死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた

文字の大きさ
183 / 188

これが、イオきゅんの愛!

しおりを挟む
「あぁ、体の奥が熱い♡ もうイっちゃいそう……!」

 興奮している侍女は周囲の変化に気づいてない。ルアンナさんたちは羨ましそうな顔をしているだけで、僕を守るような動きはしていなかった。

 ねえ! 護衛のお仕事は!?

 もしかして味方は、蕩けきっている侍女だけなのかもしれない。

「興奮しているところ悪いんだけど、無力化のスキルで助けてくれないかな……?」

 放置していたら一人で致しそうだったので、肩を揺さぶって声をかけた。

「え、あ、そうでした!」

 僕の努力は実を結んで、侍女は正気になってくれた。

 孤立無援状態にならなくて、本当に良かったよ。観客席にいた女性たちが模擬戦の会場に降りてきているし、ユーリテスさんはブツブツと何かをつぶやいていて怖い。

 できれば早くスキルを使ってくれないかな。

「イオディプス様に進化させていただいた『集団操者』を披露しますねっ!」

 元のスキルは分からないけど、なんだかすごそうだ。

 期待を込めて見ていると、侍女が歌い出した。

 近づいていた女性は立ち止まり、武器を落として棒立ちになる。ルアンナさんたちは座り込んでしまった。

 集団操者スキルとは、自分が何をしようとしているのか忘れることみたいだ。

 よかった。これで助か――。

「ふふふ。イオディプス様にも効いていますね」

 僕は何をしたかったのだろうか。重要なことを考えていた気がするんだけど思い出せない。

 ああ、このまま時に身を任せてぼーっとしていたいな。

 侍女が歌いながら笑っている。

 楽しいことがあったんだろうか。僕は何も感じないから、それが素晴らしいことなのかすら分からない。

「侍女ごときが、イオきゅんを騙したな」

 ユーリテスさんは、今まで見たことがないほど憤怒の表情をしている。

 足を一歩前に出すだけで威圧感が増しているようだ。

 スキルに抵抗するほどの激情なんだろうけど、なんでそんなことをするんだろう。流れに身を任せて、すべてを忘れた方が幸せになれるのに。

「女たち! 私を助けて~!」

 歌いながら侍女が叫ぶと、僕とグロリアーナ女王を除いた全員が一斉に動き出した。

 ユーリテスさんに殺到するけど、全ての攻撃をかわしている。視線は侍女だけに向いていて、他は興味がないようだ。ただの障害物なんだろうな。

「使えない女たち! イオディプス様、スキルブースターでサポートしてもらえませんか?」
「うん。いいよ」

 命令されると心が歓喜で満たされた。忘れていた感情が蘇ったみたいだ。

 みんなを守りたいという気持ちを高めてスキルブースターを発動させる。無事に効果が出て全員のスキルが強化された。

「これが、イオきゅんの愛!」
「え……どうして、ユーリテスまで強化されているの!?」

 サポートと言われたから全員にしたんだ。のけ者にするのは可哀想だからね。

 だからグロリアーナ女王のスキルも強化されているよ。

 全員が強化されているから、元の能力が高い二人は圧倒的に優位だ。侍女が不利な状況は変わっていない。

「こうなったら、もっと気持ちを込めて歌う!」

 情熱的な愛の告白をする歌詞だけど、命令を実行し終わって無感情になった僕は心が動くことはない。

 ユーリテスは膝をついてしまった。

 スキルに抗っているみたいだ。

「おまぇ……」

 一歩も動けず、ユーリテスさんは女性たちに取り押さえられてしまった。二人の戦いは侍女の勝利で終わったのだ。

 やることはなくなってしまったので、もう命令してもらえないのかな。

 一瞬だけ残念に思ったけど、すぐどうでもよくなる。僕は操り人形。感情なんて不要だからね。

「よい見世物だった。ベロルよ。褒めてやろう」

 グロリアーナ女王が拍手をしながら言った。

 情熱的な愛の歌を前にしても、スキルは効いてないようだ。

「自我が強すぎる……っ!」
「当然だろ。庶民の歌ごときで、我が操れると思うな」

 女王としての責任感が、スキルを上回っているみたい。

 役者が違うってのはこういうことなんだろう。侍女のベロルさんは、これからどうするつもりなんだろう。

 また命令してくれるのかな。

「先ほどの不敬は忘れてやる。我の配下だけスキルを解除せよ」
「それはできません!」
「逆らうつもりか?」
「違います! 個別か全体の指定しかできないのです!」

 グロリアーナ女王の配下だけでも数百名はいる。下手すれば千を超えるだろう。全員を名前で命令を出していれば喉がかれてしまう。グループ指定できないことは、『集団操者』の明確な弱点ではあった。

「そういうことか。強力なスキルではあるが、万能ではないということだな」

 思いどおりにいかずとも怒ることはないみたいだ。

 男への加虐以外は理性的なんだろう。

「ユーリテスさえ捕まえれば反乱も終わるか」

 グロリアーナ女王は、つかつかと歩いてユーリテスさんの前に立った。

「処刑するつもりかっ!?」
「まだ自我は残っているか。実力だけで、騎士団長に任命した我の目は狂ってなかったな」

 自画自賛って言うのかな?

 身動きが取れなくなっても、ベロルさんのスキルに屈服していないユーリテスさんを褒めていた。

 反逆者なのに、認めるところはしっかりと認めるなんて、常人にはできないと思う。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

廻って異世界

フォウ
ファンタジー
 年四回季節の変わり目毎に風邪をひく病弱体質の俺は、いつものように風邪薬を貰いに行った帰り道で異世界に飛ばされてしまったようだ。  手元にあるのは、役に立たなさそうな日本のお金と風邪薬。  放り出されたのは、人1人いない大草原。  ……詰んだ。  ゲームの世界に転生?転移?してしまった俺は、ゲームキャラ達の力を借りて、生活拠点を整える。  けれど、色々ゲームとは違うようで……。  カクヨムでも連載しております。    注)挿絵のみAI利用です。    

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

処理中です...