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第51話 インセクトイーターとの戦い
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森に住まう昆虫を助けるべく、畑仕事を中断して山を登っている。山道どころか獣道すらない場所を進んでいて、移動のペースは落ちている。
体力ない俺はユミについていくので限界だ。ミスラムを持っている彼女の背中を見ているだけで……ん? ミスラム? その手があった!
「ミスラムを貸してもらえない?」
「マスター、投げてもいいですか」
「うん」
立ち止まったユミは、抱えていたミスラムを軽く投げてくれた。
俺の胸辺りに届く動きだったんだけど、足を引いて回避する。ボトッと落ちて、地面が少し陥没した。
あんな重いものを俺が受け取れるわけないよね。
落ちたミスラムを触ってソファーモードにして座り、さらにユミへついてくように命令する。
ぽよん、ぽよん、と跳ねながら移動をした!
計画通りだ。これで俺は楽できる……うっ、うっ。
上下に動くから気分が悪くなってきた。吐きそう。
「マスター!?」
見かねたユミがミスラムを止めてくれた。
「助かったよ。このままだと、朝食を出すところだった」
悪い案じゃないと思ったんだけどなぁ。どうにかして便利な乗り物になってくれないだろうか。
悩んでいるとユミがミスラムを触り、四本の足を生やした。
ああそうか! そうすれば、よかったのか! 天才じゃないか!
「ユミありがとう。一緒に座る?」
「マスターのお誘いは断れませんね」
少し考えた素振りをしてから、隣に座ってくれた。余裕があるのに太ももが密着するぐらいくっついている。
「もう少し離れたら?」
「これがいいんです」
さみしがり屋は継続かな。俺は嫌じゃないので別にいいけど。
ミスラムには足の他に剣の腕も生やしたので、邪魔な草や枝まで切って進んで行く。不定形のゴーレムは便利だね。
移動が快適になったので、先ほどよりもスピードは上がっている。乗り物酔いすることはなく、ユミの帽子の上に乗っているムカデの案内に従って、進んで行くと30分ぐらいで目的地に着いた。
インセクトイーターの見た目を一言で表現するなら、岩の鎧を着たアルマジロだ。違いがあるとしたら、サイズが大きいことぐらいだろうか。全長は成人男性ぐらいあって、長い舌を使って近くにいる昆虫を食べている。食欲は旺盛なのか、根こそぎ食べる勢いだ。
「昆虫が美味しいのはわかりますが、節度を守らないのはダメです。放置すれば生態系が崩れるので、さっさと処分しましょう。マスター、私が行っていいですか?」
いつもより殺意が高い。
ユミにとって、それほど許せないことなんだろう。
「岩の鎧は素材になるから、なるべく傷つけないでね」
「わかりました!」
俺は少し離れたところで様子を見ることにした。
ミスラムに触れたユミが武装用のキーワードを唱える。
『剣と盾』
2つに分裂すると、片手剣とスモールシールドに変化した。
大剣では鎧に傷を付けるため、小回りが利く武器を選んだんだろう。
盾を前に出しながら慎重に歩くと、インセクトイーターは食事を止めた。ユミを見ると二本足で立って体を大きく見せ、威嚇をする。
それでもユミは動きを止めないので、舌を鞭のようにしならせて攻撃してきた。
剣や盾では防げない。横に飛んでユミは回避する。
追撃はなく、インセクトイーターは帰れと威嚇しているだけだ。
臆病な性格みたいだな。
ユミの体から淡い光を放つ青白い無数の蝶が出現した。幽灯蝶と呼ばれる下位精霊の一種だ。接触すれば電撃による痺れで動きを止められるのだが、インセクトイーターは舌で近くにある木の枝を拾い、投げると、幽灯蝶に当ててしまった。
パチンと音がして幽灯蝶が消える。
ユミの攻撃は失敗してしまったようだ。
俺の持っているアイテムでもサポートしたほうがよさそうだな。
「俺がチャンスを作る!」
「マスター、わかりました!」
ユミは立ち止まって睨み合うことにしたみたい。
俺はインセクトイーターの背後に回って、マジックバッグから丸い形をした音爆弾を出した。
ボタンを押して空中に投げる。
ユミは何をするのかわかってくれて、耳を塞ぐ。
直後、爆音が響き渡った。インセクトイーターは驚きひっくり返る。
「たぁっ!!」
走って近づいたユミは、剣で腹を突き刺した。内側は柔らかいみたいで、弾かれなかった。切っ先は完全に入っている。
剣を引き抜き、もう一度、攻撃しようとする。
「新手だ!」
敵は一匹だけじゃなかったみたいだ。ユミの左側から、体を丸めて転がっているインセクトイーターが猛スピードで近づいている。
気づくのに遅れたため回避する時間はない。盾に当てて受け流したけど、勢いを完全には殺せなかったようで、ユミは後ろに吹き飛ばされてしまった。
転がっているインセクトイーターは、立ち上がろうとしているユミに再び近づく。
直撃したら致命傷を受けそうな速度だが、蜘蛛の糸で作られた網に引っかかって、インセクトイーターは転倒してしまった。
助けてくれたのはクロちゃんだ。
約束を破って後を付けてきたみたい。
転がっていたインセクトイーターを糸で簀巻きにしてから、頭を噛んで攻撃を続けている。
「ユミ! もう一匹の方にトドメを!」
お説教をしようとして歩いていたのでやるべきことを伝えると、ハッとした顔をして腹から血を流しているインセクトイーターの頭を何度か刺して倒した。
クロちゃんの方も終わっているみたい。
他に敵の影は見えない。
少し危ない場面はあったけど、終わってみれば完勝だったね。
体力ない俺はユミについていくので限界だ。ミスラムを持っている彼女の背中を見ているだけで……ん? ミスラム? その手があった!
