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第1章――3 【 修業の日々/吸血鬼の悦楽 】
第21話 そんな訳で充実している異世界生活
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ひょんなことから異世界に転移しまい、それから一週間ほどが過ぎた。
「いらっしゃいませー!」
「おうセンリ! なんだ。今日もピンチヒッターやってんのか」
「あはは。はい」
「カルラもお前が客だっつのに遠慮がねぇな」
「いいんです。僕も楽しいし、それに色々と勉強にもなりますから」
「いいヤツだなお前は。んじゃ、早速ビール3つ頼むかな。あと手羽先の唐揚げ2つ」
「畏まりました。あ、そうだ。今日仕入れたキャベツ、とっても甘味があって美味しかったですよ。これを使ったハニーバター和え、リリスがすごくビールと合うって絶賛してました」
「ほぉ。お前とリリスさんのオススメか。ならそれも一つくれ」
「ふふ。畏まりました」
こっちの世界に来てから毎日通う食堂・ビール。僕はここで時々カルラたちのお手伝い、臨時のアルバイトとして働くようになった。
そうなった経緯はというと、カルラとの何気ない会話からだった。
『へぇ。つまりセンリは遠い辺境の地からリリスに連れてこられちゃったんだ』
『うん。だからこの世界のことはあんまりよく知らなくて』
『ならウチで働きながら色々勉強しなよ!』
『いいの⁉』
『もちろん! ウチも人手が増えて助かるし。お父さんは私が説得するから』
『ありがとう、カルラ。僕、ここで働けたら精一杯頑張るね!』
『うん。そうだ、センリのついでにリリスも……』
『私は働くなんてごめんよ。……もぐもぐ』
そうしてカルラが父でありビールの店主でもあるマルダンさんを見事に説得してくれて今に至る訳だ。
直近までは飲食店でバイトしていたこともあって仕事に慣れるのは早く、マルダンさんは「食いぶちに困ったらいつでも言え。ウチで正式に雇ってやる」と僕の動きをかなり評価してくれた。
「センリ。これ5番テーブルに運んでくれ」
「分かりました」
「……相変わらずいい動きだ。普通の飲食店で働いていたとは到底思えん。一体どんな店で働いてたんだ」
厨房から注がれる熱視線には気付かず、僕は充足感を覚えながら完成した料理をトレイに乗せてお客さんの元へと運んでいく。
「ごめんね、リリス。センリとの楽しい食事時間を奪っちゃって」
「べつに気にしてないわ。センリがやりたいと思ったことを止めるほど小さい器じゃないのよ私は」
「えぇ。そこはもう少し、愛しのセンリとの時間が減って悲しむべきじゃない?」
「何言ってるの。センリが働いている所を見ながら酒を飲むのも中々乙よ。一生懸命汗水垂らしながら働いてるセンリが可愛くて酒が進むわ」
「ダメだこれ。何言っても惚気るやつだ」
料理を運び終えて厨房に戻る途中、カルラと楽しそうに会話しているリリスと目が合って、僕はひらひらと手を振る。すると、リリスは柔和な微笑みを浮かべながら手を振り返してくれた。
頑張ってね、センリ。
ぱくぱく、と動いている口がそんなことを言っているような気がして、僕はそのエールにぐっと両脇を引き締めた。
「よしっ。頑張ろ」
「すいませーん」
「はい! 只今参ります!」
*****
「これが『あ』で、これが『う』」
「そう。その次が『か』」
ビールから部屋に戻り、就寝前はリリスと異世界の文字を勉強するのが日課になっていた。
ベッドの上で簡単な文字表とノートを広げて、僕の後ろからリリスが文字を指して教えてくれる。
「なかなか覚えるの難しそうだなぁ」
