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第37話 第三回目のコラボ内容
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「私もさ~。悪いことをしたって自覚はあるよ。でも、ネットで晒すことないじゃない。そう思わない?」
事情を聞いた後は愚痴が始まった。
意外と言ったら悪いかもしれないけど、ちゃんと悪意を持ってやっていたらしい。もし無意識や無自覚だったら救いようないなと思っていたのでほっとしている。一応は常識が通用しそうだ。
「ネットでの晒しはよくないことですが、男性VTuberに訴えられなくてよかったと思うことにしたら?」
「フィーリングがあえばヤるって条件付きだったんだし、普通は訴えないよ。仮にやったら、ただの恥さらし。笑いものだよ」
妙に説得力があって、確かにその通りだと思った。
顔が好みじゃない、口臭がきつかった、食事の前に触られて嫌だった、なんて理由ならフィーリングがあわなかったとも言える。内容次第では男性VTuberの方が悪者になるパターンだってあり得るだろう。
あぁ、だからネットで告発したのか。
裁判しても勝てない、もしくは微々たるお金しか手に入らないと、向こうも判断しているんじゃないかな。
「逆に名誉毀損で私が訴えれば勝てそうだよ」
「弁護士にお願いして戦うんですか?」
「それは避けたいなと思っていたんだけど、クソみたいなDMがたくさん来て精神的にはまいってるんだよね。だから今は正直、悩んでいる。弁護士に依頼する資金だってバカにならないし、どうするのがいいかなぁ」
「それ、高校生に聞いちゃう?」
「うん。聞いちゃう。いいアイデア頂戴~」
甘えた声を出されても期待には応えられない。社会人経験すらない俺は何も出来ないぞ。
他を頼ってと言い返そうとして口を開き、途中で止めた。
頼れる相手がいないから俺に言っているかも知れないのだ。ばっさり断ってもいいのだろうか。少しぐらいは考えても良いんじゃないかと悩み始めると、スマホから通知音が鳴った。
耳から離して画面を見る。
『舞依としっかりと話し合ったから安心して。今度は二人っきりで、もう少し深い会話がしたいな』
陽葵さんは何を話し合ったんだ。そして深いことってなんなんだよ……。
怖くて返信できない。
女心に詳しい誰かに相談……っ!?
一瞬にして、すべてが繋がったように感じた。
良いアイデアが思い浮かんだぞ。
一人で抱え込むことはないんだ! そして、こっそりと誰かに相談する必要もない!
むしろ多くの人に現状を知ってもらい、味方になってもらうように動けばいいんだ!
興奮したままスマホを耳につけると、通話相手のメーベルさんに話しかける。
「三回目のコラボ配信はDMを晒しましょう!」
「バカっ! さらに燃えるよっっ!!」
出会ってから初めて戸惑っている様子になった。それほど俺のアイデアはおかしいように思えるんだろうけど、ちゃんと説明すれば納得してくれるはず。
起死回生の一手になるはずだ。
「燃えません! 誹謗中傷がいっぱい来ていて困っている、と聖夜に相談する内容にすれば良いんです。アカウントや個人情報は隠して誹謗中傷のテキストを見せれば、リスナーだけじゃなく中立的な人も味方に出来ますよ」
メーベルさんがやったことは悪いかもしれないけど、壺を売ったり詐欺で大金を奪い取ったわけじゃない。
大人がする男女の駆け引きにギリギリ収まるはず。
それなのに過剰な攻撃をされていたら?
良識ある人たちは「そこまでする必要はないだろう」と擁護してくれるだろう。さらにメーベルさんが、悪かった部分を認めれば本当の敵以外は攻撃を止める。
「あーーーー。なるほどねっ! 聖夜くん頭いい! 偏差値高い高校いってそう!」
「それは秘密です」
「ちっ」
相談に乗った相手の情報を引き出そうとするなんて油断も隙もない。
ハニートラップ練習をして、警戒心を上げてなければ引っかかってたよ。
「話を戻しますが、最後のコラボ配信は俺の企画内容でやりませんか」
「私はいいと思うけど、聖夜くんに迷惑かけちゃうよ? 下手したら巻き込まれちゃうだろうし……」
「俺のことを心配してくれるなんて優しいですね」
「未成年が相手だからね。成人してたら絶対に巻き込んでたよ」
どうしてそこがラインなのかわからないけど、きっと理由があるんだろう。
「もう一度確認するけどさ、遠慮なく頼って良いんだよね?」
「もちろん。けどね、勝手に動いたらフォローできないから、行動するときは事前に相談してね」
「おっけ~。それじゃさ、今から三回目のコラボ企画の告知しちゃっていい? 今回の炎上について聖夜くんに相談する配信しちゃいまーーすって」
「念の為、父親の許可だけは取っておくけど、多分大丈夫だからちょっとだけ待って」
チャットで連絡をしたらすぐに返信が来た。コラボ相手が炎上していることを伝えても、父親的には問題ないらしい。
「お待たせ。大丈夫だった」
「やったね! それじゃ告知しよっと」
きっと俺にも誹謗中傷から心配する声までDMが沢山くるんだろうな。
リスナーも離れていくかもしれない。
もう少し人気になりたいと思っていたのに真逆の行動をしているけど、仲良く話せるメーベルさんを助けたいという気持ちは消せない。
俺の気持ちに嘘をついてまでやることじゃない。