「ミスラムを貸してもらえない?」
「マスター、投げてもいいですか」
「うん」
立ち止まったユミは、抱えていたミスラムを軽く投げてくれた。
俺の胸辺りに届く動きだったんだけど、足を引いて回避する。ボトッと落ちて、地面が少し陥没した。
あんな重いものを俺が受け取れるわけないよね。
落ちたミスラムを触ってソファーモードにして座り、さらにユミへついてくように命令する。
ぽよん、ぽよん、と跳ねながら移動をした!
計画通りだ。これで俺は楽できる……うっ、うっ。
上下に動くから気分が悪くなってきた。吐きそう。
「マスター!?」
見かねたユミがミスラムを止めてくれた。
「助かったよ。このままだと、朝食を出すところだった」
悪い案じゃないと思ったんだけどなぁ。どうにかして便利な乗り物になってくれないだろうか。
悩んでいるとユミがミスラムを触り、四本の足を生やした。
ああそうか! そうすれば、よかったのか! 天才じゃないか!
「ユミありがとう。一緒に座る?」
「マスターのお誘いは断れませんね」
少し考えた素振りをしてから、隣に座ってくれた。余裕があるのに太ももが密着するぐらいくっついている。
「もう少し離れたら?」
「これがいいんです」
さみしがり屋は継続かな。俺は嫌じゃないので別にいいけど。
ミスラムには足の他に剣の腕も生やしたので、邪魔な草や枝まで切って進んで行く。不定形のゴーレムは便利だね。
移動が快適になったので、先ほどよりもスピードは上がっている。乗り物酔いすることはなく、ユミの帽子の上に乗っているムカデの案内に従って、進んで行くと30分ぐらいで目的地に着いた。
インセクトイーターの見た目を一言で表現するなら、岩の鎧を着たアルマジロだ。違いがあるとしたら、サイズが大きいことぐらいだろうか。全長は成人男性ぐらいあって、長い舌を使って近くにいる昆虫を食べている。食欲は旺盛なのか、根こそぎ食べる勢いだ。
「昆虫が美味しいのはわかりますが、節度を守らないのはダメです。放置すれば生態系が崩れるので、さっさと処分しましょう。マスター、私が行っていいですか?」
いつもより殺意が高い。
ユミにとって、それほど許せないことなんだろう。
「岩の鎧は素材になるから、なるべく傷つけないでね」
「わかりました!」
俺は少し離れたところで様子を見ることにした。
ミスラムに触れたユミが武装用のキーワードを唱える。
『剣と盾』
2つに分裂すると、片手剣とスモールシールドに変化した。
大剣では鎧に傷を付けるため、小回りが利く武器を選んだんだろう。
盾を前に出しながら慎重に歩くと、インセクトイーターは食事を止めた。ユミを見ると二本足で立って体を大きく見せ、威嚇をする。
それでもユミは動きを止めないので、舌を鞭のようにしならせて攻撃してきた。
剣や盾では防げない。横に飛んでユミは回避する。
追撃はなく、インセクトイーターは帰れと威嚇しているだけだ。
臆病な性格みたいだな。
ユミの体から淡い光を放つ青白い無数の蝶が出現した。幽灯蝶と呼ばれる下位精霊の一種だ。接触すれば電撃による痺れで動きを止められるのだが、インセクトイーターは舌で近くにある木の枝を拾い、投げると、幽灯蝶に当ててしまった。
パチンと音がして幽灯蝶が消える。
ユミの攻撃は失敗してしまったようだ。
俺の持っているアイテムでもサポートしたほうがよさそうだな。
「俺がチャンスを作る!」
「マスター、わかりました!」
ユミは立ち止まって睨み合うことにしたみたい。
俺はインセクトイーターの背後に回って、マジックバッグから丸い形をした音爆弾を出した。
ボタンを押して空中に投げる。
ユミは何をするのかわかってくれて、耳を塞ぐ。
直後、爆音が響き渡った。インセクトイーターは驚きひっくり返る。
「たぁっ!!」
走って近づいたユミは、剣で腹を突き刺した。内側は柔らかいみたいで、弾かれなかった。切っ先は完全に入っている。
剣を引き抜き、もう一度、攻撃しようとする。
「新手だ!」
敵は一匹だけじゃなかったみたいだ。ユミの左側から、体を丸めて転がっているインセクトイーターが猛スピードで近づいている。
気づくのに遅れたため回避する時間はない。盾に当てて受け流したけど、勢いを完全には殺せなかったようで、ユミは後ろに吹き飛ばされてしまった。
転がっているインセクトイーターは、立ち上がろうとしているユミに再び近づく。
直撃したら致命傷を受けそうな速度だが、蜘蛛の糸で作られた網に引っかかって、インセクトイーターは転倒してしまった。
助けてくれたのはクロちゃんだ。
約束を破って後を付けてきたみたい。
転がっていたインセクトイーターを糸で簀巻きにしてから、頭を噛んで攻撃を続けている。
「ユミ! もう一匹の方にトドメを!」
お説教をしようとして歩いていたのでやるべきことを伝えると、ハッとした顔をして腹から血を流しているインセクトイーターの頭を何度か刺して倒した。
クロちゃんの方も終わっているみたい。
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少し危ない場面はあったけど、終わってみれば完勝だったね。
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