新・風の勇者伝説

彼方

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第一部 四章 砂漠王国での出会い

ホーシアンレースに向けて

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 砂漠のリジャー王国。この国では決まって毎週ホーシアンレースが開催されており、会場は毎度毎度大いに賑わっている。そんな砂の国をエビルは一人で観光している。
 レミはまだ病み上がりであり、セイムも一応大事をとって宿に残っている。唯一動けるエビルは二人の様子を気にしていたのだが、セイムの「せっかくだし観光でもしてこいよ」という言葉に甘えて外出することにしたのだ。

「あ、イフサさん? 仕事ですか?」

 市場を歩くエビルは絨毯じゅうたんの上に品物を並べているイフサを見つけたので話しかける。

「お前さんか。そら俺は商人だからな、こうして品物売らなきゃ生きていけねえ」

 イフサの店に並んでいる物を見てみるとエビルは気付く。
 売っている物品には統一性がない。回復薬だったり武器だったり、まるで道具屋と武器屋と防具屋が合体したかのようである。

「気付くか、まああれだ。薬も武器も何でも売ってれば便利だろ? 万事屋よろずやってやつだよ。まあそんなに売れてないけどな」

「本当ですね……。どうしてです? 薬の効果は良いんでしょう? 武器だってパッと見てもいい武器が揃っていそうですけど」

 武器に関してはエビルが持っているアランバート王国で手に入れた剣よりも、強く鍛えられていると分かるものがいくつもあった。もちろんエビル自身にそういった知識はないので風の秘術で感じているにすぎないが。

「そりゃあ品物には自信がある! だがまあ場所が問題だ。この国の連中にはどっちもいらないだろうからな。リジャーでは魔物が攻めてきても王宮の兵士がすぐに倒しちまうし怪我人も少ない。武器も兵士しか使わないし性能が高い武器が山ほどあるらしい。正直商売あがったりだぜい」

 リジャーは砂漠地帯に存在するが資産に困ることはない。
 ホーシアンレースで成功した現国王は有り余る資産で魔物に備えての武器防具、そして怪我人用に回復薬を買い揃えている。
 既に滅ぼされた武力一と名高い軍事国家アルテマウスには劣るが、それでも十分に戦力があって平和な国だ。イフサの売る物をわざわざ買う人間はほんの一握り程度だろう。

「でもそれじゃあ、なんでこの国に?」

「どんな時も緊急事態ってのはあるもんだ、そういう時ってのは武器も薬もすぐ売れる。俺はどんなに売れない場所でも必ず行くのさ、俺が行かないと困るって奴もいるかもしれないしな。だからここで売れなくても次の場所に行くだけさ」

 エビルは次の場所という言葉を復唱して首を傾げる。

「ああ、次に行くのはプリエール神殿。あそこならここよりはまだマシだ」

「プリエール神殿? どんなところなんですか?」

「あそこか、あそこはまあ教会のでっかいバージョンって感じかね。俺もそんな内部に詳しいわけじゃねえけどな……って、あ、そうだ! お前さんら俺の護衛を受け持ってくれないか?」

 それからイフサは語る。
 プリエール神殿に行くまでの道のりには魔物もかなりの数がいて、ただ通るだけでも一苦労。神殿近くにも魔物が出るらしいがそれらは神殿に勤めている神官達が排除している。しかし道中はただの商人であるイフサが通るには毎回苦労するので、たまには楽に通りたいということらしい。

「お前さんらの実力はレッドスコルピオンの件で証明されてるし信用もしてる。あそこら辺は危ねえからな、頼む!」

 認められたことをエビルは素直に嬉しく思う。
 出発はまだもう少し先であるし、レミ達の回復を待つ時間を作らなければいけないこともある。何よりレミの治療に尽力してくれたイフサの頼みなのでエビルは快諾する。

