23 / 25
22.ハリーのスキル
しおりを挟む
「・・・」
「・・・」
俺がてこでも動かないし言わないという気迫をみせたせいか、しばらくにらみ合いを続けた後、ハリーはため息をついた。
張り詰めていた空気が緩む。
「・・・わかった。とりあえず座って話そう」
「うんーー」
ひとまず休戦というとこだな、と、俺はホッっとした。
促されて椅子に座る。
テーブルの横に準備がよいことに焼き菓子とお茶がワゴンに用意されており、ちょうど小腹がすいていたので、食しながら話すことにした。
王弟らしくないシンプルな飾り気のない部屋だった。
もっとも今はここで暮らしていないというのもあるかもしれないが、彼らしいとも思う。
ハリーがガントレットを外し腕と肩から鎧を外すの様子を、俺はじっと見た。
まんまゲームとか漫画に出てくるような騎士姿でかっこいいなあと思う。
「手伝う?」
「背中を頼んでよいか?」
旅の途中で身につけついたような簡易なものとは違う立派な鎧は本来なら誰かが着脱を手伝うことが前提なのだろう。
背中側に固定するためのベルトがついている。
それを外すのを手伝ってあげながら、庶民とは違って手伝いがあることが前提だから、俺たちの服はややこしくできていることに納得する。
重い胸当てと、背中の部分を外して鎖帷子になり、下半分の鎧はそのままという格好で、ハリーは椅子に座った。
お互い先程の勢いがなくなったため、微妙な気まずさがしばし漂った。
これではただお茶飲むだけになってしまう。
俺は意を決して話し始めた。
「…元気だった?今はほとんど領地のほうにいるって聞いたけど、どのへんなの」
昔は領地を持っていなかったから、多分、討伐の褒賞としてもらったんだろう。
「…ウエストエンドに」
「えっ、辺境?押し付けられたの?」
「いや、そういうわけではない。俺が望んだ」
ウエストエンドはもと魔王の支配していた領域に接していた地域である。
魔王を倒しても魔物はいきなり減るわけではないし、はっきりいって不毛地帯に近くてあまりよい土地柄とは言い難い。
そこが欲しいというなんて、かなりのモノ好きか魔物と戦うのが好きな戦闘狂だろう。
そんなに戦うのが好きなイメージはなかったけど…。
と思っていると、ハリーは話題を変えた。
「とりあえず先程の話の続き、だ。公言していないが、俺は特殊スキルを持っていて、ステータスの一部が見える。必ずしも全部見れるわけではないが…ちなみに以前は勇者の能力でクロエのステータスは隠匿されていて全く見えなかった。今は勇者ではなくなったので、見える」
だから今の俺の年齢や、蓮のことがわかったのか~と、納得するが、いったいハリーの目になにが見えてるのか、知りたいような知りたくないような…
クロエ·コウタロウ
---サラリーマンLv.2---
29歳 男
妻に逃げられし者
スキル ごまかし
とかだったら、嫌だなあ。
「ちなみに何て見えるの?」
好奇心に負けてハリーに聞くと、ハリーは俺をじっと見た。
そして、何かに気づいてうろたえたようになり顔を伏せる。
「いや……大したことは、何も…」
「----何か気になるな~」
そうは言っても、あまり強く問いつめるわけにはいかない。
話が途切れたので、俺は手元無沙汰でお茶をガブガブと飲み、焼き菓子を食べた。
つまんで食べれる小さなパイみたいなやつで、とても美味しい。
このまま終わりにならないかなと密かに思ったが、もちろんハリーは約束を忘れたりはしてなかった。
しばらく下を向いて何かを耐えるようにしていたハリーだが、顔を上げた時は冷静さを取り戻していた。
「さて、俺の秘密は話した。クロエが隠していたことも話でしてもらおうか」
「・・・」
俺がてこでも動かないし言わないという気迫をみせたせいか、しばらくにらみ合いを続けた後、ハリーはため息をついた。
張り詰めていた空気が緩む。
「・・・わかった。とりあえず座って話そう」
「うんーー」
ひとまず休戦というとこだな、と、俺はホッっとした。
促されて椅子に座る。
テーブルの横に準備がよいことに焼き菓子とお茶がワゴンに用意されており、ちょうど小腹がすいていたので、食しながら話すことにした。
王弟らしくないシンプルな飾り気のない部屋だった。
もっとも今はここで暮らしていないというのもあるかもしれないが、彼らしいとも思う。
ハリーがガントレットを外し腕と肩から鎧を外すの様子を、俺はじっと見た。
まんまゲームとか漫画に出てくるような騎士姿でかっこいいなあと思う。
「手伝う?」
「背中を頼んでよいか?」
旅の途中で身につけついたような簡易なものとは違う立派な鎧は本来なら誰かが着脱を手伝うことが前提なのだろう。
背中側に固定するためのベルトがついている。
それを外すのを手伝ってあげながら、庶民とは違って手伝いがあることが前提だから、俺たちの服はややこしくできていることに納得する。
重い胸当てと、背中の部分を外して鎖帷子になり、下半分の鎧はそのままという格好で、ハリーは椅子に座った。
お互い先程の勢いがなくなったため、微妙な気まずさがしばし漂った。
これではただお茶飲むだけになってしまう。
俺は意を決して話し始めた。
「…元気だった?今はほとんど領地のほうにいるって聞いたけど、どのへんなの」
昔は領地を持っていなかったから、多分、討伐の褒賞としてもらったんだろう。
「…ウエストエンドに」
「えっ、辺境?押し付けられたの?」
「いや、そういうわけではない。俺が望んだ」
ウエストエンドはもと魔王の支配していた領域に接していた地域である。
魔王を倒しても魔物はいきなり減るわけではないし、はっきりいって不毛地帯に近くてあまりよい土地柄とは言い難い。
そこが欲しいというなんて、かなりのモノ好きか魔物と戦うのが好きな戦闘狂だろう。
そんなに戦うのが好きなイメージはなかったけど…。
と思っていると、ハリーは話題を変えた。
「とりあえず先程の話の続き、だ。公言していないが、俺は特殊スキルを持っていて、ステータスの一部が見える。必ずしも全部見れるわけではないが…ちなみに以前は勇者の能力でクロエのステータスは隠匿されていて全く見えなかった。今は勇者ではなくなったので、見える」
だから今の俺の年齢や、蓮のことがわかったのか~と、納得するが、いったいハリーの目になにが見えてるのか、知りたいような知りたくないような…
クロエ·コウタロウ
---サラリーマンLv.2---
29歳 男
妻に逃げられし者
スキル ごまかし
とかだったら、嫌だなあ。
「ちなみに何て見えるの?」
好奇心に負けてハリーに聞くと、ハリーは俺をじっと見た。
そして、何かに気づいてうろたえたようになり顔を伏せる。
「いや……大したことは、何も…」
「----何か気になるな~」
そうは言っても、あまり強く問いつめるわけにはいかない。
話が途切れたので、俺は手元無沙汰でお茶をガブガブと飲み、焼き菓子を食べた。
つまんで食べれる小さなパイみたいなやつで、とても美味しい。
このまま終わりにならないかなと密かに思ったが、もちろんハリーは約束を忘れたりはしてなかった。
しばらく下を向いて何かを耐えるようにしていたハリーだが、顔を上げた時は冷静さを取り戻していた。
「さて、俺の秘密は話した。クロエが隠していたことも話でしてもらおうか」
1
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています
柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。
酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。
性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。
そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。
離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。
姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。
冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟
今度こそ、本当の恋をしよう。
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる