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それよりも早く良くなってね
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意識が戻ったので周囲を見てみる。スカーテ王女に用意してもらった部屋にいた。ベッドの上だ。誰かがいる気配はない。
体を起こそうとしたけど頭が痛くて中断してしまった。
刺すような痛みだ。
気づけば喉は渇いているし、全身がだるい。もしかして風邪を引いてしまったんじゃないだろうか。
体を丸めて耐えていると部屋のドアが開いた。
「イオ君。大丈夫~?」
入ってきたのはレベッタさんみたいだ。目を開けるのもしんどい状態なので手を振って返事をした。
「あー。予想していた通り二日酔いだね」
え、この頭痛は病気じゃなかったんだ。そういえばワインを飲んでいた途中から記憶がない。これがお酒の力……ッ!!
まさかこの僕が意識を失うまで飲んでしまうとは思わなかったぞ。
足音が近づいてきた。ベッドの端っこが沈む。レベッタさんが座ったみたい。
「すぐに良くなる薬を持ってきたんだけど、頑張って起きれる?」
そんな便利なものがあるんだ! さすが異世界! 便利グッズ万歳だ!!
ひどい頭痛は続いているけど、すぐよくなるなら頑張れる。
残った気力をかき集めて頑張って起き上がってみたけど、力が入らずまた倒れそうになってしまう。
「おっと」
レベッタさんが背中を支えてくれた。優しい。ありがとう。このまま胸の中で眠りたい。
「私が飲ましてあげる」
頭をつかまれて上にあげられる。唇に固いものが触れて口の中に入れられた。
目を開けるとレベッタさんの顔が近づいている。
「ちょっちょと!」
キスする寸前で押し返す。なんとか止められたようだ。
こんなところで暴走されたら絶対に逃げ切れない。僕は貞操を守るため、レベッタさんが持っているコップを奪い取ると水を一気に飲む。薬が胃に流しこまれたので、しばらくすれば頭痛は消えてくれるはずだ。
「口移しで飲ませてあげようと思ったのに」
今日は真面目にしてくれているなーと思ったら、そんなこと考えていたんだ!
「ま、いっか。それよりも早く良くなってね」
背中を支えてもらいながらベッドの横になった。
いつもなら暴走して押し倒されても不思議じゃない状況なのに冷静に、そして優しくされてしまい戸惑っている。
「それだけイオ君が心配なんだよ」
僕の心を読まれてしまったみたいで、ウインクしながら言うと彼女も横になった。
ポンポンと一定のリズムで僕の胸らへんを叩いてくれる。前世では病気になってもほっとかれていた。でも今は心配して看病してくれる人がいる。それがたまらなく嬉しい。
「少し寝れば良くなっているからゆっくりするんだよ」
返事はせずに目を閉じた。すっきりとした匂いとリズムよく僕を叩く手が心地よい。
頭痛は和らいだような気がしていつの間にか眠ってしまう。
直前に前世のことを考えていたからか、クソ親父や母親が普通の両親みたいに接してくれる夢を見てしまった。
* * *
目が覚めても朝だった。
隣には寝間着姿のレベッタさんがいるので、薬を飲ませてくれたのは夢じゃなかったみたい。
「あ、起きた! 大丈夫!? 丸一日寝続けていたから心配していたんだよ!」
ペタペタと体を触られている。
時間が過ぎてないなぁと思ったら、翌日になっていたようだ。そういえばレベッタさんの服装も私服から寝間着に替わっているし、体が激しい空腹を訴えてきている。一日中寝続けていると言われても納得できる変化を感じていた。
「頭痛も消えてますし、体のだるさもありません。もう元気ですよ」
「良かった~~~! みんなに報告してくるっ!」
ベッドから飛び入れて出て行ってしまった。
他のみんなも心配させていたみたいだ。何でもないという姿を見せに行かないと。
実はこの部屋にシャワーを浴びれる場所があるので、汗でベタベタの体を洗って歯を磨く。すっきりしたところでパンツだけをはいて、クローゼットに向かう。今日はどの服を着ようかと悩んでいたらドアが勢いよく開いた。
あ、やば。鍵かけるの忘れてた。
レベッタさんパーティの他、スカーテ&イザベル王女コンビ、ルアンナさん、ヘンリエッタさんが半裸姿を凝視している。
「恥ずかしいんでしてもらえますか?」
誰も反応しない。目を大きく開いてこの姿を脳に焼き付けているみたいだ。
