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19.仄暗い闇
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桐原は普段からワイシャツの下に下着を着ないので、ボタンが外れていくにつれて、胸元から薄い腹のラインがあらわになってゆく。
だが、下にいくつかボタンを残して手が止まってしまった。
「そこまでで限界?MORE STRIP」
「…」
ぴくっと指先が動いたが、それ以上はコマンドに従えない。
もっとすればもっと歓ばせることができるとわかっても、無理だった。
それなのに。
「GOOD。前嫌がってたコマンド、ちゃんとできましたねGRATE」
遂行できなくても犬飼は褒め、あまつさえグレアをくれる。
努力を理解されたようで 桐原は満たされる。
脳が痺れるような甘さに酔い、犬飼の肩にもたれかかりながら、桐原はワイシャツのあわせの開いたところから中に手をさしこまれるのを感じた。
「…っ、うッ…犬飼…」
「…嫌ならちゃんとSAY」
布で隠れた部分につうっ、と指を滑らすと、肌の隆起のその先の突起に指で引っかかるのがわかる。
普段意識していないそこは思いの外敏感で、桐原は思わず声にならない小さな声をあげた。
切ないような、鈍い痺れのがはしりぬける。
触れた指先が尖りを帯び始めたそこを繊細な動きでくすぐるように動くと、桐原の息づかいに変化がおこりはじめ、甘さと湿度が交じる。
犬飼が強い視線で見ていた。
それは桐原が欲しいといっといて、必要とされることの喜悦が大きく膨らんだ
いぜん、抵抗はある。
だが、その先ーー互いに支配しあうことの先により深い充足があるのを、今日知ってしまった。
そして、今、互いにリンクしていることを感じるから、だから桐原は許容し、望んだ。
もっとつながりたい。
性的な絶頂よりもさらに深く、深い陶酔と満足感がほしい。
「……ふッ、う、ああ…」
甘さをおびた吐息が、桐原の口からもれた瞬間、だが犬飼はなにか我に返ったようだった。
「すみません!」
胸元の素肌をさまよっていた手がひっこめられる。
犬飼が、感じていた充足感の中に、急に強い恐れの色が混じるのを、桐原はSUB SPACE から転がり落ちる寸前感じ取った。
*
犬飼のプレイはいつもとどことなく違っていた。
初めて使われたのコマンドに従えたときの高揚感。
そしてするりと熱い掌が服の内側へと滑り込んでくる感触を思い返し、思わず桐原は身震いする。
触れられるのは嫌だったはずなのに久しぶりに感じるじかの人肌は気持ちがよかった。
仄暗い闇の中に、桐原はいた。
「…桐原さんも火照ってますね」
その声は微かに欲情を孕んでいつもより低く感じた。
自分だけでなく犬飼も熱を帯びているのを感じて安堵する。
「ほら、“もっと“身を委ねて。気持ちよく寝れるようにしてあげる」
快感の予感に抵抗は言葉だけのものになってしまう。
ゆっくり毛布を引き下げられ、ワイシャツごしに身体をするりと滑った掌が、ぐっと拳の形になりワイシャツを引っ張り出す。
そこから中に忍び込んできた手がスラックスの前に手はわされても、桐原はなすがままに身を委ねた。
前立てを数回往復した指が、覚悟を決めたようにベルトの金具を外し、下着の中へ忍び込んできた手が桐原自身に触れると、身体の奥底に潜んでいた重苦しい疼きは鮮烈な快感が生まれた。
羞恥が快感をかきたて、頭の芯が痺れる。
「やめろ…」
「ほんとうにやめてほしい?桐原さんの気持ちいいこと、してほしいだけしてあげる。プレイの時みたいにね。やめたいなら…“言って“」
久しぶりの性的な快感は気持ちがよくて、やめてほしくなくて、でもどうして欲しいなんて口には出せないから桐原は体の力を抜いた。