ダメなところはダメと指摘して、そうじゃないところフォローしていく。
配信者スキルを教わった恩返しのため、メーベルさんには協力するんだと決めていた。
事情を聞いた後は愚痴が始まった。
意外と言ったら悪いかもしれないけど、ちゃんと悪意を持ってやっていたらしい。もし無意識や無自覚だったら救いようないなと思っていたのでほっとしている。一応は常識が通用しそうだ。
「ネットでの晒しはよくないことですが、男性VTuberに訴えられなくてよかったと思うことにしたら?」
「フィーリングがあえばヤるって条件付きだったんだし、普通は訴えないよ。仮にやったら、ただの恥さらし。笑いものだよ」
妙に説得力があって、確かにその通りだと思った。
顔が好みじゃない、口臭がきつかった、食事の前に触られて嫌だった、なんて理由ならフィーリングがあわなかったとも言える。内容次第では男性VTuberの方が悪者になるパターンだってあり得るだろう。
あぁ、だからネットで告発したのか。
裁判しても勝てない、もしくは微々たるお金しか手に入らないと、向こうも判断しているんじゃないかな。
「逆に名誉毀損で私が訴えれば勝てそうだよ」
「弁護士にお願いして戦うんですか?」
「それは避けたいなと思っていたんだけど、クソみたいなDMがたくさん来て精神的にはまいってるんだよね。だから今は正直、悩んでいる。弁護士に依頼する資金だってバカにならないし、どうするのがいいかなぁ」
「それ、高校生に聞いちゃう?」
「うん。聞いちゃう。いいアイデア頂戴~」
甘えた声を出されても期待には応えられない。社会人経験すらない俺は何も出来ないぞ。
他を頼ってと言い返そうとして口を開き、途中で止めた。
頼れる相手がいないから俺に言っているかも知れないのだ。ばっさり断ってもいいのだろうか。少しぐらいは考えても良いんじゃないかと悩み始めると、スマホから通知音が鳴った。
耳から離して画面を見る。
『舞依としっかりと話し合ったから安心して。今度は二人っきりで、もう少し深い会話がしたいな』
陽葵さんは何を話し合ったんだ。そして深いことってなんなんだよ……。
怖くて返信できない。
女心に詳しい誰かに相談……っ!?
一瞬にして、すべてが繋がったように感じた。
良いアイデアが思い浮かんだぞ。
一人で抱え込むことはないんだ! そして、こっそりと誰かに相談する必要もない!
むしろ多くの人に現状を知ってもらい、味方になってもらうように動けばいいんだ!
興奮したままスマホを耳につけると、通話相手のメーベルさんに話しかける。
「三回目のコラボ配信はDMを晒しましょう!」
「バカっ! さらに燃えるよっっ!!」
出会ってから初めて戸惑っている様子になった。それほど俺のアイデアはおかしいように思えるんだろうけど、ちゃんと説明すれば納得してくれるはず。
起死回生の一手になるはずだ。
「燃えません! 誹謗中傷がいっぱい来ていて困っている、と聖夜に相談する内容にすれば良いんです。アカウントや個人情報は隠して誹謗中傷のテキストを見せれば、リスナーだけじゃなく中立的な人も味方に出来ますよ」
メーベルさんがやったことは悪いかもしれないけど、壺を売ったり詐欺で大金を奪い取ったわけじゃない。
大人がする男女の駆け引きにギリギリ収まるはず。
それなのに過剰な攻撃をされていたら?
良識ある人たちは「そこまでする必要はないだろう」と擁護してくれるだろう。さらにメーベルさんが、悪かった部分を認めれば本当の敵以外は攻撃を止める。
「あーーーー。なるほどねっ! 聖夜くん頭いい! 偏差値高い高校いってそう!」
「それは秘密です」
「ちっ」
相談に乗った相手の情報を引き出そうとするなんて油断も隙もない。
ハニートラップ練習をして、警戒心を上げてなければ引っかかってたよ。
「話を戻しますが、最後のコラボ配信は俺の企画内容でやりませんか」
「私はいいと思うけど、聖夜くんに迷惑かけちゃうよ? 下手したら巻き込まれちゃうだろうし……」
「俺のことを心配してくれるなんて優しいですね」
「未成年が相手だからね。成人してたら絶対に巻き込んでたよ」
どうしてそこがラインなのかわからないけど、きっと理由があるんだろう。
「もう一度確認するけどさ、遠慮なく頼って良いんだよね?」
「もちろん。けどね、勝手に動いたらフォローできないから、行動するときは事前に相談してね」
「おっけ~。それじゃさ、今から三回目のコラボ企画の告知しちゃっていい? 今回の炎上について聖夜くんに相談する配信しちゃいまーーすって」
「念の為、父親の許可だけは取っておくけど、多分大丈夫だからちょっとだけ待って」
チャットで連絡をしたらすぐに返信が来た。コラボ相手が炎上していることを伝えても、父親的には問題ないらしい。
「お待たせ。大丈夫だった」
「やったね! それじゃ告知しよっと」
きっと俺にも誹謗中傷から心配する声までDMが沢山くるんだろうな。
リスナーも離れていくかもしれない。
もう少し人気になりたいと思っていたのに真逆の行動をしているけど、仲良く話せるメーベルさんを助けたいという気持ちは消せない。
俺の気持ちに嘘をついてまでやることじゃない。
ダメなところはダメと指摘して、そうじゃないところフォローしていく。
配信者スキルを教わった恩返しのため、メーベルさんには協力するんだと決めていた。
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