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頬にキスをしてあげてくれ
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僕やレベッタさんたちはキッチンに集まっていた。狭いスペースに五人もいるのでちょっとだけ暑い。しかもくっついてこようとするから、息苦しさも感じる。
少し離れたところには女性が三人いる。年齢は四十ぐらいで、スキルランクAの土魔法が使えるらしい。男を見ても暴走するようなことはなく、静かに見守ってくれる。大人だ。ちゃんとした大人だ。
国にとっても貴重な人材を派遣してくれたのは、これから地下に脱出用の通路を作ってもらうから。これから地下通路の工事にはるのだ。
「イオディプス君、準備は良いかな?」
現場の責任者として同行したルアンナさんが言った。
今日は仕事モードらしく、キリリとした顔で土魔法の女性たちの後ろに立つ。
「いつでも大丈夫です」
「では、頬にキスをしてあげてくれ」
「はい」
これから僕は、土魔法の女性達にスキルブースターを使う。
キスをすることでスキルを進化させ、地下通路作成の効率を上げる計画だ。
ゆっくりと歩いて近づくと、息を呑む音が聞こえた。三人ともすごく緊張しているみたい。やっぱりこの世界の人たちは男になれてないのが普通なんだ。改めて感じる。
「大変だと思いますけど、地下通路よろしくお願いします」
心を込めて言ったら驚かれてしまった。
「え、男性がお願いをした……!?」
「そんなことあり得ないよ! 幻覚を見たんだって!」
「私もそう思う。女にお願いなんてする男性なんて実在しません! 創作物の中だけだよっ!」
ちょっとお願いしただけで土魔法を使う三人が混乱してしまったみたい。お互いに頬を叩いて「正気に戻らないとっ!」なんて叫んでる。
どうしよう。ちょっとキスなんてできる雰囲気じゃない。
助けを求めるようにルアンナを見る。
笑顔で頷いてくれると、三人の頭を思いっきり殴った。
「イオディプス君は女に優しい素敵な男性だと事前に説明しただろっ!」
「でも~。本当に実在するなんて思わないじゃないですか~」
頭を押さえながら土魔法を使う女性の一人が抗議していた。
この世界の男は、どんだけ冷たい性格をしているんだ、と心の中で突っ込んでしまった。
人として当然の礼儀を守っただけで、実在しない人認定されるとは思わなかったよ。
「いるんだから、さっさと頬にキスしてもらえ! すぐに動かないなら私が代わりにしてもらうぞっ!」
ルアンナさんの言葉が本気だと感じたのか、三人が一斉に僕を見た。目がギラギラとしていて獣のような雰囲気を発している。思わず一歩下がってしまったけど、手をつかまれて引き寄せられてしまう。
三人が僕の首回りに鼻をつけてクンクンと匂いを嗅ぎ始めた。
「ずるい。私も参加する」
様子を見守っていたヘイリーさんが飛び出そうとして、アグラエルさんに取り押さえられてしまった。
「今回は譲るって決めただろ」
「我慢できない」
「しろ」
「いや。イオ君の子供を産む」
えええええええ!?
どうして今、その結論になったの!?
発想が飛躍しすぎていて考えが追いつかない。
レベッタさんやメヌさんも動きだそうとしているし、早くスキルブースターを使わないと大変なことになってしまう。僕の直感……いや危険感知能力が大声で叫んでいるッ!!
「キス、しますね」
三人を引き離すと、彼女たちを守りたいと思う。スキルブースターが起動した。今僕の瞳は輝いているだろう。
「きれい……」
見蕩れている間に、おでこや頬にキスをする。もちろん、たっぷりと親しみを込めてだ。
これできっとスキルが進化しているはず。
ぼーっと立っているだけで動かない三人から離れて様子をうかがう。
ダメだ。立ったまま気絶しているのか、微動だにしない。
「動け! 仕事の時間だっ!」
怨みがこもっていそうな声でルアンナさんが背中を叩き、ようやく意識が戻ってきたみたいだ。
三人の瞳が光る。スキルを使ったみたい。
「力が溢れ出てくる」
「今なら何でもできる気がする」
「上位の土魔法みたいなスキルになったのかも」
いきないり台所の床に直径一メートルの穴が開くと、三人が飛び降りていく。
すぐに明かりが付いたので覗いてみると、数メートル下に着地していて横穴を作っているところだった。手で触れるだけで土が消えていく。さらに岩ですらスキルの影響を受けているようだ。粘土のようにグニャグニャと動いて、床の素材に変わってしまう。
穴を作ると同時に整地するなんて、重機を使ったときよりも早いんじゃないかと思ってしまった。
「スキルブースター、やはり素晴らしい」
感動したようにルアンナさんが呟いた。
声をかけようとしたけど、レベッタさんに抱きしめられてできなかった。
「私にもちゅーして!」
唇が近づいてきたと思ったら、間に手が滑り込んで止まる。
「抜け駆け禁止」
ヘイリーさんが邪魔をしたのだ。ケンカが始まる。
さらにメヌさんが隙を見て服の中に指を入れて、腹筋回りを何度もなで回す。