「分かりました。イフサさんの頼みなら断れませんしね」

「ありがとな……そういえばホーシアンレースは見たことあるか?」

「ホーシアンレース? いえ見てないですけど」

「せっかくこの国に来たんだ、明日だから見ていけよ。今回の優勝賞品は確か……風の勇者の剣っつったか――」

「ごめんイフサさん! これから見てくるよ!」

「――っておい!?」

 話の途中でエビルは突然走り出す。
 風の勇者の剣。伝説に語られる魔王を倒した剣が賞品にされているなど、風の勇者のファンであるエビルとしては行かないわけにはいかなかった。

 期待を全面的に顔に出しながらエビルはホーシアンレースの会場に向かおうとしたが……場所が分からなかった。今から戻ってイフサに案内してもらうというのもかっこ悪いし、商売中なのに頼むというのも邪魔になると分かっているので戻りたくはない。
 エビルがどうすればいいのか分からずアタフタしていると一人の男が話しかけてきた。

「よお、何か困ってんのか?」

「あ、ジョウさん! お久し振りです!」

 人が良さそうな笑みを浮かべながら話しかけてきた青年はジョウである。
 レッドスコルピオンの一件では協力してくれた彼への信頼度は高い。レッドスコルピオンを倒した翌日から音沙汰なかった彼に会えてエビルは嬉しく思い、隠すことなく困りごとを告げる。

「実はホーシアンレースの会場に向かいたいんですけど道が分からなくて」

「それなら案内しようか?」

「本当ですか、ありがとうございます!」

 偶然出会ったジョウにエビルはレース会場へと案内してもらう。
 楕円形のドームであり、屋根部分は全て開放されている。降雨時は大量の水がレース会場に侵入するだろうが砂漠地帯ゆえに滅多に雨は降らない。

 レース会場内に入ったエビル達は受付の近くに飾られている賞品を眺める。
 会場はホーシアンレース開催前ということで人が少なく、ゆっくりと観察することが出来た。
 派手な装飾は付いていない実戦向きの剣。本物ならあの魔王すら斬った剣が、磨かれていることで新品のように保存されている。

「凄い剣だ……。この剣はきっと……」

「はっは、風の勇者のファンは多いからな。もし本物だったならあの剣もどれくらいの値が付くのやら」

「きっと百万カシェはくだらないですよ!」

「へえ、そりゃすげえなあ……本当に残念だ」

 剣を見て本当に残念そうに呟くジョウに何かあるのだとエビルは感じた。

「そういえばジョウさんはレースに出場予定でしたよね。残念ってことはもしかして参加出来なくなっちゃったんですか?」

「……ああ、急用でな。当日、つまり明日は出られない。俺が愛ホーシアンのマシュマロで出れば優勝出来る筈だった、今回は出場者が素人ばかりで話にならないからな」

 悲し気な表情でジョウは語る。
 普段レースなどしないのに風の勇者の剣に釣られて出場する者がほとんどであり、歴戦の騎手は剣に興味がないから今回は出場しない。ジョウにとってはチャンスだったのだ。

 ジョウはレース歴五年。優勝はしたことはないがもし優勝出来れば実力を認められて階級が上がる。
 階級とはブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの四種類あり、歴戦の騎手達は全員プラチナ。ジョウの階級であるブロンズでは一回でも優勝すればシルバーにランクアップする。

「せめて優勝賞品だけでも持ちたかった、俺の愛ホーシアンと一緒にさ。俺のホーシアン……マシュマロは拾ったホーシアンなんだがよ、最初は走れなかったんだよ」

 落ち込んだような笑みを浮かべるジョウはさらに語る。

「走れなかった?」

「ああ、病気でな。歩くことすらままならない状態だったが、そこから薬で克服して走れるようにはなった。そこから一緒にレースに出てるけど一度も優勝出来てないし、ホーシアンの方が問題だと何度も言われた。……それでも俺は乗り続けた、あいつも走り続けた。今日はチャンスだった、優勝さえすれば他の奴らも何も言えなくなる」

