年下クンと始める初恋

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「あんたさぁ、仕事しないの？」

　勤めていた会社の人員整理にもろに引っかかり、仕事を自主退職して三ヶ月。実家に戻り、のらりくらりと暮らしていた茉歩に、ついに母親の雷が落ちた。
　この三ヶ月、好きにさせてくれていたので母親としては言いたい気持ちを我慢していてくれたことだろう。だが、さすがに堪忍袋の緒が切れたらしい。そして一度石を切って溢れ出した不満は止まることを知らないのだ。

「いい年なんだし、彼氏くらいいるでしょ？　結婚とか考えてる？　お母さんはあんたの年頃には……ちょっと、聞いてるの？」

　この手の話は本当に苦手だ。結婚したくないわけではない。むしろできるものならしたいのだ。だが、相手がいないとそもそも無理な話だ。

「仕事は探すよ。ただ……彼氏は残念ながらいないし、結婚は当分ない」

　毎度、この話を持ち出されては堪らないのでハッキリと言う。母には悪いが、茉歩としては結婚はほぼ諦めていた。

「あら、じゃあお見合いでもする？」

　何故その流れになるのか。嬉々としてお見合いを持ち出してきた母に、茉歩はげんなりとする。

「うーん……それは最終手段、かな」
「分かったわ」

　自嘲気味に答えた茉歩に、母の声は弾んでいるように聞こえた。だが、彼女がその顔を確認する前に母は部屋を出て行ってしまう。
　面倒なことにならないといいな、と思いながら茉歩はため息混じりに求人広告に目を走らせた。