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第10話 ―ロサ視点―
おかしい、こんなの絶対におかしい。
リリウムが家を出ていってから、全てがおかしいわ。
「もう駄目だッ! 事業が失敗して借金まみれだッ! 今までは何もかも上手くいっていたのにッ!」
お父様が頭を抱えながら叫んでる。
「もう嫌ッ! どうしてこの屋敷には召使がひとりもいないのッ!? 今までは皆、嬉しそうに仕えていたのにッ!」
お母様が半狂乱になって喚き散らす。
私もずっと顔面が痛いままで、パンパンに腫れ上がってる。この見た目の所為で、婚約者のルース様には婚約破棄を言い渡されてしまった。それなのにリリウムがグラキエス様と結婚するなんて、信じられない……!
憎い! 恨めしい!
きっと全部リリウムの所為よ!
「この不幸ってリリウムの仕業じゃない!? あいつが私達を苦しめているのよ!」
「何を馬鹿なことを……」
「そうよ、無関係だわ」
「でもリリウムが出ていってから、この家で悪いことが起き始めたのよ!? 何か心当たりはないの!?」
私が食い下がると、二人は考え始めた。やがてリリウムの様々な記憶を語り、やがてこう呟いた。
「昔、あいつは妙な力を使って、自分のことを何とか姫って言ってなかったか?」
「そうね、何姫だったかしら?」
その言葉を聞いて、私は閃いた。
「もしかして妖精姫じゃない!? あいつ、私に殴られそうになった時、妖精に助けを求めたのよ! きっと妖精に襲われたから、私の顔は腫れたままなのよ!」
「そ、それだっ! 妖精姫だっ!」
「そうよ、それよ! ずっと森で保護した孤児だと勘違いしていたわ!」
そしてお父様とお母様はたった今思い出した過去を話してくれた。
六年前、二人は訪れた森で、ひとり彷徨うリリウムを発見したそうなの。“自分は妖精姫だが、死んでしまった妖精王の命令により、人間と暮らさなくてはいけない”と語る彼女を二人は孤児院へ連れて行こうとした。でもその途中、次々と幸運に恵まれたため、リリウムを養女にすることにしたの。
そして養子の手続きの際、リリウムが妖精姫だと王家に知れて、国王陛下が大慌てで駆けつけたらしい。しかし当時の両親は幸運をくれるリリウムに優しかったし、リリウムもそんな二人を慕っていたから、国王陛下は預け先として認めてくれたそうなの。さらには妖精姫が妖精王の力を全て受け継いだと知るや否や極度に怯えて、それ以降は様子を見に来なくなったって。
やがて両親は幸運に慣れていき、リリウムを軽んじるようになった。そして「気味が悪いから、妙な力を使うな」「馬鹿みたいだから、自分のことを妖精姫と言うな」と命令したの。するとリリウムがその命令を守った所為で、両親はあいつが妖精姫であることを忘れてしまったらしいのよ。
それで両親は厳しい躾を始め、ついには邪魔になったリリウムを働きに出そうとした。しかしあいつは自ら家を出ていってしまった――
「クソッ、リリウムめッ! 私達を不幸にするために家を出たのか!」
「恩を仇で返すなんて、最低よッ!」
「絶対に復讐してやるわッ!」
私達はリリウムに復讐すると誓った。
あいつは六年も育ててもらった癖に、両親を不幸にしたのよ? しかもグラキエス様をたぶらかして奪ったのよ? こんな最低女、他にいるかしら?
できるだけ苦しみを味わって死んでほしいわね!
それから私達は妖精について調べ始めた。
この国では、目には見えない妖精が無数に存在して、そこら中を飛び回っている。そして人間に恩恵と加護を与えるのだけど、悪い人間には罰を下したりする……。
私は一心不乱に妖精の書物を読んだ。
きっときっと何か弱点があるはずよ。
そして私はついに、妖精が苦手なものを見つけ出した。
「こ、これだわ……! これさえあれば、妖精姫を……!」
このことをすぐにお父様とお母様に知らせると、二人共とても喜んでくれた。
「よくやった、ロサ! これでリリウムに復讐できるぞ!」
「ええ! 一週間後の舞踏会で、リリウムに復讐しましょう!」
私達はなけなしのお金を使い、ドレスとタキシードを新調した。勿論、妖精の弱点を用意することも忘れていない。
うふふ、これでリリウムの苦しむ顔が見れるわね!
