聖人の番である聖女はすでに壊れている~姉を破壊した妹を同じように破壊する~

サイコちゃん

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第2話 偽聖女システィア視点 勝利の笑い

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 システィアは幸せな人生を謳歌していた。
 馬鹿な姉はテュペル国の屋敷に置き去りにした。
 きっと今頃、侍女に虐待されて泣き叫んでいるだろう。

「システィア様! 恋の聖魔法を使って下さる? 陛下がつれないの!」
「ええ、勿論ですわ。王妃殿下」

 ほら、王妃ですら自分を敬いつつ頼ってくる。
 私はこの国で絶対的な地位を手に入れたわ――システィアは嫣然と笑む。
 姉ウルティアの聖力も、祈りの力も、聖魔法も、全部全部自分のもの。
 それだけじゃない、姉の持っていた良いものは全部手に入れた。

「ああ、システィア様って本当に優雅ね……」
「そうね、淑女の鑑だわ……」

 システィアの立ち振る舞いに、貴婦人ですら魅了される。

「おい、システィア様だ……何て美しいんだろう……」
「本当だ……こっちを向いてくれないかな……」

 システィアの輝ける美貌に、どんな紳士でも魅了される。

「うふふ、私って本当に罪な女ね――」

 システィアは王侯貴族の称賛の声の元、有頂天になる。
 地位も、名誉も、金も……あらゆる栄華が自分のものである。

 それもこれも自分が優秀だったから。
 それもこれも姉が間抜けだったから。

 正直、聖女としての責任感ある姉は大嫌いだった。
 だからシスティアは知り合いの黒魔術師に頼んで、姉を呪ったのだ。
 その呪いはあまりに素晴らしく、独占するため黒魔術師を殺したほどだ。

 あれは精神魔術式の奥深くに入り込み、同化する。
 普通の魔術師には決して弄ることができない。
 だから自分の栄華はこのまま続く!

「ふふふう……あははははははぁ……――」

 システィアは勝利の笑い声を上げた。
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