 出場できないからかジョウの言葉は徐々に重々しくなっていく。表情も暗く元気が失われていく。恩人の一人とも言える彼のそんな姿は見ていられなかったエビルが呟く。

「……それなら僕が……僕が出ます」

「はあ? いや確かに俺は出れないが何でお前が出るんだ」

「ジョウさんの話を聞いて証明したくなりました。あなたのホーシアン、マシュマロは絶対に優勝できる。病気を克服してまで走り続けるその努力を証明したいんです! それにレッドスコルピオンの時だって協力してくれたじゃないですか。僕はあなたに何か一つでも恩返しがしたい。だから出させてくれませんか、あなたの代わりにあなたの愛ホーシアンで……!」

 ホーシアンも人も同じく生きている。努力だってする。それが報われないのは誰だって辛いものだ。
 熱意を込めた視線を送るエビルに、ジョウはその目を見て「仕方ねえなあ」と告げる。

「本気なのは分かった、どうせ俺は出れないんだ……だったらお前に賭けるさ。素人乗せても優勝出来るって証明してやれ!」

「はい!」

「話は聞いてたろ? わりいが受付さん、俺がいつも乗ってるホーシアンでエビルをエントリーしておいてくれ」

 受付にいた女は無言で頷くと、エントリー完了と書いてある紙を手渡す。
 そこにはホーシアンレースの基本的なルールが記載されていた。その内容をジョウが説明しながら、ホーシアンが居るという厩舎きゅうしゃに向かう。

 厩舎とは競馬などで調教師が馬を管理する場所の総称である。昔はホーシアンではなく普通の馬に乗ってレースを行っていたらしいのだが、もうそんな地域はないと言っていい。だが厩舎などの施設は再利用されている。

「ホーシアンレースの内容としてはコースにある障害物を避けながら走らせ、一番速く一周した奴が優勝だ。障害物ってのはまあ色々だな、壊れてる車輪とか岩とか……あと壁もあったか」

「障害物にも色々あるんですね。……走ることが出来るとはいえ、ジョウさんのマシュマロは速さが足りないんですよね? 足が動かない時があったのなら厳しいんじゃ……」

「確かに速度があるとはお世辞にも言えねえな。他のホーシアンと比べたら雲泥の差だ。だがだからといって追い付けないほどじゃない、これはお前の腕次第さ。さて、まあルールなんてホーシアンに乗って走らせて一周するってだけだし長々と説明しなくてもいいだろ。おっ、見えてきた見えてきた、あれが厩舎だぞ」

 レースが盛んだということもあり大きめの厩舎に着いたエビル達二人は、様々なホーシアンがいるなか目的のホーシアンの元へと歩いて行く。

 最奥に行くと一頭の白いホーシアン――マシュマロが座っていた。
 さらさらとした触り心地な白い体毛が頭頂部から尻まで直線上に生えており、一メートルはある尾はその体毛で覆われている。背中には二つの隆起があって人が乗れる形状。足の先端にあるひづめは黒く頑丈そうである。立派な鬣は明るい灰色で真っ白な尻尾は少し動いて揺れている。
 とても病気だったとは思えない、凛としていて立派なホーシアンを見ながら難しい顔をしたジョウが口を開く。

「エビル、じょうホーシアンってのはそう易々と出来るもんじゃねえ、俺がこいつに乗れるようになるまでは二か月かかった。お前が練習出来るのは今日のみ、せめて最低限乗れるようにならないと話にならない」

「分かっています」

 乗馬ならぬ乗ホーシアンが出来ることが必要最低限の参加資格だとホーシアンレースでは捉えられている。当然だろう。乗ホーシアン出来なければ走ることすら出来ないのだから。

「ちなみに乗ホーシアンの経験はあるのか?」

「いえ、全くありません」

「そうか……」

 質問し終わったジョウは空を見上げて沈黙する。
 眩しい太陽がエビル達を照らし、暑さが増す中ジョウは一言呟いた。

「無理かも」

 今まで乗ホーシアン――文字通りホーシアンという魔物に乗ったことがないエビルにとって、まず乗れるようにならなければ話は始まらない。
 エビルも無茶なのは分かっている。だがやると言った以上、必ず乗りこなして優勝してみせると気合を入れる。

