったひとりのこの少年にあるというのです。信じられますか? 彼は一体どれだけのものを隠しているのでしょう…」
「ライヴ少年は、実は教義を信仰する中でも特に先進的であったエッスヌ派だったという説があります」
そう語るのは、アンスタフト=ヒストリカ教授だ。
「25年ほど前にアス・デ・ミレス海の洞窟から発見された羊皮紙の文献、俗に言う異界文書と呼ばれる書物には、以下の記述が見られます。
『彼の人物は天文学の知識に富んでいた。その時期の気候や星の位置で気象を読み解き、利用することに長けていた。それらも全て教義の中にある…』
この”序文”にある”彼の人物”が、実はライヴ=オフウェイその人であったと。ですが、私はこの説にはいささか懐疑的です。というのも、エッスヌ派はその開祖が約4500年前、丁度クーリッヒ・ウー・ヴァンの時代と重なります。もしもこの記述が事実であるとするならば、この様に曖昧な書き方はしない筈。実際に、メンバー表にライヴ少年の名前が明記されていないのです。故に、実際にメンバーであったわけではないというのが私の個人的な意見です」
では、ライヴ=オフウェイはどのようにして大雨を降らせたのだろうか?
「はい、懐疑的な意見もあるかと思いますが、人工降雨を行ったのだと考えています」
そう語るのは、ミンダーハイト=ギリアートン教授だ。
「その存在自体が未だ懐疑的ではあるのですが、神鋼石があると仮定すればできない話ではないのです。史記:ゲシュヒテにあるように好天の中で大雨を降らせたのではなく、条件が揃っていた中で敢えて人工降雨を行ったのだと。勿論、ドラグーンを登場させれば何でもが可能になってしまいます。歴史的に見ても、いわばジョーカー的な存在なのです。ですが逆説的に言えば、ドラグーンという存在を当てはめると全てが丸く収まるのです。それ故に、このドラグーンの発掘が急務でもあるのです」
◇ ◇ ◇ ◇
「作戦の準備はどうか?」
ブリッジに戻った俺はエッセンに報告を求めた。
「首尾は上々、敵の慌てふためいている様子がここからでも見て取れます」
「では、静隊、フラウ隊は発艦準備でき次第に発艦。予定通り陽動作戦に入れ。これは交戦が目的ではない、くれぐれも注意されたし!」
『-フラウ隊、確認しました-』
『-こちら静、わかりましてよ-』
「大尉。アジ・ダハーカ、左右第二甲板、展開!」
「第二甲板、展開!」
『-こちらメイーダ。こちらも準備はいつでもいいですよ!-』
「よろしい、順次両翼発艦。両隊発艦後にアジ・ダハーカは微速前進…!」
「静隊、フラウ隊、発艦!」
『『-了解!-』』
左右に大きく開いた第二甲板から全7騎のドラグナーが発艦していった。
「シェスター、ご苦労だった。そこから敵の様子は見えるか?」
『-うん、よぉく見えるよ。こちらが両翼に発艦したのを見て、慌てて配置についてるみたい。左右にドラグナーが6騎づつ、中央には8騎が確認できるわ-』
「では、作戦開始!」
両翼に展開した静・フラウ隊は、全速で塹壕地帯の抜け道… それぞれ6騎づつのドラグナーが待つ地へと赴いていく。静隊4騎、フラウ隊3騎の構成だ。先にもあった通り、両翼の敵の殲滅が主目的ではない。故に、敵を引きつけておいてくれればいいのだ。さぁて、両名はちゃんと自制できるだろうか? 若干心配ではある。が、力強い返事の後だ、無茶はするまい。
「アジ・ダハーカ、微速前進!」
俺の号令で、フルッツファグ・リッター”アジ・ダハーカ”は、ゆっくりと前進を始めた。目的地は前方の塹壕地帯。通常なら、下部塹壕からの攻撃で手が出せなかった場所だ。
「側面副砲、それから主砲。塹壕の最前線に一発ぶっ放してやれ!」
