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「許すもなにも……恐れながら……私が決めることではありません……」
私は国王陛下にこのように返事をしました。私自身、毒を入れられたことが信じられないままでしたし、飲んでもいないので、実感に乏しい状態が続いていました。
国王陛下は困った顔をなさいました。
「シルヴィアにはずっと手を焼いていたんだが、今後どうしようかと思ってな……。相談したい」
「私ごときに相談だなんて」
「ビアンカはシルヴィアと歳が近いだろう? 何か思うことがあれば言ってくれ」
私としてはこの城でのんびり生活をすることが目標なので、正直シルヴィア様がどうなろうとあまり関係がありません。ただ、これからもディートハルト様の妻であるだけで目の敵にされるのはストレスですし、以下のように提案しました。
「シルヴィア様はディートハルト様のことが大変お好きでいらっしゃいます。しかしそれは幼い者にとって一過性の病のようなものです。シルヴィア様はもっと外の世界に目を向け、見識を広げる必要があるかと存じます」
「ほう。具体的には?」
「たとえばですが……シルヴィア様を隣国の王家に嫁がせるというのはいかがでしょう?」
国王陛下は「ふむ……」と言いながら、手であごをさすりました。
「そうすればそなたの気は晴れるということじゃな?」
「いえ、そのようなことは……。私はなんとも思っておりません」
国王陛下は慎ましげにお笑いになりました。
「殺されかけた者が何を言うておる。自分を殺そうとしたやつなぞ、死ぬまで忘れんよ。恨みを抱き続ける。歴史的に見ると、そうやって王家は内部から崩れていくのじゃ。わしはこの因縁を、早い段階で断ち切っておきたい。そなたもまだ間もないとはいえ、王家の一員じゃからの」
国王陛下が私を『王家の一員』として認めてくださっていることに、鮮明な喜びが湧き上がってきました。王家での生活になかなか慣れていなかった私に、国王陛下はほっとする気持ちを与えてくれました。それだけでも今回の一件を忘れようかと思うほどでした。
さて、国王陛下がおっしゃることをもろもろ聞いたうえで、今回呼ばれた意図がわかりました。シルヴィア様の処分を一緒に考えることで、私の心のわだかまりを残さないようにしたいのだと理解しました。せっかくですし、このチャンスを逃すわけにいきません。
「そうですね……。でしたら、シルヴィア様の直接の謝罪も要求します。今までディートハルト様のことで散々敵視されて、苦しい思いをしてきましたので。謝罪したうえで外国へ嫁ぐなら、私はこの出来事を忘れたいと思います」
国王陛下は私の返事を聞き、うなずきながら「いいだろう。率直に打ち明けてくれて感謝する」とおっしゃいました。
こうして国王陛下との謁見を乗り越えた私は、肩の荷が降りました。シルヴィア様のことでもやもやし続ける生活になるのかと思っていたところに、国王陛下のお気遣いが入り、こちらこそ感謝申し上げねばなりません。上に立つ人間はこのように下の人間の感情に寄り添いつつ支配体制を維持するのだと、勉強にもなりました。すでに国王陛下に恩を感じている私は、これからも国王陛下のために尽くすことになるでしょう。自然とそのような心持ちになりました。
翌日、シルヴィア様が私の部屋を訪れました。彼女は手土産に、私が思いもかけなかった物を持ってきたのでした。
私は国王陛下にこのように返事をしました。私自身、毒を入れられたことが信じられないままでしたし、飲んでもいないので、実感に乏しい状態が続いていました。
国王陛下は困った顔をなさいました。
「シルヴィアにはずっと手を焼いていたんだが、今後どうしようかと思ってな……。相談したい」
「私ごときに相談だなんて」
「ビアンカはシルヴィアと歳が近いだろう? 何か思うことがあれば言ってくれ」
私としてはこの城でのんびり生活をすることが目標なので、正直シルヴィア様がどうなろうとあまり関係がありません。ただ、これからもディートハルト様の妻であるだけで目の敵にされるのはストレスですし、以下のように提案しました。
「シルヴィア様はディートハルト様のことが大変お好きでいらっしゃいます。しかしそれは幼い者にとって一過性の病のようなものです。シルヴィア様はもっと外の世界に目を向け、見識を広げる必要があるかと存じます」
「ほう。具体的には?」
「たとえばですが……シルヴィア様を隣国の王家に嫁がせるというのはいかがでしょう?」
国王陛下は「ふむ……」と言いながら、手であごをさすりました。
「そうすればそなたの気は晴れるということじゃな?」
「いえ、そのようなことは……。私はなんとも思っておりません」
国王陛下は慎ましげにお笑いになりました。
「殺されかけた者が何を言うておる。自分を殺そうとしたやつなぞ、死ぬまで忘れんよ。恨みを抱き続ける。歴史的に見ると、そうやって王家は内部から崩れていくのじゃ。わしはこの因縁を、早い段階で断ち切っておきたい。そなたもまだ間もないとはいえ、王家の一員じゃからの」
国王陛下が私を『王家の一員』として認めてくださっていることに、鮮明な喜びが湧き上がってきました。王家での生活になかなか慣れていなかった私に、国王陛下はほっとする気持ちを与えてくれました。それだけでも今回の一件を忘れようかと思うほどでした。
さて、国王陛下がおっしゃることをもろもろ聞いたうえで、今回呼ばれた意図がわかりました。シルヴィア様の処分を一緒に考えることで、私の心のわだかまりを残さないようにしたいのだと理解しました。せっかくですし、このチャンスを逃すわけにいきません。
「そうですね……。でしたら、シルヴィア様の直接の謝罪も要求します。今までディートハルト様のことで散々敵視されて、苦しい思いをしてきましたので。謝罪したうえで外国へ嫁ぐなら、私はこの出来事を忘れたいと思います」
国王陛下は私の返事を聞き、うなずきながら「いいだろう。率直に打ち明けてくれて感謝する」とおっしゃいました。
こうして国王陛下との謁見を乗り越えた私は、肩の荷が降りました。シルヴィア様のことでもやもやし続ける生活になるのかと思っていたところに、国王陛下のお気遣いが入り、こちらこそ感謝申し上げねばなりません。上に立つ人間はこのように下の人間の感情に寄り添いつつ支配体制を維持するのだと、勉強にもなりました。すでに国王陛下に恩を感じている私は、これからも国王陛下のために尽くすことになるでしょう。自然とそのような心持ちになりました。
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