シャム猫

大器晩成らしい

文字の大きさ
207 / 514

114

しおりを挟む
「食堂で、消化の良いのを用意して貰ったから、食べたら薬飲もうね。起きれそう?」

「座るのはなんとか・・」

「そう」

ジョエルは立ち上がると、サイドテーブルのオルゴールを端に寄せて、持ってきたトレーと、水のペットボトルをその横に置いた。

そして、俺が、上半身を起こそうとしているのを見て、背中と膝の裏に腕を差し入れ、軽く抱き上げると、ヘッドボードに寄りかかれる位置に、そっと下ろしてくれた。

疾風も森羅もジョエルも、力持ち過ぎない?

軽々と俺を持ち上げるけど、俺にはできそうにない。

「ジョエル、凄いね。ありがと」

「ん?湖箔は軽いからね」

「最低でも50kgはあると思うけど。ねぇどこまで、できる?森羅とかいける?」

「いや、無理だな(そもそも、湖箔以外、抱き上げたくない)はい、小さいテーブル、なくてごめんね」

そう言いながら、俺の太ももの上にトレーを置いたけど、持ってる人の方が、圧倒的に少ないと思う。

「フフッ、普通は、持ってないよ。ありがと、頂きます」

熱で、あまり手に力が入らなかったけど、スプーンがあったから、どうにか自分で、食べられた。

飲みやすいように、シートから薬を取り出して、手の上においてくれ、ペットボトルのキャップも外してから渡してから、手を添えて、飲むのも手伝ってくれ、至れり尽くせり。

食事の最中も、食べさせてあげようかって訊かれて、あまり、手間かけさせたら悪いから、大丈夫って言ったら、疲れたら、何時でも言って、食べさせてあげるからって、頭を撫でられた。

すっごく、甘やかされている・・・

誰にでも、してあげるのかな?

撫でられた感覚で、いつの間にか、ウィッグが外されている事に気づいた。

「寝かせる時に、外しておいた。その方がリラックスできるでしょ?洗面台に置いてあるよ。それと、コンタクトの洗浄セットを持ってきて貰ってるから、薬飲んだら、外しおいた方がいい。さすがに、勝手に外すのは、恐くて出来なかった。洗面台の所に連れてって、支えるあげるから、外すのは自分でして貰っていいかな?洗うのとかはやってあげるから」

「うん、お願いしていい?」

「もちろん。風呂はどうする?軽くなら、シャワーを浴びて、汗を流すのもいい。手伝ってあげるよ。それとも、お湯に浸けて絞ったタオルで、清拭してあげようか?どっちでもいいよ。遠慮しないで言って」

確かに、汗かいてペタペタしてて、気持ち悪いかも。

頭も汗かいてるから、拭くだけじゃあなぁ・・・

「(どっちかって言えば、軽くシャワーくらい浴びたいかな・・)ボソッ」

「じゃあ、準備してくるね」

小声で呟いただけだったのに、ばっちり聞こえちゃったみたいで、考え中って言う前に、空のトレーを持ち、いそいそと部屋から出て行ってしまった。


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【本編完結済】神子は二度、姿を現す

江多之折
BL
【本編は完結していますが、外伝執筆が楽しいので当面の間は連載中にします※不定期掲載】 ファンタジー世界で成人し、就職しに王城を訪れたところ異世界に転移した少年が転移先の世界で神子となり、壮絶な日々の末、自ら命を絶った前世を思い出した主人公。 死んでも戻りたかった元の世界には戻ることなく異世界で生まれ変わっていた事に絶望したが 神子が亡くなった後に取り残された王子の苦しみを知り、向き合う事を決めた。 戻れなかった事を恨み、死んだことを後悔し、傷付いた王子を助けたいと願う少年の葛藤。 王子様×元神子が転生した侍従の過去の苦しみに向き合い、悩みながら乗り越えるための物語。 ※小説家になろうに掲載していた作品を改修して投稿しています。 描写はキスまでの全年齢BL

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

《完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ

MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。 「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。 揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。 不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。 すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。 切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。 毎日更新

処理中です...