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Off.1 訪問
しおりを挟む暗い部屋の中、手探りで飲み物を探す。指先に当たった缶はからだった。
「マジかー」
ゲーム内チャットで飲み物を取りに行くと告げ、席を立つ。腰がピキッと悲鳴をあげる。若いのに年老いた身体だ。
一階の冷蔵庫には炭酸水が7本ストックしてある。炭酸は疲労に効くとどこかのテレビで聞いてから、毎日飲んでいる。腰は良くなってはいないが。
「毎日遅くまでゲーム、お疲れ様です」
リビングには見知らぬ男がくつろいでいた。
「誰、あんた」
「幹事です。今日ここに来たのは、あなたをオフ会にご招待しようと、思いまして」
無視して冷蔵庫へと向かう。そこで、違和感に気づく。冷蔵庫の扉に、黒い何かが付着していた。心なしか、腐臭が漂っている。
「開けない方がいいですよ」
「どうして?」
「気分が悪くなるからです」
若干胸が熱くなる。鼓動が早くなり、脳の中で「開けるな」と何かが叫んでいる。汗が一滴、顎まで到達した。
落ち着こう。中はいつも通りだ。右手に力を込めた瞬間、男に腕を止められた。
「申し訳ない。やはり開けないでください。臭いが酷いので」
手を振り払い、距離を取る。百歩譲ってリビングで寛いでるのはよしとしよう。けど初対面で腕を掴まれるのは抵抗がある。というか不快だった。
「何、何なのあんたは」
「先ほども言いましたが、幹事です。名前はありません。必要ないですから」
「そういうことじゃなくて」
「ああ、なるほど。そういうことではないですか。申し訳ございません」
深々と頭を下げる幹事。
「あなたの両親を殺害しました。遺体はその冷蔵庫に入っています。ほら、映画で良くあるじゃないですか。あれ、やってみたかったんですよ」
言ってる意味が分からなかった。いや、理解よりも恐怖が先行し、その場に立ち尽くすしかない。
「ニートさん。オフ会に参加しませんか。これは最終通告です。もう冷蔵庫は一杯なので、断られると困るのですが」
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