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茉歩は自分の童顔を恥じている。そして大きな胸元も。だから葉一は、彼女の前では普段通りに、気にしないフリをした。いつまでも可愛い弟でいれば、彼女の隣を確保できたから。
でもそれも長くは続かなかった。茉歩が中学に上がる頃、葉一は親の都合で引っ越しを余儀なくされたのだ。
絶対に嫌だと駄々をこねた。両親が困るのは分かっていたが、茉歩と離れたくない、その一心で。でも、結局小さな子供が一人で足掻こうと無理なものは無理だった。そして一番の決定打となったのは、他の誰でもない茉歩の一言だった。
「そっかぁ……寂しいけど、仕方ないね」
仕方ない? 確かにそうだ。でも、もう少し寂しがってくれてもいいじゃないか。
涙一つ見せず、元気でね、と微笑む彼女に無性に腹が立った。葉一と離れても、茉歩は平気なのかと。笑って済ますことができるのかと。
だから、引っ越しの日、見送りに来てくれた茉歩に冷たい態度を取った。悔しかったのだ。ただそれだけの理由で、拗ねた。ガキだった。彼女が押し隠していた寂しさなんて、気付きもしなかった。
それを知ったのはだいぶ後だ。一年に一度、春江を訪ねていたある日、ちょうど春江の家から出てくる茉歩を見かけた。
彼女の長く伸びた髪、スーツ姿に見惚れた。大学の入学式終わりだったらしい。相変わらず童顔だったが、綺麗な大人の女性がそこにいた。
顔を見れたのはほんの一瞬。あとは後ろ姿を見えなくなるまで見送った。そして聞いたのだ。春江から、あの日、葉一を見送った後に茉歩が泣きじゃくったことを。
でもそれも長くは続かなかった。茉歩が中学に上がる頃、葉一は親の都合で引っ越しを余儀なくされたのだ。
絶対に嫌だと駄々をこねた。両親が困るのは分かっていたが、茉歩と離れたくない、その一心で。でも、結局小さな子供が一人で足掻こうと無理なものは無理だった。そして一番の決定打となったのは、他の誰でもない茉歩の一言だった。
「そっかぁ……寂しいけど、仕方ないね」
仕方ない? 確かにそうだ。でも、もう少し寂しがってくれてもいいじゃないか。
涙一つ見せず、元気でね、と微笑む彼女に無性に腹が立った。葉一と離れても、茉歩は平気なのかと。笑って済ますことができるのかと。
だから、引っ越しの日、見送りに来てくれた茉歩に冷たい態度を取った。悔しかったのだ。ただそれだけの理由で、拗ねた。ガキだった。彼女が押し隠していた寂しさなんて、気付きもしなかった。
それを知ったのはだいぶ後だ。一年に一度、春江を訪ねていたある日、ちょうど春江の家から出てくる茉歩を見かけた。
彼女の長く伸びた髪、スーツ姿に見惚れた。大学の入学式終わりだったらしい。相変わらず童顔だったが、綺麗な大人の女性がそこにいた。
顔を見れたのはほんの一瞬。あとは後ろ姿を見えなくなるまで見送った。そして聞いたのだ。春江から、あの日、葉一を見送った後に茉歩が泣きじゃくったことを。
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