『-装填完了、撃ちます!-』
『-目にものを見せてやりますぜ!-』
「ああ、期待しているよ」
副砲の射程までやって来ると、既に塹壕からのミサイルやらガイスト・カノンの雨あられ。現在は当方の損傷も軽微だ。
「良し、撃て!」
アジ・ダハーカは前傾姿勢を取り、思い切りケツを上げた状態で塹壕に立ち向かった。塹壕に積み上げられた土嚢から何からが吹き飛ばされて、こちらの都合の良い土地形状になっていく。その場にいた敵兵さんよ、すまない。君達の犠牲は無駄にはしない。
「アジ・ダハーカ下部ハッチ開けろ!」
『-前方下部ハッチ、開きました。-』
「ケーブルを降ろせ!」
『-ケーブル、下ろします-』
「着水したか?」
『-後3分待ってください!-』
「慌てず急いで正確に。 …頼んだ」
『-了解!-』
アジ・ダハーカの最先端部が、塹壕地帯の最前線に到達した。先程の攻撃で反撃は大人しい。さて、上手くいってくれよ…。
『-ケーブル投下完了! いつでもいけますぜ!-』
「メイーダ!」
俺は側の伝声管から整備主任を呼び出した。
『-コッチも準備は万端ですよ!-』
「よぉし、始めてくれ!」
『『-了解!-』』
刹那、塹壕の全体から白い煙が上がった。…白い煙? 否、水蒸気である。
「索敵!」
エッセンが叫んだ。
『-こちら索敵班。敵兵は完全に動かない。繰り返す、作戦は成功!-』
「大尉、前進しますよ!」
「アジ・ダハーカ、全速前進!」
アジ・ダハーカは速度を上げ、遊々と塹壕地帯の上空を通過していく。
「各ドラグナー隊に通達! スタンバイだ。当然、俺も行く!」
「アジ・ダハーカ船首おこーせー! …主砲、目標は敵陣地の施設やドラグナーだ。蹴散らせ!」
「ありがとう、大尉」
「なぁに。言ってもあなたは出るでしょう。任せてください。必ず皆さんをあの敵陣地まで送り届けますよ」
「頼んだ!」
俺はブリッジから降りると、カーゴへ向かいながら叫んでいた。
「レクルート、行くぞ! 回せーッ!!」
水分が飽和状態にある雲海の中で、急激な温度低下を引き起こしたらどうなる? それもコアとなる微粒子が含まれていたとする。ちょっと、簡単すぎたか。
俺は身支度を済ませると、上部甲板上に設置された護摩壇に向かい祝詞を上げた。
「…たつみやのおおんかみにましますたかおかみのおおんかみ…」
護摩壇に火が焚べられると、小さな火はやがて炎となり煙を上げた。
「…ひとつちをむすひたまひて、ばんぶつをそうぞうしたまふ しほつちのおおんかみ…」
…何故この様な祝詞をあげられるのかって?
答えは簡単、そういう役を演じたことがあるからなのですよ。雨乞いの儀と言って、大体どこでも同じような祝詞をあげるのです。
「…あめたもれ、あめたもれ。なるかみじゃ…」
俺は炎の前で大幣(宮司や巫女さんが持ってる、白い紙の付いた棒。アレな)を左右に振りながら、言葉を続けた。それにしても、この祝詞が正しいかどうかはわからない。何故なら、以前演じた安倍晴明の役においては、その台本を書いてきた奴がどこからか拾ってきた祝詞を組み上げて作ったものだからだ。
そう。でっち上げなのである。八百万の大御神はきっと寛大な神様ばかり、こういう無礼も許してくれるだろう。俺ってば、本当に罰当たりな人間である。てか、この祝詞を考えたの、脚本担当のやつですからね! 神様、どうか許して下さい! 罰を当てるなら、そいつに当てて。少なくとも、今だけはよろしくお願いします。
「…おほみたの うるおふばかり せきかけて ゐせきにおとせ かわかみのかみ…」
あれ? 今気づいた。
コレって和歌だよね? 何らかの和歌集にある、有名かもしれない和歌だよね?
…ええい、ままよ!