「続けていれば何事もその内自然と理解できていくものよ。焦らずゆっくり覚えていけばいいわよ」
「……うん。ありがとうリリス」
「ふふ。どういたしまして」
そうして夜は更けていき――
「次の文字は……んっ!」
「ちゅっ……んぅん」
「ぷはっ。リリス。待って。もう少し勉強させて……」
「飽きたわ――ん」
「んっ」
後ろから顔を強制的に振り向かせられて、そして強引に唇を奪われる。絡み合う舌にどうやら今日の勉強はここで終了らしいと悟って、僕は内心嘆息を吐く。
勉強に飽きるとリリスはこんな感じで何の脈絡もなくいきなりキスを迫って来る。
それが自然と勉強の終了の合図となって、あとはもうムードに流されるままだ。
「ぷはぁ。……ふふ。キスもだいぶ慣れたわね。今の舌の絡み合いはとても興奮したわ」
「リリスが毎日のように迫って来るから自然と慣れたんだよ」
「くすっ。けどセンリも私とキスするの好きでしょ」
「そりゃ、まぁ」
照れくさそうに肯定すれば、そんな僕を見てリリスがおかしそうにくすくすと笑う。
「ほんと、貴方は可愛いわね。だから無性にキスしたくなる――ん」
「んっ」
そう言って、リリスはまた僕と唇を重ねてくる。
たっぷりと数秒。お互いの唇の柔らかさを堪能して、息苦しさに離れたかと思えばまたすぐに唇を押し付けてくる。
「「んっ……ちゅっ……ちゅぱっ……れろぉ」」
勉強道具を床に落として、態勢を変える。正面に向き合った僕とリリスは、熱に浮かれたように強く抱きしめ合い互いの唇を貪るようにキスを交わしながらベッドに倒れていく。
「――すっかり私とのセックスの虜になっちゃったわね」
「リリスが僕を求めてるんだから、それに応えるのがパートナーの務めでしょ」
見つめる赤目の双眸が熱を宿して揺れて、深紅の唇が艶美に歪む。完全にスイッチが入った僕を見て、吸血鬼は胸に抑えきれない興奮を熱い吐息にしてこぼして。
「今夜も私を満足させてね」
「うん。背一杯頑張るよ」
ベッドがギシッと強く軋む音。それが僕と吸血鬼の夜会が始まる合図だった。
「いらっしゃいませー!」
「おうセンリ! なんだ。今日もピンチヒッターやってんのか」
「あはは。はい」
「カルラもお前が客だっつのに遠慮がねぇな」
「いいんです。僕も楽しいし、それに色々と勉強にもなりますから」
「いいヤツだなお前は。んじゃ、早速ビール3つ頼むかな。あと手羽先の唐揚げ2つ」
「畏まりました。あ、そうだ。今日仕入れたキャベツ、とっても甘味があって美味しかったですよ。これを使ったハニーバター和え、リリスがすごくビールと合うって絶賛してました」
「ほぉ。お前とリリスさんのオススメか。ならそれも一つくれ」
「ふふ。畏まりました」
こっちの世界に来てから毎日通う食堂・ビール。僕はここで時々カルラたちのお手伝い、臨時のアルバイトとして働くようになった。
そうなった経緯はというと、カルラとの何気ない会話からだった。
『へぇ。つまりセンリは遠い辺境の地からリリスに連れてこられちゃったんだ』
『うん。だからこの世界のことはあんまりよく知らなくて』
『ならウチで働きながら色々勉強しなよ!』
『いいの⁉』
『もちろん! ウチも人手が増えて助かるし。お父さんは私が説得するから』
『ありがとう、カルラ。僕、ここで働けたら精一杯頑張るね!』
『うん。そうだ、センリのついでにリリスも……』
『私は働くなんてごめんよ。……もぐもぐ』
そうしてカルラが父でありビールの店主でもあるマルダンさんを見事に説得してくれて今に至る訳だ。
直近までは飲食店でバイトしていたこともあって仕事に慣れるのは早く、マルダンさんは「食いぶちに困ったらいつでも言え。ウチで正式に雇ってやる」と僕の動きをかなり評価してくれた。
「センリ。これ5番テーブルに運んでくれ」