 ジョウも一瞬弱気になっていたが熱い心を持ったエビルを応援している。
 二人は厩舎からジョウの愛ホーシアン――マシュマロを出して、乗ホーシアン出来るスペースに移動した。
 マシュマロは落ち着いているが当然ジョウの傍に寄っている。肝心のエビルの方には近寄りもしないがそれはジョウに懐いている証だ。

「ここなら自由に乗れる。一回乗ってみるか」

「そうですね、まずは試してみないと」

 練習場はレース会場の隣に存在している。円状の建物で、内部には障害物が何もないただの砂地が広がる。そこならばレースに参加不参加関係なく自由に使用していいことになっている。

 試しにとエビルはマシュマロの横へ移動して飛び乗った。そして暴れたマシュマロに二秒で振り落とされた。

「ふぶっ!? いったあ!」

 その間抜けな光景を見ていたジョウ以外の人間は嘲笑う。

「なんだよあいつ! 乗ることも出来ないのか!」
「だっせええ! 素人の俺でさえ乗れるんだぜ!?」
「雑魚が練習したって雑魚のままだよお?」

 周囲の反応に二人は何も言い返せない。醜態を披露してしまったのは確かであるのだから。

「気にするなエビル、最初は誰だってそんなもんさ。すぐに乗りこなして見返してやればいいさ」

 地面を転がったエビルは衣服についた砂を叩き落としつつ立ち上がる。
 痛む箇所がないことを体を動かすことで確認しながら「はい、そうですね」と告げる。最初でめげていても仕方ないのだ。エビルの目に宿る闘志はまだまだ弱まりはしない。

 何度も、何度も、マシュマロの背に乗っては振り落とされる。
 優しく乗っても、飛び乗っても、頭を撫でながら乗っても結果は同じだった。色々試してみたもののマシュマロは決して背に乗せてくれなかった。今も背中にある二個のコブに掴まってはいるものの引き摺られている。

「ジョウ、あの人レースに出すみたいだけど止めときなよ」

 少し離れた場所で練習を見ていたジョウに声を掛ける女性が一人。
 つり目で猫のような顔。腰までストレートに垂れた青髪。膨らんだ胸にはサラシを、腰回りに短い布を巻いており、陰部を隠すための白い布が前と後ろで垂れている。日焼けして褐色になった肌を多く露出する恰好の女性が隣に並んだので、横目で見たジョウは「ミサト」と名を口にする。

「ありゃただの素人だ。まあ、あのへっぽこにはお似合いだけどね」

「今回の出場者だって素人ばかりだ。優勝の可能性は低くない」

「アンタが出れば優勝出来たかもね。明日は出ないわけ?」

 ミサトという女性はジョウにとってライバルとも言っていい存在だった。いや、今でもライバルだとジョウは思っているのだが、彼女は一足先に一勝してブロンズからシルバーへと昇格してしまった。どことなく寂しさを覚えたがもちろんジョウは祝福したものだ。

「急用が入っちまったんだよ」

「……アンタ、いい加減に止めたらどうだいその仕事」

「そんなわけにいかねえって。恩人の手伝いだし」

「あっそ。まあ残念だ、アンタが出るなら私も出ようかと思っていたのにさ。また勝負したかったからずっと待ってたんだよ。アンタ、前にリジャーへ帰って来た時も急な仕事でエントリーしなかったじゃないか」

 基本的にジョウはリジャーに滞在しているのだが、彼に仕事の命令が来た時は離れることが多い。突発的に発生する仕事なので予定を立てにくいとはいえ、ホーシアンレースへはなるべく参加するようにしている。

 以前ミサトと勝負したのはもう百五十日ほど前だったか。だいぶ期間が空いてしまったので明日のレースにはジョウも参加したいと思っていた。急な仕事で参加出来なくなったことを申し訳なく思い、隣の彼女へ「悪いな」と謝る。

