死神令嬢は年上幼馴染からの淫らな手解きに甘く溶かされる

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「お互いに恋愛感情はありませんでしたし、妻の他に恋人を作ることは、貴族間ではよくある話です。だから、不貞行為に関してはとやかく言うつもりは元よりありませんでした」

　あの日の状況をジルベールに語りながら、レイネシアは深く息を吐く。そうして自分を落ち着かせなくては、苛立ちが再燃しそうなほどシールズの行動は容認できなかった。

「はっきり言って、気持ち悪かったんです。こんな男の妻になるなんて、冗談じゃないって。一瞬、本気で殺そうかと思いました」

　思い出すだけでムカムカする。あの時、完全に頭に血が上っていた。
　使い魔は契約した主人の感情の変化を敏感に感じ取る。あの時、身の危険を感じたレイネシアに呼応し、リールは彼を天高く巻き上げた。

「でも、リールに人殺しをさせるわけにはいかないから、ちょっと懲らしめるだけに止めようと、高いところにしばらく吊るしたんです。そしたら泣きべそかいて許しを乞いてきたので、下ろしました」

　すんでのところで思い止まれて良かったと思う。ただ、それで終わらないのが最低男のシールズだった。

「下ろした途端に『婚約破棄だ、俺を殺そうとしやがって』と喚き散らし……一応、伯爵様には事情を説明し、あちらの落ち度による婚約破棄となったんですが、その後、至る所で私に殺されかけたんだと言って回ったようです。そしたらいつの間にか、私は婚約者を死に追いやる『死神令嬢』だと妙な名前が付いてました。まぁでも、一歩間違えたら殺していたかもしれないので、あながち間違いではないな、と」