見えない君と恋をする。

きーち

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時間は過ぎ行き、陽が落ちる3分前。十分すぎるほどに昼を過ごした2人は、顔を合わせた。
「そろそろ、帰るわ」
「そうだね、駅まで見送るよ」   
少し散らかったままの部屋を出た。
階段を降りる音に母は気付いて、とぎかけの米を残し、玄関へ向かった。この目で、確認しなければならない。母は、やはり何かおかしいと感じていた。長くこの家に住んでいるための直感であるが、気配を感じない。そして何よりも、"らしき靴"が見当たらないことだ。やはりこの目で確認しなければ。
母は、玄関への戸に手をかけた。
もし………本当に私の勘が当たっていたなら。薄い扉を隔てたその先には、愛菜しか現れないということ。実に楽しそうな、その会話は、一人で繰り広げているものだということ。現実に受け入れがたい状況だ。こんな、異常な想像をするのはおかしいかもしれない。しかし、これは今に感じていたことでもない。前々から、楽しげな愛菜を察した私は「彼氏でもできたのかしら」と聞いてみたことがある。とても濁されたが、あれはおそらく、「=Yes」と捉えてもいいだろう。「同じ高校の?」と聞くと、愛菜は首を横に振った。「じゃあ誰なの」と続けて聞いたがそれ以上は答えなかった。隠す必要があるのだろうかと不思議に思ったが、年頃の、この時期の女の子はこんなものだろうなと不思議をそこで完結させた。
扉からあと一歩が踏み出せなかった。愛菜はとっくに家を出てしまった。隣に、彼はいたのだろうか。「お邪魔しました」くらいの声は聞けるかと耳を立てていたが、聞こえなかった。愛菜が帰ったら、聞いてみよう………………。


「またきてね」
「うん、また来るよ」
「次は岬の家にもお邪魔したいな!」
「それは………」
あ、行けない事情でもあるのかな。家庭の事情かな。
「あ、いいよいいよ!何か訳があるんだよね」
岬もまた悲しそうな顔をしている、ように見えるが………何も言わない。
そして、
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