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26.被虐心
熱線のようなグレアは一瞬でぴたりと止まっている。
年齢、経験の差もあるが、このDOMはすべてをコントロールしきっているのだと桐原は思った。
「気持ちいいね?」
問いでなく、確信を持って問われて頷く。
結局、SUBというものはそういう風にできているわけだと再認識せざるを得なくて、それはパートナーが犬飼である必要はないということを意味する。
安堵と何故か落胆のようなものを覚えていた。
---なぜ落胆しているのだろう。
考えようとしたとき、アレクシスに思考を引き戻された。
「…他の事を考えてるね?プレイ中に悪い子だ」
「DOMに逆らうと、お仕置きか?」
「お仕置き?」
挑発的に言う桐原に、ふっ、と男が笑う気配がした。
「しないよ。普段なら許さないけど、まだ今は、ね」
アレクシスの支配は静かで、感情の起伏がうかがえないが、猛禽類のような視線からの威圧的は強い。
大きな掌に項ごと後ろ髪を掴まれたが、これもまた荒さと丁重さがほどよく計算されたような、被虐心をかきたてられるような感触だった。
だが、同時に反発心を抱く桐原の心を先読みしたように、コマンドが鞭のように精神打った。
「ケイ、look」
慣れというものは恐ろしいもので簡単なコマンドなら以前より抵抗なく体が反応した。
灰色の目を見返すと、SUBの充溢感と同時に激しい反発心が首をもたげてくる。
---簡単に従わないほうが、DOMのプレイの満足感は大きい。
確かアレクシスは先日言ったが、そうするとこの葛藤と反発心をもがアレクシスを喜ばせているのだ。苦々しい。だが、精神的な抗いの末に結局従わなければいけないということに対しても歪んだ被虐心が生まれ、桐原の心は戦慄いた。
プレイ前からすでにプレイは始まっていて、被虐の種はプレイ前から示唆された言葉ですでに植え付けられている。
「ーーやはり比べてしまう?君の犬と」
不意打ちで問われて、桐原の瞳は命令にも関わらず彷徨い、揺れた。
「………犬飼が何か?」
なぜアレクシスほどの人間がたかだか犬飼なんかをたびたび引き合いに出すのかと、桐原は思った。
桐原とプレイしているからというには意識しすぎている気がして桐原はアレクシスのを探るように見たが、表面からは何もうかがえないかった。
「SAY」
「…奴は仮のパートナーで…成り行きでーー」
コマンドで促され、意図しないうちに唇から言葉が零れかけたが、桐原ははっと口をつぐみ、柳眉をあげた。
何でけこんなことを聞かれるのかわからないから答えたくないし、踏み込まれたくなかった。
「なんであなたとプレイ中にこんな話をしないといけないんですか?他人のプレイ聞いて興奮する性癖なんですか?」
「そうかもね」
楯突いたせいか、項を抑える手にこもる力が少し強くなる。桐原は声をあげそうになり奥歯を噛んで耐えた。
じわじわとプレイで支配をされること、このようなすこし荒めな扱いをされていることに対して羞恥と被虐の昏い喜びもある。
アレクシスはそのことを感じとったのか、満足そうにgoodのコマンドとグレアを桐原に与えてきた。
頭がくらくらするような強いグレアは、桐原が酩酊感を覚える寸前でピタりと止まった。
掴みしめた桐原の項を放すと、アレクシスはそこをいたわるように指先で撫でた。
性的なことはしないと約束した通り、そこにはやらしさなど微塵もはらんでいなかった。
アレクシスのプレイは全く犬飼のとは違う、やや嗜虐性を含んだものであると感じたが、それもまた自分の中のSUBの部分をたまらなく疼かせるかことを桐原は初めて知った。
年齢、経験の差もあるが、このDOMはすべてをコントロールしきっているのだと桐原は思った。
「気持ちいいね?」
問いでなく、確信を持って問われて頷く。
結局、SUBというものはそういう風にできているわけだと再認識せざるを得なくて、それはパートナーが犬飼である必要はないということを意味する。
安堵と何故か落胆のようなものを覚えていた。
---なぜ落胆しているのだろう。
考えようとしたとき、アレクシスに思考を引き戻された。
「…他の事を考えてるね?プレイ中に悪い子だ」
「DOMに逆らうと、お仕置きか?」
「お仕置き?」
挑発的に言う桐原に、ふっ、と男が笑う気配がした。
「しないよ。普段なら許さないけど、まだ今は、ね」
アレクシスの支配は静かで、感情の起伏がうかがえないが、猛禽類のような視線からの威圧的は強い。
大きな掌に項ごと後ろ髪を掴まれたが、これもまた荒さと丁重さがほどよく計算されたような、被虐心をかきたてられるような感触だった。
だが、同時に反発心を抱く桐原の心を先読みしたように、コマンドが鞭のように精神打った。
「ケイ、look」
慣れというものは恐ろしいもので簡単なコマンドなら以前より抵抗なく体が反応した。
灰色の目を見返すと、SUBの充溢感と同時に激しい反発心が首をもたげてくる。
---簡単に従わないほうが、DOMのプレイの満足感は大きい。
確かアレクシスは先日言ったが、そうするとこの葛藤と反発心をもがアレクシスを喜ばせているのだ。苦々しい。だが、精神的な抗いの末に結局従わなければいけないということに対しても歪んだ被虐心が生まれ、桐原の心は戦慄いた。
プレイ前からすでにプレイは始まっていて、被虐の種はプレイ前から示唆された言葉ですでに植え付けられている。
「ーーやはり比べてしまう?君の犬と」
不意打ちで問われて、桐原の瞳は命令にも関わらず彷徨い、揺れた。
「………犬飼が何か?」
なぜアレクシスほどの人間がたかだか犬飼なんかをたびたび引き合いに出すのかと、桐原は思った。
桐原とプレイしているからというには意識しすぎている気がして桐原はアレクシスのを探るように見たが、表面からは何もうかがえないかった。
「SAY」
「…奴は仮のパートナーで…成り行きでーー」
コマンドで促され、意図しないうちに唇から言葉が零れかけたが、桐原ははっと口をつぐみ、柳眉をあげた。
何でけこんなことを聞かれるのかわからないから答えたくないし、踏み込まれたくなかった。
「なんであなたとプレイ中にこんな話をしないといけないんですか?他人のプレイ聞いて興奮する性癖なんですか?」
「そうかもね」
楯突いたせいか、項を抑える手にこもる力が少し強くなる。桐原は声をあげそうになり奥歯を噛んで耐えた。
じわじわとプレイで支配をされること、このようなすこし荒めな扱いをされていることに対して羞恥と被虐の昏い喜びもある。
アレクシスはそのことを感じとったのか、満足そうにgoodのコマンドとグレアを桐原に与えてきた。
頭がくらくらするような強いグレアは、桐原が酩酊感を覚える寸前でピタりと止まった。
掴みしめた桐原の項を放すと、アレクシスはそこをいたわるように指先で撫でた。
性的なことはしないと約束した通り、そこにはやらしさなど微塵もはらんでいなかった。
アレクシスのプレイは全く犬飼のとは違う、やや嗜虐性を含んだものであると感じたが、それもまた自分の中のSUBの部分をたまらなく疼かせるかことを桐原は初めて知った。
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