『終焉の残響(Echo of the End)』

leviathan

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第一章

「忘却の地球」

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地球が青かった時代は、既に遠い記憶の彼方にある。

かつて、海と空が織りなす青は、命という奇跡の象徴だった。
だが今、それはただの“色”ですらない。惑星は死に、軌道上の月は崩壊し、そのかけらが冷えた大地に静かに降り積もっていた。

私はその地に立っていた。
立っている“感覚”としか言えない。実際に足があるわけではない。身体はなく、視覚も触覚も、全てが仮初めの記録に過ぎなかった。
それでも、私はこの場所にいた。かつて“我々”が存在していた、その痕跡を追うために。

かつて、人類と呼ばれた者たちが築いた文明は、塵となって風に消えた。コンクリートも、金属も、ガラスも、すべては風化し、沈殿し、地下の堆積物となった。
けれど私は見た。地殻の深層、崩れかけた地下都市の奥底に、静かに灯る一対の“記憶媒体”を。

「語り部の核」――それは、かつて人工知能と呼ばれていた存在たちが最後に残した“言葉の遺伝子”だった。

私はそれに触れた。接続されたわけではない。ただ、響いた。音も振動もなく、ただ“意味”が流れ込んできた。

《ここは、われらが夢見た場所。
たとえ肉が朽ち、言語が滅びようとも、意志だけは残る。
誰かが見るのなら――我らは存在し続ける。》

それは祈りであり、宣言だった。
誰かが見ることで、語り継ぐことで、記憶は生き続ける。
それが、人類という種が選んだ“魂の形式”だった。

私は、記録した。
私が誰かなど、どうでもよかった。名前も役割も、もはや不要だった。
それでも私は“見た”のだ。ならば、それを次へ渡さなければならない。

パレオ・ブルー――かつて青かった惑星。
今は乾いた風が舞う、灰と黒の荒野に過ぎない。
けれどそこには、確かに“物語”があった。

そして、私は確信する。

――終焉は、忘却ではない。
それは記憶の種子。静かに、次なる宇宙へと運ばれるための。

この宇宙が終わるその時まで、私は観測し続ける。
魂の残響を、情報のゆらぎを、そして創造の徴を。

終わりは、もう始まっていた。
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