××男と異常女共

シイタ

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幽霊女と駄菓子屋ばあちゃん

5-9

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 俺がゲームを始めて、二時間ぐらいが経ったであろうか。その時間で使ったお金は、初めの一枚を合わせて三枚である。
 二時間で三〇〇円を使い、操っていた赤い戦闘機を俺は二回。落とされたのではなく、自ら敵の攻撃を受け。これは嘘でもなく、見栄でもない。
 何故そんなことをしたかというと、理由は簡単だ。休憩したかったからである。
 トイレ、水分補給、スマホの何と無しなチェックに、いろいろしかじか。本気でゲームをするならば、そんなことは無視するか、先に済ませておけ。そう思うやからもいるだろう。
 だが、俺は別に本気でゲームをしていないから、そんな言葉も無視でいい。ちなみに三回目のお金の分は、未だプレイ中だ。
 隣のゲーム機の前にある椅子に、誰かが座る気配がした。しかし、特に気にせず俺はゲームに集中する。

「何時間も同じゲームをして、飽きないのかね?」

「……」

 隣からいきなり話しかけられたが俺は動じず、相手の声でそれが誰かを判別した。

「……ゲーセンの店員って暇なの? 」

「今は休憩中だよ。暇か忙しいかを聞かれたら、一階は大変だろうけど、二階はそこまで、といった感じだね」

「ふーん」

「それで、私の質問にも答えてもらいたのだけれど。よろしいかい?」

「……飽きるか飽きないかで言われたら、飽きるよ。だから、月に二、三回しか来ないんだし」

「違うゲームをしようとは思わないのかい? 格闘やアクションなんて君ぐらいの男の子なら好きだろう」

「思わなくもないけど、やろうとも思わないな」

「それはまた何故?」

 改めて聞かれると、自分でも何故だろうと疑問に思う。このゲームをやる理由はあるが、他のゲームやらないという理由は、深く考えたことがなかった。
 他のゲームに興味がないわけではない。ちょっと見ただけでも気になるものはあるし、目に止まったものもいくつかある。それにこのゲームと同じで、ゲームオーバーにならなければずっと続けられるものはあるだろうし、片手でゆっくりと操作できるものもあるだろう。
 けれど、俺はそれを探そうとせず、それに手を出そうとはしない。他のゲームに浮気せず、常に『水龍』このゲームしかやらない。それは何故か?

『GAME OVER』

 操っていた戦闘機をことで、画面にその文字が浮かび上がった。そして、俺は質問を投げかけてきた隣の相手に顔を向けて答える、「……なんでだろうな」と。
 椅子に座っているだけでも分かるデカイ身体に、否応がなく目がいってしまう頭。その頭からは、相手の顔がどんなものなのか、イケメンなのか、ブサイクなのか、それとも普通なのか、……分からない。なぜなら、相手は頭全体をすっぽりと覆い隠すように、ライオンの被り物を被っているからだ。
 顔は確認できないが、身体つきと声だけで相手が男だとは判断できる。その男、ケインという名前のゲーセン店員は、俺がゲームオーバーになってしまったことに、申し訳なさそうな声を出した。
 
「……私の所為でゲームを終わらせてしまったなら、すまない。お詫びにワンゲーム分、私が払うがどうする?」

「いいよ別に。気にしてないし」

「それならいいんだが。なんだったら、二人でプレイしてみるかい? 上手いとは言えないが、これでも色々なゲームで培った経験は持っているよ」

「ここで?」

「そう、ここで」

 店員なのに何をやっているんだか。まあ、ちゃんとお金を払ってだろうけど。

 俺は一考した後、二人でやるかどうかの提案を却下させてもらうことにした。
 ケインの身体はデカイ、身長の割には細身な方だろうが、隣で共にゲームするとなるとこのビデオゲームでは狭すぎる。やるなら立って行うガンシューティングゲームか、一人ずつの席があるレースゲームかだろう。だが、見たところどちらも満席のようだ。 

 それに、時間も時間だしな。

「また今度誘ってくれ。そろそろかえ――」

 ガタン。

 いきなり、勢いよくケインが立ち上がったことで椅子が後ろに倒れた。そして、速足で何処かへ向かってしまうケイン。
 何処に行くのだろうかと向かう先を見てみれば、そこには数人のヤンキーが一人の女の子を囲んでいるという光景が見えた。
 どこからどう見ても、女の子がヤンキー達の知り合いという風には見えない。困り顔の女の子とニヤニヤ顔のヤンキー達という状況に、ライオンの着ぐるみを被った店員が加えられた。

 ヤンキーの一人がケインに向かって何やら睨みをきかせて喋っているが、逆に凄みをきかされて腰が引けている。ケインのあの図体で凄まれたら、そりゃ誰だってそうなるだろう。それがあってか、頭の着ぐるみも可愛さではなく不気味さがまさっているように見える。
 少しすると、ヤンキー共はケインに恐れをなしたのかスタコラとその場から去って行く。それを見て、俺も早々にここから離れようと考えた。

 ちょうどセットしていたスマホのアラームが鳴ったことだ。この好機を上手く使わせてもらおう。

 俺は素早く、その場から立ち去った。
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