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「だが、それは完全に向こうの落ち度だろう。バクソン伯爵がそれを認めたなら、令息のしていることは許されない」
「別に構いません。正直、もう関わりたくないですし」
憤慨した様子を見せるジルベールに、レイネシアは飄々と答える。
レイネシアは一般的に女性の結婚適齢期と言われる十七歳。それを過ぎれば行遅れとなり、さらに婚姻は難しくなる。
加えて、婚約破棄された令嬢というものは次の相手を見つけることが難しくなるものだ。あったとしても、かなりの年齢差があったり、どこかの後妻になれれば良い方。だが、婚約破棄をされ、さらには不名誉な噂まである令嬢にはそんな話も入ってこない。
「まぁ、新たに婚約者を探すのは難しいでしょうね」
「もしかして、社交をしなくてラッキーだと思ってるんじゃないか?」
「バレましたか」
顔を見合わせ、どちらからともなく笑いが溢れた。
一頻り笑い、落ち着いたレイネシアは温くなったお茶を飲み干し、新たに淹れ直すことにした。
「だが、これからどうするんだ?」
「そうですね。父はこのまま家にいても良いと言ってくれてはいますが……」
結婚が難しいのなら、行き着く先は修道院だ。だが、そうなれば大好きな研究はできなくなるだろう。それはレイネシアにとって何より辛いこと。
だが、嫁げば待っているのは子作りだ。財産も然程ない、行き遅れの“死神令嬢“。そんなレッテルを貼られたレイネシアに残された価値は、魔力持ちの子供を産むことくらいなもの。
けれど、シールズの手が自身へと伸びてきた時に感じた恐怖。強い嫌悪感を思い出すと、身体の芯が冷えていく。
「男が怖くなった?」
知らずと自身を守るように腕を組んでいた。ジルベールの問いかけは、レイネシアの不安見透かしたような的確なものだった。
「別に構いません。正直、もう関わりたくないですし」
憤慨した様子を見せるジルベールに、レイネシアは飄々と答える。
レイネシアは一般的に女性の結婚適齢期と言われる十七歳。それを過ぎれば行遅れとなり、さらに婚姻は難しくなる。
加えて、婚約破棄された令嬢というものは次の相手を見つけることが難しくなるものだ。あったとしても、かなりの年齢差があったり、どこかの後妻になれれば良い方。だが、婚約破棄をされ、さらには不名誉な噂まである令嬢にはそんな話も入ってこない。
「まぁ、新たに婚約者を探すのは難しいでしょうね」
「もしかして、社交をしなくてラッキーだと思ってるんじゃないか?」
「バレましたか」
顔を見合わせ、どちらからともなく笑いが溢れた。
一頻り笑い、落ち着いたレイネシアは温くなったお茶を飲み干し、新たに淹れ直すことにした。
「だが、これからどうするんだ?」
「そうですね。父はこのまま家にいても良いと言ってくれてはいますが……」
結婚が難しいのなら、行き着く先は修道院だ。だが、そうなれば大好きな研究はできなくなるだろう。それはレイネシアにとって何より辛いこと。
だが、嫁げば待っているのは子作りだ。財産も然程ない、行き遅れの“死神令嬢“。そんなレッテルを貼られたレイネシアに残された価値は、魔力持ちの子供を産むことくらいなもの。
けれど、シールズの手が自身へと伸びてきた時に感じた恐怖。強い嫌悪感を思い出すと、身体の芯が冷えていく。
「男が怖くなった?」
知らずと自身を守るように腕を組んでいた。ジルベールの問いかけは、レイネシアの不安見透かしたような的確なものだった。
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