それで意図は伝わったようで、再び最も敏感なそこを包み込まれれるように握られやんわりと芯を持ち始めた茎をしごかれると、そこから生まれるダイレクトな快感に反射的に声が出た。
だが、下にいくつかボタンを残して手が止まってしまった。
「そこまでで限界?MORE STRIP」
「…」
ぴくっと指先が動いたが、それ以上はコマンドに従えない。
もっとすればもっと歓ばせることができるとわかっても、無理だった。
それなのに。
「GOOD。前嫌がってたコマンド、ちゃんとできましたねGRATE」
遂行できなくても犬飼は褒め、あまつさえグレアをくれる。
努力を理解されたようで 桐原は満たされる。
脳が痺れるような甘さに酔い、犬飼の肩にもたれかかりながら、桐原はワイシャツのあわせの開いたところから中に手をさしこまれるのを感じた。
「…っ、うッ…犬飼…」
「…嫌ならちゃんとSAY」
布で隠れた部分につうっ、と指を滑らすと、肌の隆起のその先の突起に指で引っかかるのがわかる。
普段意識していないそこは思いの外敏感で、桐原は思わず声にならない小さな声をあげた。
切ないような、鈍い痺れのがはしりぬける。
触れた指先が尖りを帯び始めたそこを繊細な動きでくすぐるように動くと、桐原の息づかいに変化がおこりはじめ、甘さと湿度が交じる。
犬飼が強い視線で見ていた。
それは桐原が欲しいといっといて、必要とされることの喜悦が大きく膨らんだ
いぜん、抵抗はある。
だが、その先ーー互いに支配しあうことの先により深い充足があるのを、今日知ってしまった。
そして、今、互いにリンクしていることを感じるから、だから桐原は許容し、望んだ。
もっとつながりたい。
性的な絶頂よりもさらに深く、深い陶酔と満足感がほしい。
「……ふッ、う、ああ…」
甘さをおびた吐息が、桐原の口からもれた瞬間、だが犬飼はなにか我に返ったようだった。
「すみません!」
胸元の素肌をさまよっていた手がひっこめられる。
犬飼が、感じていた充足感の中に、急に強い恐れの色が混じるのを、桐原はSUB SPACE から転がり落ちる寸前感じ取った。
*
犬飼のプレイはいつもとどことなく違っていた。
初めて使われたのコマンドに従えたときの高揚感。
そしてするりと熱い掌が服の内側へと滑り込んでくる感触を思い返し、思わず桐原は身震いする。
触れられるのは嫌だったはずなのに久しぶりに感じるじかの人肌は気持ちがよかった。
仄暗い闇の中に、桐原はいた。
「…桐原さんも火照ってますね」
その声は微かに欲情を孕んでいつもより低く感じた。
自分だけでなく犬飼も熱を帯びているのを感じて安堵する。
「ほら、“もっと“身を委ねて。気持ちよく寝れるようにしてあげる」
快感の予感に抵抗は言葉だけのものになってしまう。
ゆっくり毛布を引き下げられ、ワイシャツごしに身体をするりと滑った掌が、ぐっと拳の形になりワイシャツを引っ張り出す。
そこから中に忍び込んできた手がスラックスの前に手はわされても、桐原はなすがままに身を委ねた。
前立てを数回往復した指が、覚悟を決めたようにベルトの金具を外し、下着の中へ忍び込んできた手が桐原自身に触れると、身体の奥底に潜んでいた重苦しい疼きは鮮烈な快感が生まれた。
羞恥が快感をかきたて、頭の芯が痺れる。
「やめろ…」
「ほんとうにやめてほしい?桐原さんの気持ちいいこと、してほしいだけしてあげる。プレイの時みたいにね。やめたいなら…“言って“」
久しぶりの性的な快感は気持ちがよくて、やめてほしくなくて、でもどうして欲しいなんて口には出せないから桐原は体の力を抜いた。
それで意図は伝わったようで、再び最も敏感なそこを包み込まれれるように握られやんわりと芯を持ち始めた茎をしごかれると、そこから生まれるダイレクトな快感に反射的に声が出た。
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