借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~

わんた

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第62話 秘密兵器の登場

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 山小屋に戻って三日後。誠たちが帰ってきた。

 十分な休養を取ったらしく、みんな元気そうだ。

 再調査の前夜は前回と同じくバーベキューをして盛り上がり、翌日にダンジョンへ入った。

 目的はラルクノア群生地周辺の調査だ。魔物の分布の他、有用な素材がないか探す予定である。

 ダンジョンに入ると草原が広がっていた。話には聞いていたけど実物を見ると、圧倒される光景だ。マッパーがなければ、迷子になってしまう自信がある。

「沼地を越えるまで休まず行くぞ」

 先頭は信也さん、誠で俺とユミを挟んで後ろに圭子さん、光輝さんといった隊列で進む。魔物とほとんど遭遇しなかったけど、沼地までは歩いて5時間ぐらいかかった。

 戦闘はマナポーションを飲んだ圭子さんの闇魔法一発で終わったから疲れてはいない。

 沼地前に水分補給の小休憩を取った後、ミスラムをソファ型にして足を生やし、俺とユミが乗った。これで足が汚れる心配はない。

「俺たちも乗せてもらえないか?」

 誠が羨ましそうな顔をしていたけど、残念ながら大人数を乗せられるほど大きくはできない。諦めてもらおう。

「定員オーバーだよ」
「そっか」

 がっくっと肩を落とした誠は、悲しそうに沼地に入った。

 前回はポイズントードが大量に出てきたらしいんだけど、今回はあまり姿を見ない。倒しすぎて減ってしまったんだろう。元へ戻るにはどのぐらいの時間が必要なんだろうか。

 今度、学者に聞いてみようかと思いながら空を見上げる。

 死肉を漁るデッドバードがクルクルと旋回していた。俺たちを獲物として認識しているようだ。戦闘で怪我をすれば襲ってくるかもしれない。

「邪魔ね。倒すわよ?」
「任せた」

 誠から許可をもらった圭子さんは、マナポーションを飲んでから闇魔法を発動させた。

 黒い腕が伸びてデッドバードを握りつぶす。

 さすが一流の探索者! なんて威力なんだ! あっという間に全滅させてしまった。

 難所と言われている沼地ですら、草原と変わらないスピードで進んで出てしまった。

 無事に沼地を出ると少し先に森林が見える。

 誠は空を見ていた。

「あの魔物はいないみたいだな。少し休憩しよう」

 ドラゴン級の強さを持っていそうだと言っていた存在か。

 姿が見えないことに安堵したようで、歩き疲れている仲間と地面に座って、探索者バーを食べ始めた。

 俺とユミはミスラムに乗っていただけなので元気だ。お腹も減ってないから軽く調査でもしようかな。

「今日は秘密兵器を持ってきたんだ」

 マジックバッグからドローンを取り出した。

 前方と地上を映す2つのカメラがあり、空中から撮影して地形や魔物の分布状況を確認する予定だ。

 世間一般のドローンだと飛べる魔物に撃墜されることが多いんだけど、俺が持ってきたのはシールド発生機能があるので、何度か耐えられる。一応、攻撃機能もあるんだけど気休め程度なので期待はしていない。

「現代テクノロジーと錬金術を使った最新型か。高かったんじゃないのか?」
「倉庫に眠ってたからタダだよ。ドローン一号、行ってこい!」

 音を立てずにプロペラを回すと、ドローン一号が急上昇した。リモコンにあるモニターには俺たちが映っている。ユミが手を振っていたので、可愛かった。

「周辺には魔物がいないようだね。森林の方に動かしてみる」

 前方のカメラを見ながら操作をして移動をすると、森林の先に岩場が見えた。

 徒歩で移動すると一泊は必要になる距離だ。

 こういった場所は、当たり外れが大きい。素材があるか微妙なんだよね……。

「森林の先に岩場か。魔物はなにがいる?」
「調べてみるね」

 いつのまにか、俺の後ろから誠がディスプレイを覗き込んでいた。

 ドローン一号の高度を落として地上をよく見る。

「ロックゴーレムに鶏は……コカトリスか。他に……」

 魔物を探していると、急にカメラがぶれた。何かに衝突したみたいで地面に落下する。

 カメラには真っ赤な鳥が映っていた。クジャクのような尻尾をしていて派手な魔物だ。

 シールドのおかげで壊れてはない。上昇して逃げようと操作するけど、真っ赤な鳥が火の玉を吐き出してドローン一号に当てる。一瞬にしてシールドの耐久度を超えてしまい破壊されてしまった。

 リモコンのディスプレイには何も映っていない。

「あれが例の魔物?」
「サイズからすると、そうだな。あの火の玉は……ブレス級に思えたんだがどう思う?」
「同感だね。耐熱ポーションを飲んでなければ、近づいただけで燃えちゃうかも」
「……ポーションを飲めば大丈夫なのか」
「当然でしょ」

 じゃなかったら、耐熱ポーションの意味が無いじゃないか。

 どうして誠は唖然としているんだろう。

「そう、だな。逃げ切れなかったときは裕真製のポーションに期待しよう」

 期待されたら応えないとね。マジックバッグから耐熱ポーションを取り出して、メンバー分の量を渡しておいた。
 
 受け取った誠はパーティメンバーのところに戻って指示を出す。

「休憩は終わりだ。例の魔物が来る前に森林の中に行くぞ」

 もっと休みたいなんて声は上がらなかった。

 むしろ早く行きたいって顔をしている。それほど真っ赤な鳥を恐ろしく感じているんだろう。

 森林の中だと、ミスラムソファは動きにくい。

 俺とユミも歩いて後を追うことにした。

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