仕方がないので見られながらも着替えを済ます。
肌の露出がなくなったとたん、みんなが動き出した。
「トイレに行ってくる」
「忘れ物したから部屋に行ってくるねーーーっ!」
「政務があったのを思いだした。後で話そう」
「屋敷を巡回してこないと」
「私もだ」
理由を付けて誰もいなくなってしまった。
自由な時間が出来てしまったので食堂に行くと、侍女がパンと肉を持ってきてくれた。
「ありがとう」
お礼を言うと飛び跳ねながら喜んでくれた。当たり前のことをしただけなんだけど、良いことをしたような気持ちになって嬉しい。
一日なにも食べてなかったこともあって、三人前ぐらいは食べた気がする。
お腹が膨れて動きたくない。しばらく椅子に座りながら紅茶を飲んでいると、スカーテ王女が入ってきた。
「ここにいたのか。ダイチ捕獲作戦を実行するので至急、動いて欲しい」
あれ? もう見つかったの?
思いのほか早かった。それほどダイチたちは追い詰められているのかな?
======
【あとがき】
AmazonKindleにて電子書籍版の予約が開始しました!
矛盾点の修正やエピソードの追加、特典SSなどあるので、読んでいただけると大変励みになります!
※KindleUnlimitedユーザーなら無料で読めます!
体を起こそうとしたけど頭が痛くて中断してしまった。
刺すような痛みだ。
気づけば喉は渇いているし、全身がだるい。もしかして風邪を引いてしまったんじゃないだろうか。
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「イオ君。大丈夫~?」
入ってきたのはレベッタさんみたいだ。目を開けるのもしんどい状態なので手を振って返事をした。
「あー。予想していた通り二日酔いだね」
え、この頭痛は病気じゃなかったんだ。そういえばワインを飲んでいた途中から記憶がない。これがお酒の力……ッ!!
まさかこの僕が意識を失うまで飲んでしまうとは思わなかったぞ。
足音が近づいてきた。ベッドの端っこが沈む。レベッタさんが座ったみたい。
「すぐに良くなる薬を持ってきたんだけど、頑張って起きれる?」
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「おっと」
レベッタさんが背中を支えてくれた。優しい。ありがとう。このまま胸の中で眠りたい。
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目を開けるとレベッタさんの顔が近づいている。
「ちょっちょと!」
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「口移しで飲ませてあげようと思ったのに」
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「ま、いっか。それよりも早く良くなってね」
背中を支えてもらいながらベッドの横になった。
いつもなら暴走して押し倒されても不思議じゃない状況なのに冷静に、そして優しくされてしまい戸惑っている。
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僕の心を読まれてしまったみたいで、ウインクしながら言うと彼女も横になった。
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頭痛は和らいだような気がしていつの間にか眠ってしまう。
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* * *
目が覚めても朝だった。
隣には寝間着姿のレベッタさんがいるので、薬を飲ませてくれたのは夢じゃなかったみたい。
「あ、起きた! 大丈夫!? 丸一日寝続けていたから心配していたんだよ!」
ペタペタと体を触られている。
時間が過ぎてないなぁと思ったら、翌日になっていたようだ。そういえばレベッタさんの服装も私服から寝間着に替わっているし、体が激しい空腹を訴えてきている。一日中寝続けていると言われても納得できる変化を感じていた。
「頭痛も消えてますし、体のだるさもありません。もう元気ですよ」
「良かった~~~! みんなに報告してくるっ!」
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