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第五章(1/2)
しおりを挟む四人の男から報告を受けた人物は歯軋りする。
男は四人とも屈強な身体のもち主だ。邪魔が入ることを前提に計画していたが、負かされることはないと考えていたのである。
――失敗した……。
追いかけて、必死に護る存在なのか。
ならばなぜ、炎媚にまで手をだすのだ?
その気持ちが理解できないし、なにより思いどおりに周囲が動かないことに腹が立つ。
神経が苛立って居ても立ってもいられず、しくじった男四人の頬を順にはたいた。
しかし暴力は安堵をもたらさず、ぐつぐつと腸が煮え返るだけ。
彼女は気づかない。
自分が動いている間、周囲は動きを止めているわけではない。同じ時を刻み、意思をもって周囲も動いていることを。
第一景
芭瑠からもらった茘枝を片手に、迅白は室へと向かう回廊の角を折れようとしていた。
豪商なのにおネェ言葉という強烈な自己主張にもだいぶ慣れ、慣れれば気前のよさに好感がもてるようになる。今もばったり会って果物をたらふく食べさせてもらい、
『心が凍えているときほど、ご飯をいっぱい食べてお腹を温めなくちゃダメよお』
と、茘枝を持たせてもらったのだった。
前時代的な思考のひとつとなっているが、茘枝には有名な話が残っている。
昔、皇帝の寵妃が茘枝をこよなく愛していた。運河の拓かれていない時代のこと、遥かな道程を駆けさせて皇都まで茘枝を運ばせたため、茘枝は〝妃の我の強さ〟の象徴ととられることもあるのだ。
これといって迅白は心が凍えているわけではない。が、腹が満たされれば自然と心も満たされる。軽く飛び跳ねながらふんふんと鼻歌をうたう迅白だ。
とそこに、男女の声が洩れてくる。
あれっ、と首をかしげ、足を止めた。
回廊の先は元上役が借り受けている室が並んでいる。夜も更けて彼は出勤している時刻、勤勉な彼が仕事を放りだしてここにいるはずはない。女人の声はレイとして、男は誰だ?
迅白も一応、元武官。気配を殺して壁にはりつき、そうっと建物の角から盗み見る。
すると――。
「ということがあったんですよぉ」
律儀に迅白は、昨夜、目撃したことをヒュウに報告していた。
「すっごい仲よさげで。二人、濃密な空気を纏ったまま身を寄せ合っていて」
聞くにつれ、不機嫌になっていくのはヒュウである。
「で? 肩までの茶の髪は垂らしたまま、同じく双眸は茶で垂れ目、歳は二十代後半、遊び人ふうという特徴のほかは?」
苛々とヒュウは訊く。靴底でげしげし踏みつけるせいで床が今にも抜けそうであった。
「現実をゆがませるような、緊張の欠片もない声で。あぁ、でも、花を飛ばしまくる華やかなめちゃめちゃいい男なんですよぉ。カッ――ヒュウ様と顔だけは張りますね」
迅白の言葉が塊となって、ヒュウの横っ面を張り倒す。苛立ちも頂点に達したヒュウは無言で迅白に近づいた。
「うひゃっ」
迅白の身体が高々と投げ飛ばされる。
「ひょえっ、カッ――ヒュウ様、今、ぽきりと折れる音がしましたっ。僕の首、折れたんじゃ」
「バカ言うな。折れたのは首ではない。第一、首が折れたら死ぬだろう」
私の心が折れたのだ、というヒュウの嘆きは、慌てる迅白の耳を素通りする。
「ヒュウ様、手加減するという常識は捨てたんですかっ?」
「常識人はおもしろみに欠けるから私を選んだと言ったのはおまえだろうに」
「真顔で嘘をつかないでくださいよぉ~~ぉおっと、僕、言いましたね」
頭を掻きながらへらりと笑う迅白だ。
しかし、ヒュウは笑えない。これは危機的状況である。
(花を飛ばしまくる華やかな男だとっ!? 誰だそいつ、いつ知り合ったんだ?)
ヒュウはむむっと眉間に皺を刻んだ。皺の深さが苦悩の深さを表している。
(や、待て)
そこでヒュウの脳裏にひらめくものがあった。
そういえば、男の特徴はどこかで聞いたものばかり。
「おい、迅白。その男がここにいた時刻に間違いはないだろうな」
「あ? ~ぁ、はい、ヒュウ様の出勤中の出来事で。どうかしましたか?」
「いやな、私が妓楼で悩まされている男の特徴に似ているんだが」
男の姓は袁、名は洪。
袁洪という名以外、遊んだ妓女達の記憶は曖昧で、男の特徴をはっきりと思い出せる者は一人もいない。だが、一人ひとりに聞きとりしたぶつ切りの情報をつなげれば。
「茶の癖毛、肩までの髪は垂らしたまま、垂れ目、茶の眸、歳は二十代後半、酒好きの蕩児ふう。すべてが一致する」
ほかにも思い当たることがあった。
現実をゆがませるような緊張の欠片もない声――これは以前、レイが明け方に寝室の外で話し込んでいた男の話し方と一致しないだろうか。
(あの朝は、呼び出した役鬼と話しているのだろうと気にしなかったが)
鬼が自ら名乗ることはない。
そう教えてくれたのはレイだ。
(では、妓楼で豪遊する男は鬼ではない? 別人なのか?)