「雨を降らせ給え、キェ~ッ!」
…所詮、こういうのはお神輿なのだ。人の見ている前で戯ける、ただの道化師にすぎないのだ。その役を演じているにすぎないのだ、うん。
その場にいた誰もの目が、俺に集中していた。色んな意味で嫌な汗が頬を伝う。
…ぽつ…。
…ぽつ…ぽつ…。
降り出した雨はやがて、間を置かずして土砂降りの雨になった。護摩壇の火はあっという間に消え去り、…いや、降りすぎでしょ? それこそ、バケツの水をひっくり返したような、とは、この状態の事でしょ? 嗚呼、神様、ごめんなさい!
「艦長、なに呆けているんですか。打ち合わせ通り、作戦開始ですよ!」
「…そうだった。ありがとう、大尉!」
「あ、…」
ヌッツはただただ言葉を失っていた。それもそうだろう。予告した通り、しかも想定以上の大雨が振ってきたのだから。この降り方は『しとしと』と降る梅雨のソレではない。明らかに意図された大雨だったのだ。
「ど、どう? 面白かったっしょ?」
俺は精一杯の笑みでヌッツに話しかけた。
「どう…って、こりゃ何の魔法なんですかい? まるで旦那がドルイーダの様な自然を操る魔法使いのようだ…」
「そう、天気を操ってみた。いいネタになるでしょ?」
「ね、ネタって…」
「艦長!」
「大尉が呼んでるから行くぜ。じゃ、またな。ヌッツさん!」
俺は軽くウインクすると、呆然としたままのヌッツを残しブリッジへと走っていった。
◇ ◇ ◇ ◇
「…皆さん、こんばんは。クーリッヒ・ウー・ヴァンの世界へようこそ。私が番組の進行を努めます、ブレンドフィア=メンションです。ご機嫌いかがですか?
さて。私達の世界では、その存在の数だけ神が宿るという多神教を私たちは信仰しています。その象徴たるものが、クーリッヒ・ウー・ヴァンにおける雨乞いの儀式ではないでしょうか? 今でも伝統行事として連綿と受け継がれているこの雨乞いの儀式ですが、その発祥もまた、たったひとりのこの少年にあるというのです。信じられますか? 彼は一体どれだけのものを隠しているのでしょう…」
「ライヴ少年は、実は教義を信仰する中でも特に先進的であったエッスヌ派だったという説があります」
そう語るのは、アンスタフト=ヒストリカ教授だ。
「25年ほど前にアス・デ・ミレス海の洞窟から発見された羊皮紙の文献、俗に言う異界文書と呼ばれる書物には、以下の記述が見られます。
『彼の人物は天文学の知識に富んでいた。その時期の気候や星の位置で気象を読み解き、利用することに長けていた。それらも全て教義の中にある…』
この”序文”にある”彼の人物”が、実はライヴ=オフウェイその人であったと。ですが、私はこの説にはいささか懐疑的です。というのも、エッスヌ派はその開祖が約4500年前、丁度クーリッヒ・ウー・ヴァンの時代と重なります。もしもこの記述が事実であるとするならば、この様に曖昧な書き方はしない筈。実際に、メンバー表にライヴ少年の名前が明記されていないのです。故に、実際にメンバーであったわけではないというのが私の個人的な意見です」
では、ライヴ=オフウェイはどのようにして大雨を降らせたのだろうか?
