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私は離縁状を書くドミニクを見ながら言った。
「剣はどうするのよ。今までたくさん集めてきたじゃない? コレクションとお別れして寂しくないの?」

「そりゃ寂しいさ。だから特に気に入ってる剣は何本か持っていくよ」

「愛人のほうが……大切なの? 剣よりも、私よりも……?」

ドミニクは離縁状を書き終えると、渡しながら答えた。
「そうだね。俺はどうせ死ぬなら好きな人と死にたい。お前じゃないんだよね」

「でも、私たち夫婦は仲良くやってきたじゃない? 喧嘩だってほとんどしなかったし、私はあなたのために尽くしてきたと思うわ」

「はっきり言ってそういうのは重いんだよね。それに、夫婦としてうまくやってきたけど、恋愛感情はなかったし。お前は俺の母親みたいに見えちゃうっていうか、世話焼きなところに燃えないんだよねえ」

ショックのあまり離縁状を落としてしまった。私が感じていた夫婦の幸せは嘘で成り立っていたんだ。

「でも……一回くらいは剣を見に帰ってくるわよね? そうだ! あなたの好きなパスタを作ってあげるわ。もう戻らないなんて言わないよね? せっかく続けてきた夫婦関係ですもの」

「なんだそりゃ……離縁状を書いたばかりじゃないか。俺は気づいたんだよ。7日後に世界がなくなるなら、誰と過ごしたいかって。俺は好きな人のところに行く。お前と無理して過ごすのだけはまっぴらごめんだね」

私はこの期に及んで、ドミニクに未練があった。それはドミニクを大切に思っているというよりも、私自身が捨てられる恐怖だった。7日後に世界が滅亡するとき、私は一人なの? ……いや、滅亡はしないはず。いけないいけない、私まで世界が終わるような気がしてきた。

ドミニクはよっこらせと立ち上がり、私の顔を見た。
「正直俺はこの家を出ていけて嬉しい。フローラも好きに過ごしたらいいんだぞ。とにかく、お互いにお互いの理想を追いかけようよ。これが最後のチャンスなんだから。世界が滅亡するまでにまだ7日ある。早めに教えてくれた教主様に感謝しないとな!」

そう言うとドミニクは、寝室に入り寝る支度をした。ベッドいっぱいに剣を並べていて、私の寝るスペースはなかった。



私は明日からどうすればいいんだろう……。
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