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17.優しいキス *
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連れられていった部屋は洋和室という、畳の部屋だがベッドが鎮座している洋風と和風の融合した外国人にも好かれそうなお洒落な部屋だった。さすがに畳なので靴は脱いであがる。女将が「どうぞ、ごゆっくり」と襖を閉めたのを見た颯に腕を掴まれた。
「ん?なに?」
「するぞ」
「え、もう?」
「腹ごしらえは済んでるし、夕飯まで時間がある」
先ほど、田舎道にあったレストランに寄った。満席で少し待ったが優次達の後ろにはさらに列が出来ていた。タイミングが良かったと喜んだ二人はレストランで、ピザとポテト、それから大皿のボンゴレを頼んだ。
シェアして食べようとこのメニューにして、腹八分目で満足したのが、この旅館に着く一時間ほど前の話。
お腹も落ち着いてきて、するのにはちょうどいいタイミングとも言える。空腹過ぎず、満腹すぎない。
夕飯はホテルのディナーを頂く。それまでの時間お風呂に入ったり、済ましておきたいことと言えば、性欲を満たすことだ。
「お風呂?上に乗るの、どっちにする?」
「先に上に乗ってもらおうか。準備は出来ている」
バッグから取りだしたゴムと使い捨てローション。ゴムは箱ごと持ってきた様で何回する気だと言いたくなるが、きっと何回もしたい気持ちの現れだ。
「こういう時、ベッドは楽でいいよね」
わざわざ布団を敷いてもらわなくてもいい。夕飯を食べたら帰るのは自分たちの仕事があるからなので、料金自体は一泊で支払っている。ベッドもお風呂も自由に使っていいのには理由があった。
優次が知ったら贅沢だと怒るかもしれないが、そこまでして求めてくれるのは嬉しいというのも事実だったりする。そんな贅沢なもてなしをしてまで、デートしたり、深く愛し合ったりしたことなどないのだから。
服を一枚、一枚と脱いでいき、下着一枚だけになって脱ぐのを躊躇った優次と違い、躊躇なく下着も脱ぎ捨てた颯はベッドに座った。肉棒が既に反応していて角度を付けていた。
「脱がしてやろうか?」
「自分で脱ぐよ。どっちにしろ恥ずかしいから」
見られることに慣れることが出来ない優次を颯は可愛いと賞賛する。面倒くさいではなく可愛いと言ってくれる、そして脱げないなら脱がしてやるのも楽しみだ、などと考えている少しスケベな恋人に優次は下着を脱いだ。
舐め回すように視線が突き刺さる。颯は優次のことなら何でも知りたかった。少し前に足の小指にほくろを発見したときも、キスしながら達したときに舌を甘噛みされたことも、全てが大事な思い出だ。
優次は居心地悪そうにベッドの上で座って待っている男の腰を跨ぐ。そして肩を持って、力を入れて押し倒した。
ゴムを装着できるぐらい硬くなってきたらゴムを優次が颯の分と自分の分に付けて、後ろを解すのが苦手な優次に変わり、颯の方にお尻を向けて後孔が見えやすい位置に移動してもらい、いつも通りゆっくり解して準備をする。
「もう、良さそうだ。それに俺も限界」
手持ち無沙汰だった優次の手が握っていた颯の性器。舐めたり、口に含み動いたり。吸い付かれたときは一回出してしまいそうになるぐらい気持ちよかった。
「入れてみるね」
体制を戻して颯の性器を自分の後孔に当てる優次。恐怖があったが、それ以上に颯のことを信頼しているから安心して飲み込むことが出来た。
「ゆっくりでいいぞ、ああ、きもちいい」
「ん、んはぁ。もうちょっと?」
「あと少し」
頑張れ、とは言わなかったが心で応援した。言わなかったのは嫌で止めたくなったときに本音が聞けないと思ったから。いつだって颯の一番は優次なのだ。自分の性欲より優次が大事。優次が本気で嫌がることはしたくない。
ペタ、ふさふさ。密着した肌の感触と陰毛に触れたことで、全部入ったことを理解する。
「奥まで入ってるね」
