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「メリーゴーランドに乗ろう」
「えっ!?」
岬は唖然とした。
「きっと、雨も当たらずに済むよ」
「確かに!、考えつかなかったよ」
2人は、また雨に打たれながら、光の方へ進む。誰も乗っていない。みんなパレードの方に流れたからだろう。いま8割の人々がメインストリート付近の屋根の何処かにじっと雨が止むのを待っている。この雨はちっとも止まなさそうだが…………。
2人はメリーゴーランドの入り口に立ち、濡れに濡れた体を気にしつつ入った。光が眩しい、昼間のようだ。愛菜の瞳孔は忙しなく閉じた。
「どの馬に乗ろう」
愛菜は「ピンクの可愛いの、」と言い、岬にこの席をとられるまいと、すかさず座った。冷たい鞍の上で、ぐっしょりとズボンが吸い付く。少し不快感を感じる。シチュエーションにゆられてそれがやがて快感になる。
「雨止まないね」
メリーゴーランドの音がうるさくて聞き取りづらかったが、騒音越しに聞こえた。
私たち2人は今回っている。
「みんなもここに来ればいいのにね」
愛菜は返した。
岬も聴き取れているようだった。
何だろう、この絵は見たことあるな。あぁ、映画か。ずっと前、美嘉と行った(連れて行かれた、又は行かされた)んだ。『君とメリーゴーランド』、なんて名前だ。正直、愛菜はそのタイトルを聞いて見る気をなくしていたのだが。ジュースを奢られるかわりに行ってあげた。
面白くなかった……。
が、しかし。
画の中にいざ入ってみると「面白い、面白くない」ではなかった。
木馬よ回れ。止まらず、回れ。
「楽しいな、久しぶりに乗ったわ」
岬は言った。頬の雨だれは、ピカピカと光っている。
「そーなの?、私は、結構」
「子供だな、愛菜は」
「ちょっと、それ関係ある!?」
岬が「アハハッ」と笑う。口角が上がると雫は皮膚のうねりを滑り落ちる。雫はピカピカと光っている。
心拍数は最高に達している。ぁあ。
岬と出会って私は、私でも驚くほど変わった。
こんな気持ちになることも、岬がいなければなかった。
あの日出会っていなければ、今の、この素敵な時間を過ごせていないんだと思ったら、怖くなる。
気持ちを、伝えたい。
「・・・岬」
『君とメリーゴーランド』。恋愛映画としては、ありきたりな映画だった。けれど、今からその"ありきたり"をしてみようと思う。
「何?どしたの」
苦しくて胸が潰れそうだ………。でもここで言わなきゃ、もう一生言えないと思う。
「あのね、」
もう、バレバレだと思うけど…………あの日出会った時から、私は、岬が………
「好き、です」
言った、言ってしまった…………!
愛菜は我に帰ったような気持ちになった。
「いや、ごめん、嘘嘘!」
「・・・嘘なの?」
嘘じゃない!!!、けど、
「僕は好きだ」
……………………えぇ?
「嘘だ、嘘に決まってるよ!」
「嘘をついていいのはエイプリルフールだけだろう?」
愛菜は混乱した。人はいきなり幸運が転がってくるとパニックになるみたいだ。
「確かに、僕らの過ごした時間はとても短い。お互いのこともよく知らない。だけど、恋って、そんなんじゃないと思うんだ・・・」
「うん・・・」
やはり、私たちは"運命"だった。
その言葉は、この世界で一番信用にならないものだった。口にするだけで恥ずかしくなる言葉だけど……。
何も言わずに2人は木馬の上で抱き合った。
濡れた服同士がぐしゃっと触れ合う。
すごく冷たくて、少し恥ずかしい。
でも今夜はそれも厭わない。
幸せだ。
しかし、幸せは長くは続かなかった。それは後々知っていく事だ。
「えっ!?」
岬は唖然とした。
「きっと、雨も当たらずに済むよ」
「確かに!、考えつかなかったよ」
2人は、また雨に打たれながら、光の方へ進む。誰も乗っていない。みんなパレードの方に流れたからだろう。いま8割の人々がメインストリート付近の屋根の何処かにじっと雨が止むのを待っている。この雨はちっとも止まなさそうだが…………。
2人はメリーゴーランドの入り口に立ち、濡れに濡れた体を気にしつつ入った。光が眩しい、昼間のようだ。愛菜の瞳孔は忙しなく閉じた。
「どの馬に乗ろう」
愛菜は「ピンクの可愛いの、」と言い、岬にこの席をとられるまいと、すかさず座った。冷たい鞍の上で、ぐっしょりとズボンが吸い付く。少し不快感を感じる。シチュエーションにゆられてそれがやがて快感になる。
「雨止まないね」
メリーゴーランドの音がうるさくて聞き取りづらかったが、騒音越しに聞こえた。
私たち2人は今回っている。
「みんなもここに来ればいいのにね」
愛菜は返した。
岬も聴き取れているようだった。
何だろう、この絵は見たことあるな。あぁ、映画か。ずっと前、美嘉と行った(連れて行かれた、又は行かされた)んだ。『君とメリーゴーランド』、なんて名前だ。正直、愛菜はそのタイトルを聞いて見る気をなくしていたのだが。ジュースを奢られるかわりに行ってあげた。
面白くなかった……。
が、しかし。
画の中にいざ入ってみると「面白い、面白くない」ではなかった。
木馬よ回れ。止まらず、回れ。
「楽しいな、久しぶりに乗ったわ」
岬は言った。頬の雨だれは、ピカピカと光っている。
「そーなの?、私は、結構」
「子供だな、愛菜は」
「ちょっと、それ関係ある!?」
岬が「アハハッ」と笑う。口角が上がると雫は皮膚のうねりを滑り落ちる。雫はピカピカと光っている。
心拍数は最高に達している。ぁあ。
岬と出会って私は、私でも驚くほど変わった。
こんな気持ちになることも、岬がいなければなかった。
あの日出会っていなければ、今の、この素敵な時間を過ごせていないんだと思ったら、怖くなる。
気持ちを、伝えたい。
「・・・岬」
『君とメリーゴーランド』。恋愛映画としては、ありきたりな映画だった。けれど、今からその"ありきたり"をしてみようと思う。
「何?どしたの」
苦しくて胸が潰れそうだ………。でもここで言わなきゃ、もう一生言えないと思う。
「あのね、」
もう、バレバレだと思うけど…………あの日出会った時から、私は、岬が………
「好き、です」
言った、言ってしまった…………!
愛菜は我に帰ったような気持ちになった。
「いや、ごめん、嘘嘘!」
「・・・嘘なの?」
嘘じゃない!!!、けど、
「僕は好きだ」
……………………えぇ?
「嘘だ、嘘に決まってるよ!」
「嘘をついていいのはエイプリルフールだけだろう?」
愛菜は混乱した。人はいきなり幸運が転がってくるとパニックになるみたいだ。
「確かに、僕らの過ごした時間はとても短い。お互いのこともよく知らない。だけど、恋って、そんなんじゃないと思うんだ・・・」
「うん・・・」
やはり、私たちは"運命"だった。
その言葉は、この世界で一番信用にならないものだった。口にするだけで恥ずかしくなる言葉だけど……。
何も言わずに2人は木馬の上で抱き合った。
濡れた服同士がぐしゃっと触れ合う。
すごく冷たくて、少し恥ずかしい。
でも今夜はそれも厭わない。
幸せだ。
しかし、幸せは長くは続かなかった。それは後々知っていく事だ。
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