年下クンと始める初恋

鈴屋埜猫

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 母親との会話から数日後。茉歩は一人、近隣の大手ホテルの前にいた。

「もー、人遣いの荒い……」

 口を吐くのは母への小言だ。朝っぱらから叩き起こされ、あれやこれやと指示した母は、茉歩が文句を言う前に出かけて行った。
 寝起きのよく働かない頭でリビングに下りると、両親の寝室でもある和室に用意されていたものが目に入り、盛大なため息が出た。お茶を習っている母の知り合いが、ホテルで開く茶会で人手が足りないらしい。母の付き添いで何度か茶会に行ったこともあるし、着付けもできる茉歩はそうした時、いつも手伝いに借り出されていた。
 大抵は前もって言ってくれるのだが、今回は病欠で来られなくなった人の代理だと言っていた。病気なら仕方がない。そうは思うが、茉歩にだって予定はある。まぁ、誰かと約束があるわけでもないので問題はないっちゃないのだが。
 ホテルまでは十分とかからない。一時からとのことだから、十二時に出れば充分間に合いだろう。そう考えて、茉歩はゆっくりと身支度を始めた。
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