ぎゅん、きゅう、きゅっと中が歓喜して動くのを感じた。颯も受け入れられていることに感動して、決して軽くはないが鍛えている颯にとっては優次の重さなど軽いものだった。
ゆっくり出したり入れたりを繰り返して、優次はある一点を突いてもらい、少しずつ緩やかに絶頂に向かう。
優次はお腹に力を入れて、中を上手に収縮させると颯が低く唸り声のような喘ぎを漏らす。感じているのは自分だけではない。二人はタイミングを合わせて、優次が腰を落とすと同時に颯が下から突き上げた。
「あ、ああーー!!!」
「くっ、………っはあ、はあ」
二人は同時にゴムの中に精子を吐き出すと、優次の中から颯は性器を抜き去ると優次もベッドに倒れ込んだ。
優次はこんな風に緩やかで情熱的な行為をしたことはなかった。いつだって盛りのついた犬みたいな性急で一緒になんて言葉のないものだった。ただ入れる側が気持ちよければいい。そんな行為に愛などなかったと今なら言える。
「颯とこういうことすると愛されてる実感があるから好き」
「最初の頃より行為に積極的になってくれて嬉しい。前はどうせ痛いだけって感じだったもんな」
「それもあるけど、颯は俺のことを考えてくれるから」
「優次が一番に気持ちいいのが俺も気持ちいいから当たり前だろ」
「そんなこと言ってくれる人がいるなんてね。人生わからないものだなぁ。颯と付き合ってから昔の知り合いにあったら、綺麗になったねって言われたよ」
「俺の知ってる奴か?口説かれたのか?」
「違う、違う。女の人。今の彼氏によっぽど愛されてるんだわって言われて凄く誇らしかったよ」
照れ屋な颯はお世辞でなく褒められるとすぐ照れて顔を反らすが、優次はそれを許さず頬を両手で掴んでにっこり笑うと、そっと顔を近づけていき目を閉じる。
唇を合わせるだけの優しいキスをして二人で笑う。
「長いぞ。笑わせる気だったな」
「俺まで笑っちゃったけど。颯、そろそろ回復してる?」
「準備は出来てるが、優次は大丈夫か?」
「うん、平気。お風呂にも入りたいし、二回目がんばろ?」
「おう」
子供を作るための行為なのだろうが、男同士で子供が出来ないのだから仕方がない。それでも愛を求めることは出来るのだから、二人の行為は不毛だなんて言わせない。
愛情確認の最終形態がこの形になっただけのこと。
「ん?なに?」
「するぞ」
「え、もう?」
「腹ごしらえは済んでるし、夕飯まで時間がある」
先ほど、田舎道にあったレストランに寄った。満席で少し待ったが優次達の後ろにはさらに列が出来ていた。タイミングが良かったと喜んだ二人はレストランで、ピザとポテト、それから大皿のボンゴレを頼んだ。
シェアして食べようとこのメニューにして、腹八分目で満足したのが、この旅館に着く一時間ほど前の話。
お腹も落ち着いてきて、するのにはちょうどいいタイミングとも言える。空腹過ぎず、満腹すぎない。
夕飯はホテルのディナーを頂く。それまでの時間お風呂に入ったり、済ましておきたいことと言えば、性欲を満たすことだ。
「お風呂?上に乗るの、どっちにする?」
「先に上に乗ってもらおうか。準備は出来ている」
バッグから取りだしたゴムと使い捨てローション。ゴムは箱ごと持ってきた様で何回する気だと言いたくなるが、きっと何回もしたい気持ちの現れだ。
「こういう時、ベッドは楽でいいよね」
わざわざ布団を敷いてもらわなくてもいい。夕飯を食べたら帰るのは自分たちの仕事があるからなので、料金自体は一泊で支払っている。ベッドもお風呂も自由に使っていいのには理由があった。
優次が知ったら贅沢だと怒るかもしれないが、そこまでして求めてくれるのは嬉しいというのも事実だったりする。そんな贅沢なもてなしをしてまで、デートしたり、深く愛し合ったりしたことなどないのだから。
服を一枚、一枚と脱いでいき、下着一枚だけになって脱ぐのを躊躇った優次と違い、躊躇なく下着も脱ぎ捨てた颯はベッドに座った。肉棒が既に反応していて角度を付けていた。
「脱がしてやろうか?」
「自分で脱ぐよ。どっちにしろ恥ずかしいから」
