異世界転移して戻ってきたけど、疲れきったおじさんになっちゃった元勇者が子連れで再召喚されたら総愛されになってしまった件について

鳥海あおい

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22.ハリーのスキル

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「・・・」

「・・・」

俺がてこでも動かないし言わないという気迫をみせたせいか、しばらくにらみ合いを続けた後、ハリーはため息をついた。
張り詰めていた空気が緩む。

「・・・わかった。とりあえず座って話そう」

「うんーー」

ひとまず休戦というとこだな、と、俺はホッっとした。

促されて椅子に座る。
テーブルの横に準備がよいことに焼き菓子とお茶がワゴンに用意されており、ちょうど小腹がすいていたので、食しながら話すことにした。

王弟らしくないシンプルな飾り気のない部屋だった。
もっとも今はここで暮らしていないというのもあるかもしれないが、彼らしいとも思う。 

ハリーがガントレットを外し腕と肩から鎧を外すの様子を、俺はじっと見た。
まんまゲームとか漫画に出てくるような騎士姿でかっこいいなあと思う。

「手伝う?」

「背中を頼んでよいか?」

旅の途中で身につけついたような簡易なものとは違う立派な鎧は本来なら誰かが着脱を手伝うことが前提なのだろう。
背中側に固定するためのベルトがついている。
それを外すのを手伝ってあげながら、庶民とは違って手伝いがあることが前提だから、俺たちの服はややこしくできていることに納得する。

重い胸当てと、背中の部分を外して鎖帷子になり、下半分の鎧はそのままという格好で、ハリーは椅子に座った。


お互い先程の勢いがなくなったため、微妙な気まずさがしばし漂った。
これではただお茶飲むだけになってしまう。
俺は意を決して話し始めた。

「…元気だった?今はほとんど領地のほうにいるって聞いたけど、どのへんなの」

昔は領地を持っていなかったから、多分、討伐の褒賞としてもらったんだろう。

「…ウエストエンドに」

「えっ、辺境?押し付けられたの?」

「いや、そういうわけではない。俺が望んだ」

ウエストエンドはもと魔王の支配していた領域に接していた地域である。
魔王を倒しても魔物はいきなり減るわけではないし、はっきりいって不毛地帯に近くてあまりよい土地柄とは言い難い。
そこが欲しいというなんて、かなりのモノ好きか魔物と戦うのが好きな戦闘狂だろう。
そんなに戦うのが好きなイメージはなかったけど…。
と思っていると、ハリーは話題を変えた。 

「とりあえず先程の話の続き、だ。公言していないが、俺は特殊スキルを持っていて、ステータスの一部が見える。必ずしも全部見れるわけではないが…ちなみに以前は勇者の能力でクロエのステータスは隠匿されていて全く見えなかった。今は勇者ではなくなったので、見える」 

だから今の俺の年齢や、蓮のことがわかったのか~と、納得するが、いったいハリーの目になにが見えてるのか、知りたいような知りたくないような…

クロエ·コウタロウ
---サラリーマンLv.2---
29歳 男
妻に逃げられし者
スキル ごまかし

とかだったら、嫌だなあ。

「ちなみに何て見えるの?」

好奇心に負けてハリーに聞くと、ハリーは俺をじっと見た。
そして、何かに気づいてうろたえたようになり顔を伏せる。

「いや……大したことは、何も…」

「----何か気になるな~」

そうは言っても、あまり強く問いつめるわけにはいかない。
話が途切れたので、俺は手元無沙汰でお茶をガブガブと飲み、焼き菓子を食べた。
つまんで食べれる小さなパイみたいなやつで、とても美味しい。

このまま終わりにならないかなと密かに思ったが、もちろんハリーは約束を忘れたりはしてなかった。
しばらく下を向いて何かを耐えるようにしていたハリーだが、顔を上げた時は冷静さを取り戻していた。

「さて、俺の秘密は話した。クロエが隠していたことも話でしてもらおうか」


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