死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた

文字の大きさ
152 / 188

私じゃダメ?

しおりを挟む
 移動は順調だった。護衛の数が多いから野盗は襲ってこないし、魔物は先行部隊があっさりと返り討ちにしてしまう。

 馬車は一度も止まることなく進み、一泊する村に到着した。

 窓から外を覗いてみる。

 交易の主要街道を挟むようにして宿屋や食事処がずらりと並んでいる。昔、教科書かテレビかで見た宿場町みたいな感じだ。

 学校に行けてなかった僕でも分かるぐらい、似たような光景になっている。

 行き来も多いようで通行人をよく見かける。宿の近くには馬車が止まっていて、馬小屋まであった。

「すごい人ですね」
「王都と私たちが住んでいる町を繋ぐ、主要街道ですからね。騎士たちが定期的に魔物を間引きしていますし、安全だと商人たちからの評価は高いんですよ」

 国のインフラを褒められたのが嬉しかったのだろう。ルアンナさんは自慢げに語ってくれた。

「皆さんも間引きには参加したことあるんですか?」
「もちろんです。私は斥候として魔物の発見と報告をしていましたよ。どう? すごくない?」

 褒めて! 褒めて! と目で訴えかけているのはリテートさんだ。

 魔物を狩っていたときは自己主張が少なめで話す機会が少なかったけど、結構、グイグイ来る人なんだな。

「すごいです!」
「でしょー! しかもスキルブースターで進化すると『全域感知』になって、魔物や人、動物だけじゃなく精霊や魔力まで感知できるようになるし、範囲もすんごく広くなるんだよね! どう? 私、よくない? おすすめ物件だよ?」

 対面に座っていたこともあって、ぐいっと上半身を前に出して顔を近づけてきた。

 瞳がキラキラとして美しい。

「私の『俊足』は『縮地』になって、ワープみたいなのができるようになった。スキルの汎用性で言えば私の方が上だよ」

 隣にいるエリンさんは腕を絡めて胸を押しつけてきた。今日は鎧を着ていないので、柔らかい感触が存分に楽しめる。

 いつもとは違う人たちに言い寄られ、新鮮なドキドキを味わうのと同時に罪悪感も出てきた。

 エリンさんが服を脱ぎだしたので、目をつぶってレベッタさんを思い浮かべ謝罪する。

『順番を守るなら気にしないよ!』

 ああ、言いそうだ。しかも裏表のない、輝くような笑顔で。

 女性ばかりの世界だから男をシェアするなんて当たり前で、気にするとしたら順番ぐらいだ。しかも多くの人は何番目でもいいって考えだから、強いこだわりがあるのはレベッタさんぐらいだった。

 だからこそ僕は最初の人は決めている。

 目を閉じたまま、迫ってきたエリンさんの肩を押して離した。

「私じゃダメ?」
「順番というものがありますから」

 またそれとは別に、僕は精神的な問題を一つ抱えている。

 結婚して家族になったはずの父親と母親の関係は最悪だった。

 特に父親は日常的にDVをしていたし、僕にもその血が流れている。女性と深い関係になったら豹変してしまうんじゃないだろうか。そういった不安を抱えていて、キスまではいいけど、その先の一線は越えられない。

 行為の直前になったら、きっと僕の息子はしぼんでしまうだろう。

 この精神的な問題を解決しない限り子供は作れない。彼女たちの希望を叶えられないのは嫌なのでどうにかしたいけど、解決の糸口すら見えていない。

「馬車の中なら誰にも見られないし、ちょっとぐらいダメ?」
「しません」
「いいじゃん~~」

 拒否してもエリンさんは、僕を襲おうとしている。

 焦りはない。

 目を開けてるルアンナさんを見ると、軽く頷いてくれた。視線だけで気持ちが伝わったようだ。

「男性が拒否しているのに迫ることは騎士団内でも禁止されている。エリンがそれ以上、イオディプス君に近づくのであれば、相応の処分を下さなければならない。それでもお前は前に進むのか?」

 効果はてきめんだった。ピタリとエリンさんが止まる。

「ルアンナ隊長は、お隣に住んでいるからチャンスありますけど。私やリテートはそうじゃないんです。今を逃したら――いだっ!?」

 文句を言ったエリンさんの頭上に、ルアンナさんの拳が落ちた。

「チャンスは平等に与える。順番があるのは理解できるよな?」
「…………本当にもらえるんですか?」
「スカーテ王女から許可は出ている。約束は違えないさ」

 えーっと僕の許可は? と言える雰囲気ではなかった。

 3人の騎士は集まってコソコソと話している。

「最後は王女が独占するんじゃないんですか?」
「そんなことはしない。特区内にいる女性なら誰でもチャンスを与えるらしい」
「ということはっ!」
「バカ! 声が大きい!」

 エリンさんの頭が叩かれたけど、口元は笑っている。

 良い感じに話し合いは進んでそうだ。

「チャンスの順番だが、最優先はレベッタパーティだ」
「イオディプス君を拾っただけなのに?」
「彼を見つけて我が国に取り込んだのは功績にならないと?」
「い、いえ。そんなことはありません!」
「わかったならいい。レベッタはアホだが、その純真さにイオディプス君は居心地が良いと思っている。それがナイテア王国を選ぶ理由になり、ブルド大国からの引き抜きを防ぐ唯一の手段ともなる」
「……なるほど。確かにレベッタの功績は大きいですね」
「ああ。だからこそ、今回の会談で同席を許されてないのが気がかりだ。あえて狙って指定したんだろうな」

 僕が知らないところで、レベッタさんたちは高い評価を受けていたようだ。

 なんだか鼻が高くなる気持ち。

 ブルド大国のお土産を沢山買って帰ることにしよう。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

廻って異世界

フォウ
ファンタジー
 年四回季節の変わり目毎に風邪をひく病弱体質の俺は、いつものように風邪薬を貰いに行った帰り道で異世界に飛ばされてしまったようだ。  手元にあるのは、役に立たなさそうな日本のお金と風邪薬。  放り出されたのは、人1人いない大草原。  ……詰んだ。  ゲームの世界に転生?転移?してしまった俺は、ゲームキャラ達の力を借りて、生活拠点を整える。  けれど、色々ゲームとは違うようで……。  カクヨムでも連載しております。    注)挿絵のみAI利用です。    

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

処理中です...