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ベンジャミンとガーネットを地下室に入れてから数ヶ月はロープで縛っていたけど、ご飯を食べさせることや排泄物の処理がだんだんと面倒になってきた。

私は二人のロープを解き、牢の中で共同生活させることにした。鉄格子越しに食料を与え、牢の中では自由を許した。
ロープのなくなった二人はまず抱きしめ合い、キスをした。お互いに顔や体をさすり、慰め合った。ホコリまみれ、汚れまみれの二人だったが、夢中になって求め合う。私はとても清らかなものを見ている気持ちになった。

私が地下室で薬草の実験をしているときにも、二人はセックスをした。二人にとってセックスは日常だった。私もたまに、二人のセックスを牢の外から椅子に座って眺めた。飽きもせずに毎日毎日セックスをする。最初は正常位しかしなかったものの、さまざまな体位を試し始めた。

さっさとロープを解いておけばよかったと後悔した。別に二人は逃げようともしないし、牢の中でストレス解消ができて心地よさそうである。

私は媚薬になると噂の薬草を調合し、二人の食事に混ぜてみた。すると二人はいつも以上に求め合っていた。ベンジャミンはガーネットの乳房に噛みつきすぎて、ガーネットの胸からは血が出ていた。行為の最中にはお互いに変な叫び声をあげるようになった。感じているときに自然に出てしまう声ではなく、セックスの快感を天から呼び寄せているかのような雄叫びである。

二人の恋の深まりに興奮した。私は社会貢献をしている。ベンジャミンの恋を叶え、恋を燃え上がらせているのだから。



ある日、私はガーネットのお腹が大きくなっていることに気がついた。ベンジャミンとの子ができたのだ。日の当たらない地下室に新しい生命が誕生したことは、私にとって奇跡のように感じられた。新しいワクワクだった。

私はガーネットのお腹の大きさの記録をつけ、必要な栄養を与えた。妊婦について学び、出産の日には無事に産めるよう環境を整えた。

出産当日、私は縛った状態にしたガーネットを分娩台に乗せ、赤ん坊を取り出した。元気な女の子だった。その場を見守っていたベンジャミンはほっとしたような表情を浮かべ、温かい眼差しを赤ん坊に向けた。私はそのとき、本能的に怖くなった。ベンジャミンの瞳が……恋する男ではなく、愛する男になったような気がしたから。

私は赤ん坊を二人に預け、しばらく様子を観察した。やはり最初にロープを解いたときのような激しい求愛をすることがなくなった。これでは意味がない。ベンジャミンの恋を応援するために二人を牢に入れたのだから。もし赤ん坊を含めた三人がともに家族愛を育んでいくとするなら、ベンジャミンの恋はどうなる?

奇跡のように思えた赤ん坊の存在が、疎ましく思えてきた。ベンジャミンの恋を邪魔する、不要なもの……。私は赤ん坊を亡きものにしようと決意した。
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