だとしても、腑に落ちない。
「袁洪という男、昨夜も早くから妓楼で遊んでいたんだ。時間的にも芭瑠の邸に寄っていたとはとても思えんが……」
「ということはヒュウ様、昨夜も捕り物に失敗したんですか?」
「迅白、ここは黙っておくところだ」
「はい、すみません」
男子たるもの、敗北を認めたら終わりである。
謝っておきながら迅白の口はすぐに開いた。
「そういえば、袁洪という名、どこかで耳にしたことがあるとずっと思ってたんですけども。古代に起こった大革命――負けたのが紂王で、勝ったのが武王ですが。紂王側に参戦した武将の名と同じなんですよねぇ」
天と地、人と鬼が入り乱れて戦ったとされている。現代では最早伝説になりつつあるはるか昔の大革命であった。
「梅の木のもとで育ったからか、その容貌は花の如き美々しさだったそうで、ついた彼の綽名が〝貌美しい袁洪〟。愛用の武器は二口の名剣、剣の名は確かそれぞれ濮陽と歐冶だったかと」
「おまえ……徐家の者らしく、昔話をよく知ってるな」
「閑話休題。ヒュウ様、例の襲ってきた男四人、それと袁洪と名乗る無頼漢、関係があるんじゃ。何事かを画策してレイさんとお近づきになっているとか」
「いいや、ないな」
「ずいぶんはっきり否定しましたね。襲撃してきた男四人の素姓に心当たりでも?」
「ああ、取り巻きの仕業だからな」
「?」
目下の大問題は遊び人・袁洪の存在だ。
どう対処したものか。思案しながらヒュウは机案に視線を落とした。本日も洩れなく紙が散乱していて、満遍なく字が連ねられている。
四角い所を丸く掃く迅白ではあるが、流麗な文体と文字である。自分の好きなものにだけのめり込む性格なのだろう。人生を突っ走ってまでこだわる部分があるのだ。
(もてる能力を駆使してのこだわりが私の追っかけとは。……笑えるがな)
「この食べかけの茘枝、どうしたんだ?」
「昨夜、芭瑠殿からいただきました」
「いいご身分だな、おまえ。私とレイに分けず独り占めか」
「お二人のほうが僕よりいいご身分じゃないですかぁ。おこがましくて分けるという考えすら浮かびませんでしたよ」
「なんてヤツだ。で? 芭瑠からいくつもらった?」
「え……数、気になりますか? みみっちくなりましたねヒュウ様、皇都にいた頃はもっと気前がよくて太っ腹だったのにぃ」
「いいから、数を言え」
「果実は四つでした」
四、と低く呟くヒュウ。
それを眺める迅白の顔には「?」が浮かんでいたが、突然、首に腕を回されて息がつまり、疑問は吹き飛んだ。呼吸困難に陥って迅白は「ふがふが」もがくだけだ。
「おまえにひとつ、しなければならない話がある」
迅白は「わかりました」とばかり、首に回されているヒュウの腕に縋りつく。投げ飛ばされて、首絞められて、今日は散々である。
とはいえ、これもネタになる。ここは我慢のしどころだ。我慢我慢。
にぎやかだった迅白の室内には静けさが訪れて。墨の匂いと茘枝独特の甘い香気が混ざる中で、男二人は頬を寄せ、耳に口唇を寄せ――
端から見ればこの二人、恋人同士にほかならなかった。
なんて日だ!
心中深くで叫んだのはヒュウである。
迅白から〝花を飛ばしまくるムダにいい男〟の報告を受けたヒュウは、その男が袁洪と同一人物なのかを確かめるためにも、今夜こそ捕縛! と意気込んで出勤した。
のに……。
今夜にかぎって袁洪は現れなかったのだ。
苛立ってヤル気になった分、大損した気分だった。
(連日連夜あがりこんでいたのに、どうして今夜は来なかった?)
身体――というより気疲れのせいでぐったりするヒュウの対面には、炎媚が座っている。ここは彼女の室であり、いつものように客の飲み残しの酒をもらっているのだった。
曇天のせいで判別しにくいが、すでに夜明けの時刻になっている。
「袁洪という殿方、今夜はおいでにならなかったのでしょう?」
酒を注ぎながら炎媚が言う。
鮮やかな彼女の笑顔を眺めて(そういえば)とヒュウは思った。炎媚は、袁洪と会ったことがないらしい。妓女にも格があり、炎媚のように格の高い妓女ほど歌舞音曲や詩文の素養に優れている。したがって、得意客は文人墨客や豪商となる。だが、袁洪が遊ぶのは決まって格が低く経験の浅い妓女ばかりだからだ。
「申し訳ない。貴女はこの妓家の娘、あんな男のせいで損失を大きくしてしまって」
「ヒュウ様が謝ることはございませんよ」
「だがな……」
詫びる言葉が見つからなくて、結局、ヒュウは黙り込む。
炎媚はこの老舗妓楼を継ぐ女人、役立たずと罵られて当然なのに気をつかわれては却って居心地が悪くなる。同情を乞うようでは武人失格。もらう酒も味がしない。
「お相手した妓女達の記憶が曖昧なのですから仕方ありません」
「……それもまた奇妙なんだが」
「一夜の夢幻と錯覚するほどに素敵な殿方なのでしょう」
「冗談――」
――でも言ってほしくなかった。
もしもその素敵な殿方とやらがレイと逢っていたとしたら……。二人はどんな間柄? 想像しただけでこめかみの血管が切れそうになる。疑いだしたらきりがなく、どす黒い苛立ちがまた、腹の中へとたまりはじめる。
「あたし、思ったのですが」
小首をかしげる炎媚。その拍子に薄い肩から着物がずり落ちて、柔らかそうな肌があらわになった。上客の相手をしたあとだから身体は溢れんばかりの色気に包まれている。彼女の美的迫力は衣をとおしても伝わってくる。
「その殿方、ヒュウ様をきりきり舞いさせるために妓楼にあがりこんでいたのでは?」
「私を?」
「まるでヒュウ様の仕事ぶりを観察するためだけに通っていたように思うのです」
「……そう?」
「ええ。ですから、妓女達の印象に残らなかったのかと」
そういう見方もあるか、と発見に驚きながらヒュウは考え込んだ。
格の高い炎媚のような名妓は口が堅いが、経験の浅い妓女はそうでもないのかもしれない。美丈夫の手練手管で口説き落として、妓楼に雇われた傭人の行動の型をしゃべらせていたとしたら?
(それで格の低い妓女達とばかり遊んでいたのか?)
袁洪の印象の薄さは、男によって意識的につくられたものだったとしたら。妓女達の記憶が曖昧なのも頷けるというものだ。
(狙いは私なのか?)
妓女の室で沈思黙考し放題の無粋な男に、炎媚がふっと笑った。
「あ……すまない」
「いえいえ。件の殿方がこのまま登楼しなくなってくれればと願うばかりです」
それはそれで、とヒュウにしてみれば納得がいかない。
傭人としての責務はなんら果たせず終わってしまうのだから。
「先程、あがりの挨拶をしにきた妓女、名はなんといったか」
「環宇ですか、あたしの直接の後輩になります。お気に入りまして?」
営業用の笑みを向けられても、ヒュウはどう返してよいかわからない。色混じりの駆け引きは面倒だ。またも黙り込んでしまうと、
「ヒュウ様、お子様は?」
「いる」
「まあ、皇都に」
「いるが、たぶん、あれ、私の子じゃない」
炎媚は刹那、目を瞠り。場の雰囲気を軽くするようにふふっと笑った。
「殿方は身勝手ですね。妻子がいるのに、新たな恋を求めて」
ヒュウにとっては気分を害するほどの話題でもなかったのだが、せっかく炎媚が色恋事へと話を逸らしてくれたのだ。ここは乗っておくことにする。
「なにかを懸命にこらえて保たれている均衡は、いずれ崩れる。互いを壊してしまう。破壊のあとにはなにも残らない、最悪だ。そうなる前に離縁したくて、皇都を離れる前から妻とは顔を合わせていなかったんだが。……微塵の後悔もない離縁なんて、今にして想えば心が凍えて息ができなくなるほど哀しい付き合い方しかしてこなかったということだ。
次に誰かと添うなら、もっと違う愛し方をしたい」
「後悔のない離縁とは、また」
不仲というものは、それ相応の付き合いのある者同士に使うべき言葉であって、それ以前に自分達夫婦にはこれっぽっちも愛情はなかったのだ。愛がなければ、互いの向く方向も違ってくる。そう認めているからこそヒュウは、とやかく言ったり言われたりするのが互いの損になると割り切って、別居同然の生活をしてきたのだった。
「夫婦円満とはいかず夢のまた夢」
「夫婦のこととなれば親きょうだいを巻き込みましょう。ご家族はなんと?」
「うん? 私には兄がいるんだが」
酒杯を覗けば、微かに自分の顔が酒に映って揺れている。
それがまるで兄に見つめ返されているようで。
「私は兄から信頼され、結果、自由を得た。いいことずくめの人生だ、だから兄に心配をかけるのは本意ではなかった……」
いったん口を噤んでヒュウは首を振る。
「自由を得たと言いながら、けれどそれは、兄を軸にして描かれた範疇でのこと。結局は兄に甘えている」
炎媚は静かにしているだけだ。なにを言われるよりありがたかった。
「信頼、ではなく、私は甘やかされているんだ」
兄弟が抱えてきた目に見えない重い荷物が、形を変え、時という名の鎖となって、兄と弟を縛りつけようとしている。
『人は、自分の歩むべき道がわかっているから、迷うのかもしれない。命あるかぎり』
名残のような細い痛みをともなって記憶の向こう側から声がする。
兄の声が。
実感し、ヒュウは酒杯を傾けた。
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