スライムブリーダー?実は最強の職業でした

谷里 零

文字の大きさ
7 / 8

初めての採取

しおりを挟む
 目がぁ~、目がぁ~とはならなかった。
 眩しいけど眩しくない。そんな暖かな光だ。真っ白で何も見えないけどね。

 光が収まると、そこにぽつんと一匹のスライム。クルシュだ。


【従魔の名付けを確認】

異体同心貴方は私を解放します】

【一定の友好値を確認】

【異体同心の使用条件が整いました】

【異体同心を使用しますか?】

【注意 このスキルは一度しか使用できません】

【異体同心を使用しますか?】

【Y/N】

 スキルの効果はわからない。でも何故か使った方がいい様に思えたんだ。だから僕は迷わずYESを押した。
 名付けをした時、クルシュから流れてきた感情は、驚愕、哀愁、歓喜。
 それに光が収まってから見たクルシュは、泣いていたんだ。


 どれくらい経ったのだろう。僕達は泣き続けていた。スキルを使用してからクルシュからハッキリとした感情が流れて来たのだ。驚いたって感情が一番で、次に懐かしいって感情、そこから一気に嬉しいと哀しいがきて、ほんとに凄く小さくて、最初よく分からなかったけど、きっとこれは怒りや憎しみだと思う。

『主人殿、見苦しいところを見せ大変申し訳ない。余りの眩しさ故に体液が溢れてしまった』

「ふふ、それじゃ僕も謝らなくちゃね。僕も鼻水が溢れてぐちゃぐちゃだよ」

「『ふふ、あはははは』」

 異体同心は多分従魔との繋がりをより強くするスキルなんだと思う。一度しか使えないみたいな事言っていたけど後悔はない。クルシュの事を知れたからね。

『それで主人殿、主人殿は何故こんな場所へ?』

「あっ!そうだった!僕、依頼の最中だったんだ!」

『依頼?』

「そう!薬草とか採りに来たんだ!こういったやつなんだけど……」

 薬草をどう説明しようか迷って足元を見たらなんとビックリ!薬草だけじゃなく他の依頼のものまでびっしりと生えていた。きっとここは群生地なんだ。

「これだよこれっ!クルシュ、魔物が出たらお願いね!」

『うむ!任せてくれ!』

 僕は鞄から、折り畳んである麻袋と先のとがった鉄の棒を取り出す。キャサリーンさんから根っこに土が付いた状態で取ってこられれば査定がアップすると教えてもらった。土が残る分重く嵩張るけど折角なら喜んでもらいたいもんね。
 キャサリーンさんに言われた事を復唱しながら一本の薬草を採り終える。
 うん!これなら大丈夫かな!納得しながら麻袋に入れると、

『なぁ、主人殿。これを土が付いたまま採れれば良いのか?』

「ん?そうだよ」

『ならば私に任せるが良い!』

「えっ?」

 クルシュが僕の前に来たと思ったらぐんぐんと縦に横に伸びて行く。ペラペラの幕の様になったと思ったらファサッっと群生地に覆い被さる。

「へっ?」

 間抜けな声を出す僕をよそに、ペラペラクルシュは徐々に縮んでいくと、すぐに元の形に戻った。
 後には剥き出しの地面。草一本も生えていない。

「え~!クルシュ、食べちゃったの!?」

『少しまて、ん~』

 かさっ、ばさばさばさ。

 クルシュの前にどこからともなく山盛りの薬草が出て来た。山盛り過ぎてクルシュが見えない。

『久しぶりすぎて危うく使い方を忘れるとこだった』

 そう言って更に毒消し草、その他にも種類毎にどんどんと山積みにしていく。

「凄い、スライムってこんな事が出来るんだね!」

『いや、スライムだからでは無いぞ。これは私の訓練の賜物だ。いずれ主人殿にも出来よう。もっとも先程の様に一度に収納するのはこの身体であってこそ、なのだがな』

「でも凄いよクルシュ!僕も頑張って練習するから後で教えてよ!」

 褒められて照れてるのか喜びの感情が伝わってくる。

『して、主人殿。あとどれくらい必要なのだ?』

「これだけあればもう十分だよ!ありがとう!」

『主の願いを叶えるのが従魔の勤め。役に立てて何よりだ』

「それじゃ、帰ろうか!」

『うむ!』

 ここまで無我夢中で走ってやって来たから、どうやって帰ろうかと考えていたんだけどクルシュにはここがどこら辺なのかわかるらしく森の外まで案内してもらった。

『私はこんななりだからな。人に見つからぬ様、余り森から出る事は無かったが、もう長い事ここにいるのだ。この辺りは庭みたいなものだ』

 歩いて五分もかからないで外へ出られた。でもまたスライムがわらわら出てこないかな?

『臆病者故、自分より強い者がいる場合、出て来る事はまず無いだろう。私がいる限り問題ない』

 スライムクルシュがいるからスライムが出てこないって、字面的にちょっとおかしいけど気にしない。クルシュが強いのは本当だもんね。
 クルシュが言った通り、森を出てからスライムは一匹も現れなかった。
 たわいもない会話を楽しみながら、そろそろ城門に到着するという丁度その時、

「主人殿!!何か不吉なものが近づいてくる!!私から絶対に離れるな!」

「えっ?えっ?」

 離れるも何も僕がクルシュを抱きかかえてるから問題ない。そして、クルシュから伝わってきたのは驚愕、動揺、そして強い警戒心だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。 彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。 ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた

平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。 それから幾千年。 現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。 そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。 ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。 だが彼自身はまだ知らない。 自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。 竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。 これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ 主人公はあまり戦ったりはしません。

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。 異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。 その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。 攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。 そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。 前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。 そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。 偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。 チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。

処理中です...