「はぁ、次こそは勝負しな。もう待ちくたびれたんだから」

 そう言ってミサトは身を翻して去っていく。

「……約束、しかねる」

 悔しそうなジョウの声は誰にも届かなかった。
 知り合いとの会話を終えたジョウは、またマシュマロから転げ落ちたエビルの元へと歩いて行く。

「エビル、お前乗る時にどう思ってる?」

 上体を起こしたエビルは後頭部を擦りながら返答する。

「乗る時に? いや、特には何も……ただ乗れるようになりたいとしか」

「ダメだ、それじゃあダメなんだ。乗ホーシアンはホーシアンと人間、二体の生き物が息を、力を、心を合わせなきゃ無理なんだ。マシュマロの反応、表情、それらから読み取れ……なーんて無理か?」

 いつもならそんなこと出来るわけがないと思うところだろう。
 しかしエビルは信頼している。ジョウとマシュマロには切れない絆が確かにある。そんな彼からのアドバイスを無駄には出来ない。
 エビルはまずマシュマロから降りて対面してみた。

「いや、何してんだお前」

「こうしてみれば気持ちが分かるかと思いまして」

「へえ、分かったのか?」

「いいえ、まだ時間がかかりそうです」

 時が経つのは早いものでそのまま十分が経過した。
 その十分の見つめ合いにより、エビルはマシュマロの気持ちが僅かに伝わってきたような気がした。風の秘術の感じ取る力なら魔物であっても感情があるなら感じ取れる。

(何となく分かる。恩があるジョウさんしか乗せたくないという義理堅い気持ち……。なら今度は僕の気持ちを伝えられれば……)

 誰かの感情や気配を感じ取れるというのなら、その逆、伝えることも出来るのではないかとエビルは考えた。
 両目を閉じて、マシュマロの顔に優しく手を伸ばして語りかける。

「乗せてくれるかい?」

 マシュマロは少し鳴いてから顔を背中に一度向ける。
 両目を開けたエビルはもう大丈夫だと思えた。それからそっと背に飛び乗って跨ってみれば、驚くことに今度は落とさず受け入れてくれた。

「マジか? これ」

 ただ見つめ合っただけで乗るコツのようなものを掴んだのか、振り落とされることなく乗っているエビルにジョウは愕然とする。自分は月単位でかかったというのにエビルは半日もかかっていないのだ。才能といってしまえば簡単だが、エビルにはなにか他人とは違うものがあるのだと推測する。

「どうやったのか分からないが……乗れたな、エビル」

「僕の心が、ジョウさんの気持ちも加えて伝わったんじゃないですか? マシュマロだってこのレースに出たい筈なんです。ジョウさんと出たいという気持ちが伝わってきます」

「……そんなこと」

「もちろんマシュマロは喋らない、でも生きている。感情が伝わることだってありますよ。このレースにかけた思いが伝わったんですよ! お願いだマシュマロ……ジョウさんの想いのために、走ってくれ……!」

 優しく頭を撫でながらエビルがそう語りかけると、マシュマロは足を進ませ、次第に速くなって走り始める。その速度は時速八十キロメートルを超える速度を出せるホーシアンの中では遅いが、エビルが落ちないようにしっかりと安定した走りを見せる。

 その日、マシュマロと乗ホーシアン訓練を終えた頃には、もうジョウが認めるくらいに乗れるようになっていた。
 マシュマロを厩舎きゅうしゃへと預けに行く道中。ジョウは真剣な顔で告げる。

「エビル……明日のレース、途中までしか見れないけど応援してるぞ……証明してやれ。凡人、いや凡ホーシアンでも、努力すればちょっと強い奴らなんて超えられるってことを」

「はい、頑張ります」

 たった一日、されど一日。一生懸命に努力した時間は裏切らない。
 明日開催されるホーシアンレースで優勝してみせると、エビルは強く誓った。
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