最高の気分よ! 舞踏会が待ち遠しいわ!
リリウムが家を出ていってから、全てがおかしいわ。
「もう駄目だッ! 事業が失敗して借金まみれだッ! 今までは何もかも上手くいっていたのにッ!」
お父様が頭を抱えながら叫んでる。
「もう嫌ッ! どうしてこの屋敷には召使がひとりもいないのッ!? 今までは皆、嬉しそうに仕えていたのにッ!」
お母様が半狂乱になって喚き散らす。
私もずっと顔面が痛いままで、パンパンに腫れ上がってる。この見た目の所為で、婚約者のルース様には婚約破棄を言い渡されてしまった。それなのにリリウムがグラキエス様と結婚するなんて、信じられない……!
憎い! 恨めしい!
きっと全部リリウムの所為よ!
「この不幸ってリリウムの仕業じゃない!? あいつが私達を苦しめているのよ!」
「何を馬鹿なことを……」
「そうよ、無関係だわ」
「でもリリウムが出ていってから、この家で悪いことが起き始めたのよ!? 何か心当たりはないの!?」
私が食い下がると、二人は考え始めた。やがてリリウムの様々な記憶を語り、やがてこう呟いた。
「昔、あいつは妙な力を使って、自分のことを何とか姫って言ってなかったか?」
「そうね、何姫だったかしら?」
その言葉を聞いて、私は閃いた。
「もしかして妖精姫じゃない!? あいつ、私に殴られそうになった時、妖精に助けを求めたのよ! きっと妖精に襲われたから、私の顔は腫れたままなのよ!」
「そ、それだっ! 妖精姫だっ!」
「そうよ、それよ! ずっと森で保護した孤児だと勘違いしていたわ!」
そしてお父様とお母様はたった今思い出した過去を話してくれた。
六年前、二人は訪れた森で、ひとり彷徨うリリウムを発見したそうなの。“自分は妖精姫だが、死んでしまった妖精王の命令により、人間と暮らさなくてはいけない”と語る彼女を二人は孤児院へ連れて行こうとした。でもその途中、次々と幸運に恵まれたため、リリウムを養女にすることにしたの。
そして養子の手続きの際、リリウムが妖精姫だと王家に知れて、国王陛下が大慌てで駆けつけたらしい。しかし当時の両親は幸運をくれるリリウムに優しかったし、リリウムもそんな二人を慕っていたから、国王陛下は預け先として認めてくれたそうなの。さらには妖精姫が妖精王の力を全て受け継いだと知るや否や極度に怯えて、それ以降は様子を見に来なくなったって。
やがて両親は幸運に慣れていき、リリウムを軽んじるようになった。そして「気味が悪いから、妙な力を使うな」「馬鹿みたいだから、自分のことを妖精姫と言うな」と命令したの。するとリリウムがその命令を守った所為で、両親はあいつが妖精姫であることを忘れてしまったらしいのよ。
それで両親は厳しい躾を始め、ついには邪魔になったリリウムを働きに出そうとした。しかしあいつは自ら家を出ていってしまった――
「クソッ、リリウムめッ! 私達を不幸にするために家を出たのか!」
「恩を仇で返すなんて、最低よッ!」
「絶対に復讐してやるわッ!」
私達はリリウムに復讐すると誓った。
あいつは六年も育ててもらった癖に、両親を不幸にしたのよ? しかもグラキエス様をたぶらかして奪ったのよ? こんな最低女、他にいるかしら?
できるだけ苦しみを味わって死んでほしいわね!
それから私達は妖精について調べ始めた。
この国では、目には見えない妖精が無数に存在して、そこら中を飛び回っている。そして人間に恩恵と加護を与えるのだけど、悪い人間には罰を下したりする……。
私は一心不乱に妖精の書物を読んだ。
きっときっと何か弱点があるはずよ。
そして私はついに、妖精が苦手なものを見つけ出した。
「こ、これだわ……! これさえあれば、妖精姫を……!」
このことをすぐにお父様とお母様に知らせると、二人共とても喜んでくれた。
「よくやった、ロサ! これでリリウムに復讐できるぞ!」
「ええ! 一週間後の舞踏会で、リリウムに復讐しましょう!」
私達はなけなしのお金を使い、ドレスとタキシードを新調した。勿論、妖精の弱点を用意することも忘れていない。
うふふ、これでリリウムの苦しむ顔が見れるわね!
最高の気分よ! 舞踏会が待ち遠しいわ!
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