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第40話 迷惑リスナーになんて負けないんだからっ
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サムネイル、素材、台本などの準備が終わってコラボ配信の時間になった。
配信画面の真ん中にはDMの画像を表示するスペースを作り、右側に俺、左側にメーベルさんを配置している。
事前に何度か告知したこともあって、配信開始前から同接数は100を記録している。俺のチャンネル史上最高値を達成するのは間違いない。
炎上を使って数字を稼いだなんてコメントされているけど、俺やメーベルさんは違うとわかっているから気にはならない。
台本通りに動いて今回の配信を乗り切るんだ。
「チャット欄は批判のコメントが多いね~。サクッとブロックしておく?」
俺と配信前の打ち合わせ通話をしているメーベルさんが聞いてきた。
配信が始まったらチャット欄はさらに酷いコメントが増えるだろう。今のうちに対処しておくのも一つの手なんだけど、批判コメントを全部ブロックしてしまったら印象は悪くなるだけ。加減は必要だ。
「限度を超えた書き込みをした人だけブロックしよっか」
「おっけ~。それじゃこいつと、こいつは、殺しておくね」
一時的に管理権限を渡しているメーベルさんから何度かクリック音がする。すぐにチャット欄から、いくつかコメントが消された。『削除されました』といったメッセージが残るので、誰が何をしたかはリスナーにも伝わっている。
[シドン:都合が悪いコメントは削除か?]
[太田:底辺VTuberの数字稼ぎだから、これからもバンバン削除されるぞ]
[メメ:聖夜くんはそんなんじゃないよ]
[ANII:でた~。信者の擁護!]
[服服:お前の推しもメーベルとヤってるぜ]
[しそ:浮気されても推せるなんて、頭も股もユルユルなんじゃね。俺にも一発ヤらせろよ]
俺に対しての誹謗中傷なら我慢できる。
けど、初期から支えてくれているリスナーとなったら話は変わる。
「ごめん。配信始める」
「そうなるんだ。やっぱり優しいね」
冷静さなんてとうに失っていて、メーベルさんのつぶやきは聞き取れなかった。
BGMをつけてから配信開始のボタンをクリックする。
「こんにちは。聖夜です」
配信が始まったとわかってチャット欄の動きが速くなった。コメントは目で追えるけど、一つ一つをじっくり読むのは難しいぐらい。
内容を読むのは後にして、先ずは大切な人を守るために言ってやらないと。
「俺のことは何と言ってもいいが、リスナーに対して酷いことを言うのは止めろ。見かけたら即ブロックする」
強めに発言すると一部のリスナーがチャット欄を荒らしだした。
[太田:炎上に便乗したくせにかっこつけんなよ!]
[shinzo-:うざっ。こいつも燃やそうぜ]
[しそ:メーベルと寝た見返りに味方しているのか? サイテーだな]
いちいち反応はしない。無心になって暴言コメントを書き込んだリスナーをブロックしていく。
淡々と、だ。
声なんて出さない。
クリック音だけが配信に流れている。
害虫駆除は数分で終わった。
チャット欄は平穏を保っている。
「ブロックが必要そうな人はいないようだね」
無遠慮な人たちを威圧するために低い声を出していたけど、そろそろ切り替えよう。
喉の調子を確認しつついつも通りを意識する。
「そろそろ始めようか。今日のコラボ相手もメーベルさんです。どうぞー!」
「はいはいー!」
メーベルさんの体が動き出した。俺の方を向いている。
「さっきの聖夜くん、マジで怖かった! あれが本性なの!? 裏で女性を殴ってそうで怖い~」
「そんなわけないでしょ!」
「えーー。あの声は、やってそうだよ。みんなもそう思わない?」
台本に存在しない話をされて対応が追いつかない。
とりあえずリスナーの反応が気になってチャット欄を見る。
[メメ:低音ボイスのせいで下腹部が痛くてジンジンする! 声で殴られちゃったみたい!]
[キラキラJD:雄力が高いのもアリだね。暴力的な聖夜くんなんて妄想が捗るっ!]
[ワカメ:私はMです。いくら渡せば殴ってもらえますか?]
常連たちは好き勝手言い放っていた。特にワカメさんは性癖を暴露していて対応に困ってしまう。
「女性は殴らないから!」
「本当~~? 実は裏で……」
「ないない! それ以上、言うならメーベルさんもブロックするよ!」
「コラボ相手なのに!?」
「俺の配信で暴言を吐くなら誰であっても容赦しない」
リスナーに注意したときのように低い声を出すと、チャット欄が大いに盛り上がる。
炎上ネタなんて忘れて皆楽しんでいるようで、二人でゲーム配信をしていたとき以上の速度だ。
台本には無いやりとりだったけど、おかげで場は暖まっている。本番を始めるにはいいタイミングだろう。
「で、今日はブロックされそうなメーベルさんが大変なことになってるんだ。みんな知ってるかな?」
「この流れで本題に入っちゃうの!?」
突っ込みを無視してチャット欄を見ると、当然だけどほとんどのリスナーは知っていた。書き込みを見る限り全員が知っていると判断しても問題なさそうだ。ただ事情を知らずにアーカイブを見る人もいるだろうから、簡単な説明だけはしておこうか。
「みんな知ってそうだから説明は短めにしておくけど、メーベルさんはとある男性VTuberとご飯を食べてその後ホテルに行く予定だったんだけど、会計途中に帰っちゃったんだよ。代金は男性VTuberが全部出したから、裏切りだ! 約束が違う! とSNSで告発して炎上したんだよね?」
「大筋はそうだね~。大事な部分を補足するとしたらフィーリングがあったらホテルでヤろうと言ったぐらいかな」
ちらりとチャット欄を見る。ブロックした影響もあって大人しい。これなら企画は進められそうだ。
配信画面の真ん中にはDMの画像を表示するスペースを作り、右側に俺、左側にメーベルさんを配置している。
事前に何度か告知したこともあって、配信開始前から同接数は100を記録している。俺のチャンネル史上最高値を達成するのは間違いない。
炎上を使って数字を稼いだなんてコメントされているけど、俺やメーベルさんは違うとわかっているから気にはならない。
台本通りに動いて今回の配信を乗り切るんだ。
「チャット欄は批判のコメントが多いね~。サクッとブロックしておく?」
俺と配信前の打ち合わせ通話をしているメーベルさんが聞いてきた。
配信が始まったらチャット欄はさらに酷いコメントが増えるだろう。今のうちに対処しておくのも一つの手なんだけど、批判コメントを全部ブロックしてしまったら印象は悪くなるだけ。加減は必要だ。
「限度を超えた書き込みをした人だけブロックしよっか」
「おっけ~。それじゃこいつと、こいつは、殺しておくね」
一時的に管理権限を渡しているメーベルさんから何度かクリック音がする。すぐにチャット欄から、いくつかコメントが消された。『削除されました』といったメッセージが残るので、誰が何をしたかはリスナーにも伝わっている。
[シドン:都合が悪いコメントは削除か?]
