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18.露天風呂は甘くない。 *

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 お風呂に入るために浴衣を持って全裸でそのまま部屋の露天風呂へと向かった。どうせ誰も見てやしない。二人だけの空間なのだ。自由にしてていい。

「うわ~。綺麗だね」
「星空すごいな。これはじいちゃんが自慢するわけだ」
「おじいさんもよく見つけたよね」
「天体観測が趣味だったみたいだから結構詳しかったからな。その時に見つけてここにホテルを建てようって選んだのかも」
「センスのあるおじいさんだね。仲良かったの?」
「良かったと思う。ゲイなのも薄々感じてたらしい」

 颯の祖父は忙しい父に代わって学校行事に参加していた。優次も顔見知り程度ではある。中学の時に会ったことがあるからだ。颯はそういうこともあってか、どちらかというとお祖父ちゃん子である。

 ゲイだとバレたのも優次に告白されて逃げられた後、家に帰って祖父を見て泣いてしまい事情を聞かれて戸惑いながら話したら、「好きだったんじゃないのか」と聞かれてもやもやした気持ちに恋と名前を付けてくれた。

「跡継ぎ問題は養子をもらう事も出来ると、父さんに助言したり、お見合いはまだ早いって言ってくれたり、色々庇ってくれたから」
「優しい人だったんだね。俺の記憶が正しければ、顔も颯と似てたよね。男らしい顔立ちだったもん」
「それはよく言われる。じいちゃん似だって」

 二人は掛け流しの露天風呂から湯をくむと、かけ湯をして、交代で背中を洗ってもらう間に頭を洗い、全身流すと風呂の中に入った。少し熱めのお湯が身体に染みる。

「颯さん」
「言うな」

 二人で顔を合わせて、首を横に振る。

「無理だね、こりゃあ」
「無理だな。絶対逆上せる」

 露天風呂でのえっち、を目標で来たが、思った以上に熱い。たぶん露天だから寒くならないように熱くしてあるのだろう。そこまで計算に入れてなかった颯はがっかりしながら息を吐く。

「入れるだけ入れてみない?記念に」
「入れたら収まらなくなる」
「部屋の中で続きしたらいいじゃん」
「いいのか?」
「颯のそれが収まらなかったらいいよ」

 指で示された先には既に硬さを保つ性器が露わになっていた。優次の中は解れているからすぐに飲み込むのも容易い。大理石の縁に手をついて、お尻を高く上げた優次の中に入る。

「んんっ。初めてゴムしてないよ」
「優次がいいって言ったから。それに浮気してないから安心だろ」
「あっ、とろって今少し出た!」
「ぎゅうぎゅう締め付けるからだろ!少し動くぞ」
「ん、あ、どうぞ。あぅん!」

 腰を動かしていつもより何故か二人とも感じすぎて、颯は締まる優次の柔らかい中に包まれて揉まれる事で、数回の腰を振っただけで、優次が精を放つことで搾り取られる動きに我慢出来ず抜くことができず、中に放ってしまう。

「あっ、すごい…中に、颯のが…」

 最後まで搾り取るようにうごめく中は締まっており、抜くことが叶わない。全ての精子を搾り取られてやっと解放された颯はゆっくり抜く。

「あつい…優次、大丈夫か?」
「俺も暑いよ。でもできたね」

 風呂からあげり、大理石に寝転ぶ。火照った身体を床で冷やせば次第に落ち着いてきて息も整う。颯の方が先に回復して、優次を抱き起こして後孔の中に指を入れて、吐精した物を掻き出した。

「もっと奥だよ。それじゃあ、全然届いてない」
「悪い。シャワーの所まで行けるか?」

 露天風呂には景観を損ねない様に大理石の色に合わせたシックなシャワーが二つ付いていた。優次は多少ふらふらする身体を、颯に支えてもらってシャワーの所まで行くと壁に手を付いて尻を突き出す。

「えろいな」
「ばか!それより、出して」
「違う意味に聞こえる」
「もう!バカなこと言ってないで早く」
「変換を変えると全部エロく聞こえるぞ」

 颯は指で広げた中にシャワのお湯を入れて精子を掻き出す。もう一回くらいしたい。が、優次の様子を見ていると無理そうだ。身体は火照っているし、無理をさせたいわけじゃない。

「帰り、車を人がいないところで停めてくれる?」
「なんでだ?」
「今すぐはできないけど、あと一回くらいなら出来そうだから、車の中でしよう」

 優次には颯がしたいと思っているのがわかっていた。だけど今は応えられない。夕飯を食べて落ち着いた頃ならゴムをしての行為になるが出来る自信があった。颯の車は後部座席も広いのでシートを倒せば高さには気をつけなければいけないが、後ろ向きでできる。

「カーセッ……」

 言葉は消えるようになってしまった颯は優次の気遣いに感謝した。したいのは本音だし、それに気付いてくれていたのが嬉しかった。車でするのは二人とも初めての経験なので上手くはできないだろうが、それも思い出になる。

 二人は風呂から上がり、浴衣に着替えて髪を乾かすと夕飯の時間までゆっくり過ごした。

 豪華な夕飯で颯が選んだのは和食のコース。イタリアン、フレンチ、トルコ料理などいくつかの国の料理が選べるが、断然和食が人気だ。和食のコースには蟹の身が解されて出てきて食べやすい。

 刺身、しゃぶしゃぶ、鯛めしとフルコースで堪能できて満足した二人は、最後にホテル自慢の緑茶を味わった。

「このお茶、凄い濃厚で美味しい」
「じいちゃんがこだわったやつだ。土産物にあるから買って帰ろう」

 浴衣から持ってきていた着替えを着ると、土産物店で自分たちや周りへの緑茶や菓子折を買うと車に乗って帰る。

 安全運転で颯が出発するとすぐに眠気がきてうとうとしてしまう優次に「寝ていいぞ」と甘やかしてくれる。悪いからと思って起きていたいのに我慢出来ず寝息を立ててしまう優次を颯は「おやすみ」と信号が止まったときに、頬にそっとキスをした。

 颯も眠たくなってきて、道の駅で止まった時に優次が目を覚ましたのでトイレ行ったり、コーヒーを買う。ブラックコーヒーで迷っていると、優次が「このコーヒーが颯の会社のマシンに近いよ」とフルーティーで苦めだと教えてくれる。

 コーヒーは効果があり、眠気も飛んで、優次が「あそこの空き地に停めてしよ」と誘ってきたのであっさり誘惑に負けて車を停めて後部座席を倒して準備をして唇にしゃぶりつく。

 日帰りではあったが充実したデートが出来たと、二人は腰を振りながら満足そうに三回目の行為に車が揺れていた。




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