浮気した婚約者は慰謝料地獄。過酷な労働を強いられる。

Hibah

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8 セリーヌの手紙 2/5

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わたしはわたしで親の決めた婚約者がいました。先生にも紹介した、今の夫のガブリエルです。彼は修道院付属の学校には行かずすべて家庭教師だったので、学校で共に過ごすようなことはありませんでした。

わたしは彼のことが気に入っていたので学校で恋愛をするつもりはなく、とにかくアリアと過ごせる毎日が嬉しかったのです。フィリップはアリアの婚約者だから仲良くしていただけです。そういった友人関係もたまに生まれますよね。AもBも、Cと仲が良いだけで、AとBどうしはそこまで親しくないというパターン。いざAとBが何かのタイミングで二人になると、気まずくなってしまうやつ。

しかし、わたしはフィリップのせいで毎日気疲れする日々を送らされました。

いくら鈍感とはいえ、フィリップに対して「こっち見んなアホ」とも言えなければ、「わたしのことを好きになるな。アリアだけを見ろ」とも言えません。そもそもフィリップから想いを告げられたわけでもないのにそのようなことを言えるはずもないので、”友人”として非常に困った状況に陥ったのです。アリアの婚約者ですから、アリアの前で恥をかかせるわけにもいきません。

絶対にフィリップと二人きりにならないよう気をつけ、間違ってもアリアに誤解されることがないよう細心の注意を払わなくてはならなかったのです。



おそらくアリアは、フィリップがわたしに恋をしているとわかっていなかったと思います。あくまで友達としての”好き”の範囲内だと思っていたはずです。



どうしてかというと、わたしはアリアと二人でいたいのに、アリアは積極的にフィリップを呼ぶことがあったからです。「なんで呼ぶの!? 呼ばないでくれ~」と何回も心の中で叫びました。アリアがフィリップのことを気に入っているのは入学前からよく聞かされていましたから、さすがにそこはわたしも何も言えませんでした。

なんとかうまくやり過ごしていたつもりだったのですが、入学してから一年くらい経った頃、アリアに不意に尋ねられました。


「フィリップって、セリーヌのこと好きなのかな?」
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