「分かりました」
「……相変わらずいい動きだ。普通の飲食店で働いていたとは到底思えん。一体どんな店で働いてたんだ」
厨房から注がれる熱視線には気付かず、僕は充足感を覚えながら完成した料理をトレイに乗せてお客さんの元へと運んでいく。
「ごめんね、リリス。センリとの楽しい食事時間を奪っちゃって」
「べつに気にしてないわ。センリがやりたいと思ったことを止めるほど小さい器じゃないのよ私は」
「えぇ。そこはもう少し、愛しのセンリとの時間が減って悲しむべきじゃない?」
「何言ってるの。センリが働いている所を見ながら酒を飲むのも中々乙よ。一生懸命汗水垂らしながら働いてるセンリが可愛くて酒が進むわ」
「ダメだこれ。何言っても惚気るやつだ」
料理を運び終えて厨房に戻る途中、カルラと楽しそうに会話しているリリスと目が合って、僕はひらひらと手を振る。すると、リリスは柔和な微笑みを浮かべながら手を振り返してくれた。
頑張ってね、センリ。
ぱくぱく、と動いている口がそんなことを言っているような気がして、僕はそのエールにぐっと両脇を引き締めた。
「よしっ。頑張ろ」
「すいませーん」
「はい! 只今参ります!」
*****
「これが『あ』で、これが『う』」
「そう。その次が『か』」
ビールから部屋に戻り、就寝前はリリスと異世界の文字を勉強するのが日課になっていた。
ベッドの上で簡単な文字表とノートを広げて、僕の後ろからリリスが文字を指して教えてくれる。
「なかなか覚えるの難しそうだなぁ」
「続けていれば何事もその内自然と理解できていくものよ。焦らずゆっくり覚えていけばいいわよ」
「……うん。ありがとうリリス」
「ふふ。どういたしまして」
そうして夜は更けていき――
「次の文字は……んっ!」
「ちゅっ……んぅん」
「ぷはっ。リリス。待って。もう少し勉強させて……」
「飽きたわ――ん」
「んっ」
後ろから顔を強制的に振り向かせられて、そして強引に唇を奪われる。絡み合う舌にどうやら今日の勉強はここで終了らしいと悟って、僕は内心嘆息を吐く。
勉強に飽きるとリリスはこんな感じで何の脈絡もなくいきなりキスを迫って来る。
それが自然と勉強の終了の合図となって、あとはもうムードに流されるままだ。
「ぷはぁ。……ふふ。キスもだいぶ慣れたわね。今の舌の絡み合いはとても興奮したわ」
「リリスが毎日のように迫って来るから自然と慣れたんだよ」
「くすっ。けどセンリも私とキスするの好きでしょ」
「そりゃ、まぁ」
照れくさそうに肯定すれば、そんな僕を見てリリスがおかしそうにくすくすと笑う。
「ほんと、貴方は可愛いわね。だから無性にキスしたくなる――ん」
「んっ」
そう言って、リリスはまた僕と唇を重ねてくる。
たっぷりと数秒。お互いの唇の柔らかさを堪能して、息苦しさに離れたかと思えばまたすぐに唇を押し付けてくる。
「「んっ……ちゅっ……ちゅぱっ……れろぉ」」
勉強道具を床に落として、態勢を変える。正面に向き合った僕とリリスは、熱に浮かれたように強く抱きしめ合い互いの唇を貪るようにキスを交わしながらベッドに倒れていく。
「――すっかり私とのセックスの虜になっちゃったわね」
「リリスが僕を求めてるんだから、それに応えるのがパートナーの務めでしょ」
見つめる赤目の双眸が熱を宿して揺れて、深紅の唇が艶美に歪む。完全にスイッチが入った僕を見て、吸血鬼は胸に抑えきれない興奮を熱い吐息にしてこぼして。
「今夜も私を満足させてね」
「うん。背一杯頑張るよ」
ベッドがギシッと強く軋む音。それが僕と吸血鬼の夜会が始まる合図だった。
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