アグラエルさんが暴れている二人を止めようと動き出し、ルアンナさんが僕にセクハラしているメヌさんを引き剥がす。
地下では「愛情パワー!」なんて叫びながら通路を作っている人たちがいるし、今日はとても騒がしい一日になった。
少し離れたところには女性が三人いる。年齢は四十ぐらいで、スキルランクAの土魔法が使えるらしい。男を見ても暴走するようなことはなく、静かに見守ってくれる。大人だ。ちゃんとした大人だ。
国にとっても貴重な人材を派遣してくれたのは、これから地下に脱出用の通路を作ってもらうから。これから地下通路の工事にはるのだ。
「イオディプス君、準備は良いかな?」
現場の責任者として同行したルアンナさんが言った。
今日は仕事モードらしく、キリリとした顔で土魔法の女性たちの後ろに立つ。
「いつでも大丈夫です」
「では、頬にキスをしてあげてくれ」
「はい」
これから僕は、土魔法の女性達にスキルブースターを使う。
キスをすることでスキルを進化させ、地下通路作成の効率を上げる計画だ。
ゆっくりと歩いて近づくと、息を呑む音が聞こえた。三人ともすごく緊張しているみたい。やっぱりこの世界の人たちは男になれてないのが普通なんだ。改めて感じる。
「大変だと思いますけど、地下通路よろしくお願いします」
心を込めて言ったら驚かれてしまった。
「え、男性がお願いをした……!?」
「そんなことあり得ないよ! 幻覚を見たんだって!」
「私もそう思う。女にお願いなんてする男性なんて実在しません! 創作物の中だけだよっ!」
ちょっとお願いしただけで土魔法を使う三人が混乱してしまったみたい。お互いに頬を叩いて「正気に戻らないとっ!」なんて叫んでる。
どうしよう。ちょっとキスなんてできる雰囲気じゃない。
助けを求めるようにルアンナを見る。
笑顔で頷いてくれると、三人の頭を思いっきり殴った。
「イオディプス君は女に優しい素敵な男性だと事前に説明しただろっ!」
「でも~。本当に実在するなんて思わないじゃないですか~」
頭を押さえながら土魔法を使う女性の一人が抗議していた。
この世界の男は、どんだけ冷たい性格をしているんだ、と心の中で突っ込んでしまった。
人として当然の礼儀を守っただけで、実在しない人認定されるとは思わなかったよ。
「いるんだから、さっさと頬にキスしてもらえ! すぐに動かないなら私が代わりにしてもらうぞっ!」
ルアンナさんの言葉が本気だと感じたのか、三人が一斉に僕を見た。目がギラギラとしていて獣のような雰囲気を発している。思わず一歩下がってしまったけど、手をつかまれて引き寄せられてしまう。
三人が僕の首回りに鼻をつけてクンクンと匂いを嗅ぎ始めた。
「ずるい。私も参加する」
様子を見守っていたヘイリーさんが飛び出そうとして、アグラエルさんに取り押さえられてしまった。
「今回は譲るって決めただろ」
「我慢できない」
「しろ」
「いや。イオ君の子供を産む」
えええええええ!?
どうして今、その結論になったの!?
発想が飛躍しすぎていて考えが追いつかない。
レベッタさんやメヌさんも動きだそうとしているし、早くスキルブースターを使わないと大変なことになってしまう。僕の直感……いや危険感知能力が大声で叫んでいるッ!!
「キス、しますね」
三人を引き離すと、彼女たちを守りたいと思う。スキルブースターが起動した。今僕の瞳は輝いているだろう。
「きれい……」
見蕩れている間に、おでこや頬にキスをする。もちろん、たっぷりと親しみを込めてだ。
これできっとスキルが進化しているはず。
ぼーっと立っているだけで動かない三人から離れて様子をうかがう。
ダメだ。立ったまま気絶しているのか、微動だにしない。
「動け! 仕事の時間だっ!」
怨みがこもっていそうな声でルアンナさんが背中を叩き、ようやく意識が戻ってきたみたいだ。
三人の瞳が光る。スキルを使ったみたい。
「力が溢れ出てくる」
「今なら何でもできる気がする」
「上位の土魔法みたいなスキルになったのかも」
いきないり台所の床に直径一メートルの穴が開くと、三人が飛び降りていく。
すぐに明かりが付いたので覗いてみると、数メートル下に着地していて横穴を作っているところだった。手で触れるだけで土が消えていく。さらに岩ですらスキルの影響を受けているようだ。粘土のようにグニャグニャと動いて、床の素材に変わってしまう。
穴を作ると同時に整地するなんて、重機を使ったときよりも早いんじゃないかと思ってしまった。
「スキルブースター、やはり素晴らしい」
感動したようにルアンナさんが呟いた。
声をかけようとしたけど、レベッタさんに抱きしめられてできなかった。
「私にもちゅーして!」
唇が近づいてきたと思ったら、間に手が滑り込んで止まる。
「抜け駆け禁止」
ヘイリーさんが邪魔をしたのだ。ケンカが始まる。
さらにメヌさんが隙を見て服の中に指を入れて、腹筋回りを何度もなで回す。
アグラエルさんが暴れている二人を止めようと動き出し、ルアンナさんが僕にセクハラしているメヌさんを引き剥がす。
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