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第一章 騎士団長と小狼
10.狼の王
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「レン、レン!」
ヴォルフランド城内の廊下を歩いていたグレンは、名前を呼ばれ振り向いた。
と同時にすごい勢いで飛びついてきた少年を慌てて受け止めた。
ワーウルフの国に到着して数日が経過していた。
グレンもまだ全く慣れないが、少年自体もまだ変化したばかりの自分の新しい体をコントロールしきれていないようように見えた。
まさか、これが可愛い子犬---ならぬ、小狼と同じ存在であると未だに信じきれないでいるのだが、目の前で変化を見てしまった以上は疑いようがない。
獣型の時と同じ色彩の黒髪に青い瞳を持つワーウルフの王子はすでに見た目は10歳くらいである。
まだ生れて1年ほどのはずなので早すぎる成長に驚きを隠せないが、ワーウルフは人間と違い2年ほどで大人になるそうで、改めて種族間の違いに驚いてしまう。
発語は少ないが、抱っこしてあげると頭をこすりつけてくる仕草が子狼の時と変わらないので、思わず微笑ましくなり、グレンはその黒いさらさらの髪を撫でた。
「本当に、シエルはグレン殿が好きみたいで…すぐにレンの所にいく!って」
シエルの母であるレティシアが微笑みながらゆっくり歩いてきた。
つまりヴォルフランドの王妃ということになるが、厳つい肩書に似合わない小柄でまるで少女のような女性である。
後ろに護衛の女性がついているが彼女もワーウルフであるから、レティシアの小柄さはさらに目立った。
跪こうとしたが、止められる。
どうやらヴォルフランドではかなり儀礼的なものは省略されるらしいということはわかってきた。
「グレン殿が育ての母みたいなものだから当たり前ね」
「…申し訳ありません」
自分が楽しく子犬・・・だと思っていたシエルと生活していた時、彼女は自分の息子の生き死もわからずヤキモキしていたはずだ。なんとなく申し訳ない気分になってしまう。
なにげなくシエルをレティシアに渡そうとしたが、シエルはグレンにへばりついて離れない。
「いえ、大事に育ててくださったってわかります!だって、毛艶もツヤツヤしてましたし……って毛艶……」
自分で言って滑稽だと思ったらしく思わずレティシアは笑いそうになったようだったが、咳払いをした。
「…びっくりされたでしょう?狼だと思っていたら人になったりとか」
「そうですね…見るまでは信じられませんでした」
犬だと思っていたのは言わないでおこうと思いながら、グレンは返事をした。
「私もそうでしたから、戸惑われるのももっともですわ」
とはいえ彼女もこの地に住み、ワーウルフの王の妃になるほどであるような人間であるから、狼に魅せられた者には違いないだろう。
腕の中の少年が熱量を増したと思うと、急にふさふさした毛が肌に触れる。
目を落とすと、獣型に戻った少年は、わふっと一声なくと服を残してグレンの手がらするりと飛び降りて走り回った。
その姿を見ていると、ひときわ大きな体躯のワーウルフがやってくるのが見えた。
「グレン殿」
低い声が響く。
体を覆う銀灰色の被毛はきらきらときらめき、強い意志のきらめく金色の双眸、鋭い牙のある大きな口。
筋骨たくましい体躯を華美ではないが上質の衣服に身を包み、緋色のマントを翻している。
その雄々しく威厳にあふれた姿は一見してすぐにワーウルフ族の長であるロイド王に間違いないと分かった。
ヴォルフランド城内の廊下を歩いていたグレンは、名前を呼ばれ振り向いた。
と同時にすごい勢いで飛びついてきた少年を慌てて受け止めた。
ワーウルフの国に到着して数日が経過していた。
グレンもまだ全く慣れないが、少年自体もまだ変化したばかりの自分の新しい体をコントロールしきれていないようように見えた。
まさか、これが可愛い子犬---ならぬ、小狼と同じ存在であると未だに信じきれないでいるのだが、目の前で変化を見てしまった以上は疑いようがない。
獣型の時と同じ色彩の黒髪に青い瞳を持つワーウルフの王子はすでに見た目は10歳くらいである。
まだ生れて1年ほどのはずなので早すぎる成長に驚きを隠せないが、ワーウルフは人間と違い2年ほどで大人になるそうで、改めて種族間の違いに驚いてしまう。
発語は少ないが、抱っこしてあげると頭をこすりつけてくる仕草が子狼の時と変わらないので、思わず微笑ましくなり、グレンはその黒いさらさらの髪を撫でた。
「本当に、シエルはグレン殿が好きみたいで…すぐにレンの所にいく!って」
シエルの母であるレティシアが微笑みながらゆっくり歩いてきた。
つまりヴォルフランドの王妃ということになるが、厳つい肩書に似合わない小柄でまるで少女のような女性である。
後ろに護衛の女性がついているが彼女もワーウルフであるから、レティシアの小柄さはさらに目立った。
跪こうとしたが、止められる。
どうやらヴォルフランドではかなり儀礼的なものは省略されるらしいということはわかってきた。
「グレン殿が育ての母みたいなものだから当たり前ね」
「…申し訳ありません」
自分が楽しく子犬・・・だと思っていたシエルと生活していた時、彼女は自分の息子の生き死もわからずヤキモキしていたはずだ。なんとなく申し訳ない気分になってしまう。
なにげなくシエルをレティシアに渡そうとしたが、シエルはグレンにへばりついて離れない。
「いえ、大事に育ててくださったってわかります!だって、毛艶もツヤツヤしてましたし……って毛艶……」
自分で言って滑稽だと思ったらしく思わずレティシアは笑いそうになったようだったが、咳払いをした。
「…びっくりされたでしょう?狼だと思っていたら人になったりとか」
「そうですね…見るまでは信じられませんでした」
犬だと思っていたのは言わないでおこうと思いながら、グレンは返事をした。
「私もそうでしたから、戸惑われるのももっともですわ」
とはいえ彼女もこの地に住み、ワーウルフの王の妃になるほどであるような人間であるから、狼に魅せられた者には違いないだろう。
腕の中の少年が熱量を増したと思うと、急にふさふさした毛が肌に触れる。
目を落とすと、獣型に戻った少年は、わふっと一声なくと服を残してグレンの手がらするりと飛び降りて走り回った。
その姿を見ていると、ひときわ大きな体躯のワーウルフがやってくるのが見えた。
「グレン殿」
低い声が響く。
体を覆う銀灰色の被毛はきらきらときらめき、強い意志のきらめく金色の双眸、鋭い牙のある大きな口。
筋骨たくましい体躯を華美ではないが上質の衣服に身を包み、緋色のマントを翻している。
その雄々しく威厳にあふれた姿は一見してすぐにワーウルフ族の長であるロイド王に間違いないと分かった。
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