[太田:底辺VTuberの数字稼ぎだから、これからもバンバン削除されるぞ]
[メメ:聖夜くんはそんなんじゃないよ]
[ANII:でた~。信者の擁護!]
[服服:お前の推しもメーベルとヤってるぜ]
[しそ:浮気されても推せるなんて、頭も股もユルユルなんじゃね。俺にも一発ヤらせろよ]
俺に対しての誹謗中傷なら我慢できる。
けど、初期から支えてくれているリスナーとなったら話は変わる。
「ごめん。配信始める」
「そうなるんだ。やっぱり優しいね」
冷静さなんてとうに失っていて、メーベルさんのつぶやきは聞き取れなかった。
BGMをつけてから配信開始のボタンをクリックする。
「こんにちは。聖夜です」
配信が始まったとわかってチャット欄の動きが速くなった。コメントは目で追えるけど、一つ一つをじっくり読むのは難しいぐらい。
内容を読むのは後にして、先ずは大切な人を守るために言ってやらないと。
「俺のことは何と言ってもいいが、リスナーに対して酷いことを言うのは止めろ。見かけたら即ブロックする」
強めに発言すると一部のリスナーがチャット欄を荒らしだした。
[太田:炎上に便乗したくせにかっこつけんなよ!]
[shinzo-:うざっ。こいつも燃やそうぜ]
[しそ:メーベルと寝た見返りに味方しているのか? サイテーだな]
いちいち反応はしない。無心になって暴言コメントを書き込んだリスナーをブロックしていく。
淡々と、だ。
声なんて出さない。
クリック音だけが配信に流れている。
害虫駆除は数分で終わった。
チャット欄は平穏を保っている。
「ブロックが必要そうな人はいないようだね」
無遠慮な人たちを威圧するために低い声を出していたけど、そろそろ切り替えよう。
喉の調子を確認しつついつも通りを意識する。
「そろそろ始めようか。今日のコラボ相手もメーベルさんです。どうぞー!」
「はいはいー!」
メーベルさんの体が動き出した。俺の方を向いている。
「さっきの聖夜くん、マジで怖かった! あれが本性なの!? 裏で女性を殴ってそうで怖い~」
「そんなわけないでしょ!」
「えーー。あの声は、やってそうだよ。みんなもそう思わない?」
台本に存在しない話をされて対応が追いつかない。
とりあえずリスナーの反応が気になってチャット欄を見る。
[メメ:低音ボイスのせいで下腹部が痛くてジンジンする! 声で殴られちゃったみたい!]
[キラキラJD:雄力が高いのもアリだね。暴力的な聖夜くんなんて妄想が捗るっ!]
[ワカメ:私はMです。いくら渡せば殴ってもらえますか?]
常連たちは好き勝手言い放っていた。特にワカメさんは性癖を暴露していて対応に困ってしまう。
「女性は殴らないから!」
「本当~~? 実は裏で……」
「ないない! それ以上、言うならメーベルさんもブロックするよ!」
「コラボ相手なのに!?」
「俺の配信で暴言を吐くなら誰であっても容赦しない」
リスナーに注意したときのように低い声を出すと、チャット欄が大いに盛り上がる。
炎上ネタなんて忘れて皆楽しんでいるようで、二人でゲーム配信をしていたとき以上の速度だ。
台本には無いやりとりだったけど、おかげで場は暖まっている。本番を始めるにはいいタイミングだろう。
「で、今日はブロックされそうなメーベルさんが大変なことになってるんだ。みんな知ってるかな?」
「この流れで本題に入っちゃうの!?」
突っ込みを無視してチャット欄を見ると、当然だけどほとんどのリスナーは知っていた。書き込みを見る限り全員が知っていると判断しても問題なさそうだ。ただ事情を知らずにアーカイブを見る人もいるだろうから、簡単な説明だけはしておこうか。
「みんな知ってそうだから説明は短めにしておくけど、メーベルさんはとある男性VTuberとご飯を食べてその後ホテルに行く予定だったんだけど、会計途中に帰っちゃったんだよ。代金は男性VTuberが全部出したから、裏切りだ! 約束が違う! とSNSで告発して炎上したんだよね?」
「大筋はそうだね~。大事な部分を補足するとしたらフィーリングがあったらホテルでヤろうと言ったぐらいかな」
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