見られることに慣れることが出来ない優次を颯は可愛いと賞賛する。面倒くさいではなく可愛いと言ってくれる、そして脱げないなら脱がしてやるのも楽しみだ、などと考えている少しスケベな恋人に優次は下着を脱いだ。
舐め回すように視線が突き刺さる。颯は優次のことなら何でも知りたかった。少し前に足の小指にほくろを発見したときも、キスしながら達したときに舌を甘噛みされたことも、全てが大事な思い出だ。
優次は居心地悪そうにベッドの上で座って待っている男の腰を跨ぐ。そして肩を持って、力を入れて押し倒した。
ゴムを装着できるぐらい硬くなってきたらゴムを優次が颯の分と自分の分に付けて、後ろを解すのが苦手な優次に変わり、颯の方にお尻を向けて後孔が見えやすい位置に移動してもらい、いつも通りゆっくり解して準備をする。
「もう、良さそうだ。それに俺も限界」
手持ち無沙汰だった優次の手が握っていた颯の性器。舐めたり、口に含み動いたり。吸い付かれたときは一回出してしまいそうになるぐらい気持ちよかった。
「入れてみるね」
体制を戻して颯の性器を自分の後孔に当てる優次。恐怖があったが、それ以上に颯のことを信頼しているから安心して飲み込むことが出来た。
「ゆっくりでいいぞ、ああ、きもちいい」
「ん、んはぁ。もうちょっと?」
「あと少し」
頑張れ、とは言わなかったが心で応援した。言わなかったのは嫌で止めたくなったときに本音が聞けないと思ったから。いつだって颯の一番は優次なのだ。自分の性欲より優次が大事。優次が本気で嫌がることはしたくない。
ペタ、ふさふさ。密着した肌の感触と陰毛に触れたことで、全部入ったことを理解する。
「奥まで入ってるね」
ぎゅん、きゅう、きゅっと中が歓喜して動くのを感じた。颯も受け入れられていることに感動して、決して軽くはないが鍛えている颯にとっては優次の重さなど軽いものだった。
ゆっくり出したり入れたりを繰り返して、優次はある一点を突いてもらい、少しずつ緩やかに絶頂に向かう。
優次はお腹に力を入れて、中を上手に収縮させると颯が低く唸り声のような喘ぎを漏らす。感じているのは自分だけではない。二人はタイミングを合わせて、優次が腰を落とすと同時に颯が下から突き上げた。
「あ、ああーー!!!」
「くっ、………っはあ、はあ」
二人は同時にゴムの中に精子を吐き出すと、優次の中から颯は性器を抜き去ると優次もベッドに倒れ込んだ。
優次はこんな風に緩やかで情熱的な行為をしたことはなかった。いつだって盛りのついた犬みたいな性急で一緒になんて言葉のないものだった。ただ入れる側が気持ちよければいい。そんな行為に愛などなかったと今なら言える。
「颯とこういうことすると愛されてる実感があるから好き」
「最初の頃より行為に積極的になってくれて嬉しい。前はどうせ痛いだけって感じだったもんな」
「それもあるけど、颯は俺のことを考えてくれるから」
「優次が一番に気持ちいいのが俺も気持ちいいから当たり前だろ」
「そんなこと言ってくれる人がいるなんてね。人生わからないものだなぁ。颯と付き合ってから昔の知り合いにあったら、綺麗になったねって言われたよ」
「俺の知ってる奴か?口説かれたのか?」
「違う、違う。女の人。今の彼氏によっぽど愛されてるんだわって言われて凄く誇らしかったよ」
照れ屋な颯はお世辞でなく褒められるとすぐ照れて顔を反らすが、優次はそれを許さず頬を両手で掴んでにっこり笑うと、そっと顔を近づけていき目を閉じる。
唇を合わせるだけの優しいキスをして二人で笑う。
「長いぞ。笑わせる気だったな」
「俺まで笑っちゃったけど。颯、そろそろ回復してる?」
「準備は出来てるが、優次は大丈夫か?」
「うん、平気。お風呂にも入りたいし、二回目がんばろ?」
「おう」
子供を作るための行為なのだろうが、男同士で子供が出来ないのだから仕方がない。それでも愛を求めることは出来るのだから、二人の行為は不毛だなんて言わせない。
愛情確認の最終形態がこの形になっただけのこと。
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