君は、もうすでに死んでいる・・・それって、俺!?

神猫

文字の大きさ
8 / 8
〈Chapter2〉認識

〈2-3〉詮索

しおりを挟む
俺は走っていた。もちろん、追っ手などから逃げるためではない。



さっき、俺はノイズの中で確かにを見た。
その瞬間、ノイズがいきなり消え、意識や体の感覚がはっきりしてきたと思ったら、道端で倒れてしまっていたためか、通りかかった宅配便の人にゆすり起こされていた。

その人に、ひどく心配され、何度も大丈夫なのか問われたが、すぐに笑い返し、その場を後にした。


自分の身体の心配などをしている場合ではなかった。

心臓が動き、息ができ、意識があり、体が動く。ならば、それだけでよかった。



・・・自分が気が気でなかった。


だが、一瞬でも見てしまった、知ってしまった・・・


俺は認識してしまったんだ。そこに映った少年と少女の悲劇の終末を・・・






その事実を確かめるために俺はひたすら走っている。






・・・自分はなぜ生きているのか、それが一番気になったが、まずはその原因となっている事件自体が、本当であるのかを確かめることを最優先とした。
だが、それを調べるためには「WMC」を駆使したところで過去の情報を探ることはできない。仮に検索したとしても、表示できるのは調べたその日からせいぜい、過去一か月ぐらいのみ。

「WMC」は確かに人間の生活の幅を広げるが、大きな機能を搭載すればするほど、当然人間の脳にかかる負担は多くなってしまう。よって、それらの情報は人間の脳の処理と同じように生活に必要ないと判断された物から次々と自動で選別、削除されていく。
だが、俺が見ることができた自分自身の姿はあまりにも幼く、相当前であることが考えられた。
となると当然、さっき俺が見たものの真実を探るためにはあまりにも、検索可能な年月が少なすぎ、結果今入手できる情報だけではその事件の欠片の一つもわからなかった。
よって、そのことについて少しでも情報を得るために俺は、走った。探した。
過去の事件などが大量に記され、保管されている電子図書館を・・・・



目的の建物である電子図書館は商店街を抜けた少し先の角を曲がっていくと見えてくるので着くまでにそれほど時間もかからなかった。



だが、その少しの時間ですら俺には永遠のように感じられた。
それほどに必死だった・・・・



上がってしまった呼吸を整えつつ、電子図書館内部に入ると、今日起こった事件や日本の経済から始まり、文学小説や動物やスポーツや料理や歴史などと様々なジャンルの事柄が視界中に様々な色のウィンドウとなって表示された。
本来ならここで、おすすめされたトピックをみて興味を抱き、それを探し始めるという娯楽に長けた場所として多くは使われるようになっているのだが、今回は一つに定まったものを探しに来ているためそれらの情報を視界の左上にあるコントロールボタンから情報のオート表示設定を「OFF」にして一度シャットアウトする。
そして、図書館内に設置された、幾つもの木製でできた本棚・・・に思われるが、エフェクトでそう見せているだけで、本当は膨大な量の情報が詰まったコンソールの棚が並んでいるところを歩いて見て回る。ちなみに、それぞれの棚はそれぞれがしっかりとジャンル別で区切られていた。その中には、先ほどおすすめとして表示されたときに見た「文学小説」「料理」「スポーツ」などもあった。

今は、それらは関係ないので、自分の頭の中から外し、目的の棚を探す。

見つかったのは「過去事集」という主に過去に起こった事件、事故などを大量にまとめられたコンソールの棚だった。
そこから、出来る限りの情報を絞っていき、自分が見たものと同じ写真を探した・・・
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

正妃として教育された私が「側妃にする」と言われたので。

水垣するめ
恋愛
主人公、ソフィア・ウィリアムズ公爵令嬢は生まれてからずっと正妃として迎え入れられるべく教育されてきた。 王子の補佐が出来るように、遊ぶ暇もなく教育されて自由がなかった。 しかしある日王子は突然平民の女性を連れてきて「彼女を正妃にする!」と宣言した。 ソフィアは「私はどうなるのですか?」と問うと、「お前は側妃だ」と言ってきて……。 今まで費やされた時間や努力のことを訴えるが王子は「お前は自分のことばかりだな!」と逆に怒った。 ソフィアは王子に愛想を尽かし、婚約破棄をすることにする。 焦った王子は何とか引き留めようとするがソフィアは聞く耳を持たずに王子の元を去る。 それから間もなく、ソフィアへの仕打ちを知った周囲からライアンは非難されることとなる。 ※小説になろうでも投稿しています。

処理中です...