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「エルキュール様! ああ! そこがいい! エクスタスィ!」



(また……性懲りもなくやってるわね……)



今夜も、夫の寝室から女性の下品な喘ぎ声が漏れてきます。結婚三年目にして、私たちは寝室を別にしました。すると、夫の浮気はエスカレートしていきました。街で見つけてきた女性や、時には娼婦さえ部屋に招き入れ、私に対して隠そうともせず、夜な夜な情事を楽しむようになりました。

初めて夫の浮気を目撃したとき、そのショックはあまりにも大きく、私は泣き喚き、夫を責め続けました。

一方の夫は、嬉しそうな顔をします。信じられないことに、私の嫉妬に喜びを感じるようです。夫の性格がこれほど変わっているとは、結婚するまで気づきませんでした。夫は私を強く抱きしめ、「僕が愛しているのは君だけだよ」と言いました。

しかし、その言葉の熱が冷めやらぬうちに、夫はまた別の女性を部屋に引き入れます。私は廊下で一人の女性とすれちがったことがあります。夫が連れてきた彼女は、まるで自分の家のように堂々と歩いていました。なるべく鉢合わせないようにしていても、同じ城の中にいるのですから、タイミングが悪いときもあります。そんなとき、私の心はさらなる無力感に打ちのめされるのです。

私は怖くなりました。言葉では「愛している」と言い続ける夫。なのに、行動が伴わない。愛の言葉とは裏腹に、夫の行動はただ欲望を満たすためだけに存在しているかのようでした。正直、吐き気がします。

そのような夜が何度も繰り返されるうちに、私は徐々にやつれていきました。食事も喉を通らなくなり、生きているのが辛くなりました。

私にできた応急処置はといえば、夫に見せるためだけの空っぽの笑顔を作ったというところでしょうか。もはや、夫が他の女性を抱くことに悲しみを感じるよりも、その事実を受け入れ、自分自身を保つほうが賢明だと考えたのです。それが、正気を保っていられる唯一の道でした。

……自分でも愚かだと思いますが、私は夫を愛し続けていました。他の女性に奪われるなど想像ができません。他の女性が夫に触れること、夫が他の女性の名前を呼ぶこと、どれも嫌で嫌でたまりませんでした。

私は結局のところ、忘れられないのです。初めて会った日の甘い不安、初めて手をつないだときの夫の優しさ、私を笑顔にするためだけに努力してくれていた日々……。あの輝かしい日々があったことだけは、確かです。

誤解しないでください。結婚当初のようになりたいとか、かつてのときめきを取り戻したいとか、そういうのではありません。私の中のキラキラした思い出が、夫を捨てさせないでいる。それだけのことです。
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