「はい、懐疑的な意見もあるかと思いますが、人工降雨を行ったのだと考えています」
そう語るのは、ミンダーハイト=ギリアートン教授だ。
「その存在自体が未だ懐疑的ではあるのですが、神鋼石があると仮定すればできない話ではないのです。史記:ゲシュヒテにあるように好天の中で大雨を降らせたのではなく、条件が揃っていた中で敢えて人工降雨を行ったのだと。勿論、ドラグーンを登場させれば何でもが可能になってしまいます。歴史的に見ても、いわばジョーカー的な存在なのです。ですが逆説的に言えば、ドラグーンという存在を当てはめると全てが丸く収まるのです。それ故に、このドラグーンの発掘が急務でもあるのです」
◇ ◇ ◇ ◇
「作戦の準備はどうか?」
ブリッジに戻った俺はエッセンに報告を求めた。
「首尾は上々、敵の慌てふためいている様子がここからでも見て取れます」
「では、静隊、フラウ隊は発艦準備でき次第に発艦。予定通り陽動作戦に入れ。これは交戦が目的ではない、くれぐれも注意されたし!」
『-フラウ隊、確認しました-』
『-こちら静、わかりましてよ-』
「大尉。アジ・ダハーカ、左右第二甲板、展開!」
「第二甲板、展開!」
『-こちらメイーダ。こちらも準備はいつでもいいですよ!-』
「よろしい、順次両翼発艦。両隊発艦後にアジ・ダハーカは微速前進…!」
「静隊、フラウ隊、発艦!」
『『-了解!-』』
左右に大きく開いた第二甲板から全7騎のドラグナーが発艦していった。
「シェスター、ご苦労だった。そこから敵の様子は見えるか?」
『-うん、よぉく見えるよ。こちらが両翼に発艦したのを見て、慌てて配置についてるみたい。左右にドラグナーが6騎づつ、中央には8騎が確認できるわ-』
「では、作戦開始!」
両翼に展開した静・フラウ隊は、全速で塹壕地帯の抜け道… それぞれ6騎づつのドラグナーが待つ地へと赴いていく。静隊4騎、フラウ隊3騎の構成だ。先にもあった通り、両翼の敵の殲滅が主目的ではない。故に、敵を引きつけておいてくれればいいのだ。さぁて、両名はちゃんと自制できるだろうか? 若干心配ではある。が、力強い返事の後だ、無茶はするまい。
「アジ・ダハーカ、微速前進!」
俺の号令で、フルッツファグ・リッター”アジ・ダハーカ”は、ゆっくりと前進を始めた。目的地は前方の塹壕地帯。通常なら、下部塹壕からの攻撃で手が出せなかった場所だ。
「側面副砲、それから主砲。塹壕の最前線に一発ぶっ放してやれ!」
『-装填完了、撃ちます!-』
『-目にものを見せてやりますぜ!-』
「ああ、期待しているよ」
副砲の射程までやって来ると、既に塹壕からのミサイルやらガイスト・カノンの雨あられ。現在は当方の損傷も軽微だ。
「良し、撃て!」
アジ・ダハーカは前傾姿勢を取り、思い切りケツを上げた状態で塹壕に立ち向かった。塹壕に積み上げられた土嚢から何からが吹き飛ばされて、こちらの都合の良い土地形状になっていく。その場にいた敵兵さんよ、すまない。君達の犠牲は無駄にはしない。
「アジ・ダハーカ下部ハッチ開けろ!」
『-前方下部ハッチ、開きました。-』
「ケーブルを降ろせ!」
『-ケーブル、下ろします-』
「着水したか?」
『-後3分待ってください!-』
「慌てず急いで正確に。 …頼んだ」
『-了解!-』
アジ・ダハーカの最先端部が、塹壕地帯の最前線に到達した。先程の攻撃で反撃は大人しい。さて、上手くいってくれよ…。
『-ケーブル投下完了! いつでもいけますぜ!-』
「メイーダ!」
俺は側の伝声管から整備主任を呼び出した。
『-コッチも準備は万端ですよ!-』
「よぉし、始めてくれ!」
『『-了解!-』』
刹那、塹壕の全体から白い煙が上がった。…白い煙? 否、水蒸気である。
「索敵!」
エッセンが叫んだ。
『-こちら索敵班。敵兵は完全に動かない。繰り返す、作戦は成功!-』
「大尉、前進しますよ!」
「アジ・ダハーカ、全速前進!」
アジ・ダハーカは速度を上げ、遊々と塹壕地帯の上空を通過していく。
「各ドラグナー隊に通達! スタンバイだ。当然、俺も行く!」
「アジ・ダハーカ船首おこーせー! …主砲、目標は敵陣地の施設やドラグナーだ。蹴散らせ!」
「ありがとう、大尉」
「なぁに。言ってもあなたは出るでしょう。任せてください。必ず皆さんをあの敵陣地まで送り届けますよ」
「頼んだ!」
俺はブリッジから降りると、カーゴへ向かいながら叫んでいた。
「レクルート、行くぞ! 回せーッ!!」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる