異世界転移して戻ってきたけど、疲れきったおじさんになっちゃった元勇者が子連れで再召喚されたら総愛されになってしまった件について

鳥海あおい

文字の大きさ
10 / 25

9.身支度

しおりを挟む
-----なんだこれ、モテ期か??

なかば気分的にぐったりしながら、俺は風呂場へと連行…もとい、案内された。

どうせモテるなら蓮みたいにかわいいメイドさんたちに囲まれてちやほやされたいのに、俺ときたら元パーティーメンバーの男たちにいいようにされてしまってるという悲しさ。

だが、昔勇者時代にコミュ障だった俺は、他のメンバーとなじめなくて寂しかった。
仲良くなれたらと思っていたのに、彼らはすごく大人に見えていて、皆それぞれ自分の力で今の力を手に入れていてすごくかっこよくて、遠い人に見えた。

--寂しかった。

そのときの気持ちが根底にあるせいか、エロいことをされても、なんだか嫌いにはなれないのだった。

案内された風呂場は、やたらゴージャスだった。
広くて、バラの花びらとか浮かんでて、ゴージャス風呂定番のライオンの口から水が出るやつとかがある。
城の中にこんなところがあるなんて知らなかったが、王族なんかが入ったりするところなのかもしれない。

お湯に手を入れてみたが、ちょうどよい温度だったので俺はさっさと服を脱ぎ、ドボンとお湯に飛び込んだ。

(それにしても、やつらもおかしいよな)

15歳ピチピチ男子高生ならわかるが、29歳男と、ナンカして何が楽しいのかと思う。
だが、彼らの言葉から想像するに、前は子供すぎて色気を感じなかったが、今はちょうどよい感じ、ということなのだろう。日本人は若く見えるというのはよく聞くが、前はもしかして小学生くらいに見えてた??

広い風呂につかってリラックスしながら、そういえば先程シルヴァが言っていたことが気になってくる。

「召喚された理由…」

また新たなる魔王が出現とか?
でも俺にはもう勇者の力はない。今は役割を終えて、余生みたいなもんだ。
あとはあのことがバレたのかと思ったけど、それだったらこんな風に野放しにはしないだろう。

とにかく、早くもとの世界に返してもらわないと。
…彼に会えてないのは残念だけれども。

その時、バシャンという音がして、水面に波紋が広がった。
でかい茶髪の男が水をかきわけてすすんでくるのを見て、俺は思わずうんざりした。

「よお」

「-----どっち?」

「えっ!?」

魔術師のかたわれは俺がいくらか硬い口調で言ったので、一瞬怯んだようだった。
先程のことがあったので警戒してしまう。
またエロいことをされたらたまらない。一日に2度も出させれたらもう充分だと思う。

「テオだよ。ここに傷があるのが俺の目印」

指さされた胸元を見ると、確かに腰のほうまで火傷のような傷がある。
黒魔術師は実際戦闘に加わるから、その時に追ったのかもしれない。

「服着てたら区別つかない場所じゃないか。もっと区別つきやすくしてほしいな」

「色々と便利なんだよ」

悪い顔をしてテオは言った。
どうせ入れ替ってなんか悪いことするんだろうなーと思う。
警戒してすこし距離をとる。
それにしても筋肉…うらやましい。俺は筋肉がつきづらいらしく、筋トレとかしてもムキムキにならないのだ。もちろん今は社畜のため筋トレする暇はない。

「お前とこんな風に風呂に入る日がくるなんてなー。前はこんなん小さかったのに」

「そんないうほど子供じゃなかったと思うけど。今はたしかにおっさんになったとは思うけどさ」

「たしかに疲れ果てたおっさんって感じだったわ。結婚して子供いるとかかなりびっくり」

あはは、と。テオは朗らかに笑った。

「そりゃあ、帰ってから普通に暮らしてたしするでしょ結婚くらい。まだみんなはしてないの?」

「……ん?う…ん、まあな」

風呂につかったままテオと普通に会話できてちょっと安心してきた俺は、急にテオの口調がおもくなったのに気づかなかった。
なぜなら、気になってたことをそれとなく聞き出すチャンスだと思ってドギマギしていたからだ。

「そ、そういえばなんだけど、ハリーはどうしてるの?いなかったけど」

召喚のときに見なかったパーティーのメンバーの名前を出す。
太陽のような金髪と、蒼天の青い瞳の騎士。
たなびくマント。
胸の中にもう捨てたはずの切ない思いが去来する。

「ハリーは…多分、あとから来ると思う。お前、ハリーのこと好きだったもんな」

「…まあ、その…憧れみたいなものっていうか。それより俺たち、はやく元のとこに帰りたいんだけど」

「え?戻るのはしばらくは無理だけど」


なんだってーー!?


話を変えたかっただけなのだが、衝撃のニュースに、俺は凍りついた。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

処理中です...