死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた

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大好きですよ

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「緊急事態だから後で聞こうと思っていたのだが……素敵な男性は姿を変える魔道具を使って女性になっていたのか。なるほど。そう考えると色々と合点がゆく」

 肉食動物が獲物を見つけたような目つきだ。鋭い。体が強ばってしまって動けない。

「もう私に男性の姿を見せていたんだ。変装する必要はないだろ? 可愛い顔を見せてくれ」

 言われたとおり既に男の姿を何時間も見られている。後ろで行われている大乱闘を沈める以外で隠す意味はない。

 家でダイチに襲われたとき助けてもらった恩もある。拒否したら襲われそうな雰囲気もあるので素直に従おう。

 指輪をなでて幻覚の効果を解除する。

「いいねぇ。私好みだ」

 ヘンリエッタさんは、ペロッと唇を舌で舐めた。

 水気を帯びた薄い唇を美しいと感じてしまう。目が離せない。自分でもバカだなぁって思うんだけど、緊張感が解けてしまった。

「君、女は嫌いじゃないの?」

 僕の変化に気づいたみたいで小さく笑っている。

 この世界の男どもは女が嫌いか道具のように思っていることが多い。純粋な好意を向けられるのが珍しいこともあって、何かを期待しているような声だった。

「大好きですよ」

 嘘偽りのない答えを返すと、ヘンリエッタさんは目を大きくあけて口をぽかんとひらいた。

 動かないので顔の前で手を振っても反応しない。

 この隙に逃げだそうかな。

 横を通り過ぎようとすると腕を捕まれてしまう。

 さらに上着を破かれて半裸状態にされてしまった。

 数秒で起こったことなので、悲鳴を上げる余裕なんてない。

「素晴らしい。これが男性の筋肉……」

 にやけていて口から涎が出ている。彼女の腕が下半身に伸びそうだったので、手を握って回避する。でも悪手だったみたい。

 足をかけられて優しく倒されてしまう。

 お互いの手をがっしりと掴んだままなので離れることはない。馬乗りにされてしまった。

「男性特区で守っていたのはデブガエルじゃなく、イオディプス君だったんだね。顔だけじゃなく肉体までも素晴らしい」

 顔が近づいてきた。黒い髪が僕の頬に当たって少しだけくすぐったい……じゃなくて! 逃げないと!

 体を持ち上げようと腹に力を入れてみる。

 びくともしない。

 今度は足を上げてヘンリエッタさんの体をはさんで後ろに倒そうとするけど、まったく動かなかった。

「何をしても無駄。男性は女に勝てない」

 彼女の口から長くて真っ赤な舌が出てきた。先端が少しばかり尖っていて、僕のおでこに触れる。そのまま離れることなく、鼻筋を通って頬まで移動し、最後は首にたどり着く。

 かぷっと、かじられてしまった。

 歯が少し食い込んでいるようで痛い。

「止めてください。血が出ちゃいます」

「ふやだね」

 僕の首を加えながら言っていたから聞き取りにくかったけど、きっと拒否されたんだ。その証拠に離れようとしない。

 女性に舐められると全身がゾクゾクするような気持ちよさがあるから好きではあるけど、痛いのはお断りしたいな。

 どうにかしてこの体勢から脱出できないだろうか。

 なんて考えていたら、ヘンリエッタさんの膝が僕の股間を優しく押してきた。

 絶妙な力加減だ!

 ほどよい刺激が男性としての本能に訴えかけてくる。

 別にいいじゃないか。相手がその気なんだから受け入れちゃえよ。

 なんて悪魔の声が僕にささやいてきた。

 イヤイヤダメでしょ! そんなことをしたらレベッタさんたちが……。

 殺気を感じたので目を横に動かす。

 先ほどまで大乱闘していた女性たちが僕を見ていた。先頭には表情の消えたレベッタさんがいる。やや後方にはパーティメンバーやスカーテ王女、ルアンナさんまで、こちらを睨んでいた。

 ぞくり。

 背筋が寒くなった。

 ダイチに襲われたときもかなり危なかったと思ったけど、今はそれ以上だ。獣と化した女性の視線が集中していることもあって、体がガクガクと震えている。

「ん?」

 ようやく異変に気づいたヘリエッタさんが首から口を離した。よだれがたらーっと垂れていて、それがレベッタさんの逆鱗に触れる。

「私のイオ君を汚したな! 絶対に許さないっっ!!」

「冒険者ごときに負けるほど、私は弱くないぞ」

 立ち上がったヘンリエッタさんの瞳が光った。

 対抗するように女性たちも同様にスキルを使うと全員が襲いかかった。

 相手は二十人近くもいるのでさすがに一方的な展開になると思ったんだけど、いつの間にかヘンリエッタさんの姿がない。

「どこに行った!?」

 見知らぬ女性が声を上げた。

 僕だけじゃなくて、みんなどこに行ったのかわからないようだ。

 姿を消すスキルを使った? 効果からすると最低でもBランク、いやAぐらいかな?

 王国特別騎士団に所属しているすごい人なんだから、そのぐらいあっても不思議じゃない。

「後ろだ! こっちにいる――ガハッ」

 女性たちの後ろに回ったみたいで、誰かが吹き飛ばされた。

 治療院なのにケガ人を増やしてどうするの……。

「囲め! 囲め!」

 女性たちがヘンリエッタさんに殺到していく。大乱闘の第二ラウンドだ。

 そんな状況で、いつもの四人とスカーテ王女、ルアンナさんは、僕の方に駆け寄ると、抱きかかえて部屋を出てしまった。

 漁夫の利と言っていいのかわからないけど、最後は冷静だったレベッタさんたちの勝利で終わる。

 家には戻れないのに、どこに行くつもりなんだろう。



=======
【あとがき】
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予約してもらえると更新を続けるモチベーションとなります!
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