シャム猫

大器晩成らしい

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喉、からから。

お風呂から出て、ソファーやベッドの上から、バラバラに脱ぎ捨てられていた服をかき集めて着たり、ウィッグを付け直したり、身支度を整えた。

「喉、渇いただろ?スポーツドリンク、水、お茶、何飲みたい?」

冷蔵庫を開けながら訊いて来たから、近寄って行って、後ろから中を覗いた。

「飲み物いっぱいだね」

「いつもは酒と水、後はおつまみぐらいしか入れてないけどね」

えっ、じゃあこれって、俺の為?

乳酸菌飲料まである。

「で?どれにする?」

う~ん、あっ、桃のジュース。

「それ飲みたい」

「これ?はい」

「ありがと」

「ふっ、どう致しまして、口でいいよ」

そういう時、頬でいいよって言わない?

普通。

フフッ、まぁいいか。

チュッ

自分で言った癖に、口にキスしたら、ちょっと驚いて、動きを止めたけど、

「もっと」

って言って、腰を引き寄せ、チュチュチュッてされた。

唇、首筋、鎖骨とどんどん下がって行ったから、

「ストップ、ストップ、そこまで」

慌てて、ジュースを持っていない方の手を、ジョエルの胸に当て、ぐい~って押しながら、距離を取った。

「残念」

笑いながら、止め、腰から手を放してくれた。

「もうっ」



コンコン

ソファーに深く腰かけ、寄り添い、カワウソのぬいぐるみをモミモミしながら、マッタリしていたら、扉をノックする音が聞こえた。

誰かきた?

ジョエルと顔を見合わせ、そっと、ジョエルは玄関へ、俺は寝室の方へと移動した。


コンコン

「はい、どちら様?」

「美和です」

えっ、大輝?

見舞い、じゃ、ないよね?

もう大丈夫って、メールしたし。

扉に耳を付けて、盗み聞き。


カチャ

「どうしました?」

「湖箔は、まだここにいますか?」

「?何故です?」

「もう大丈夫とのメールがあったのですが、部屋に行ってもいないし、電話しても出ないので、心配で・・・」

ん?

電話?

ポケットからスマホを取り出し、画面を開いて見る。

・・・あっ、本当だ。

あ~、ちょうどシャワーを浴びてる時だ。

あと、服を着てる時、か?

鳴ってるのに、全然、気付かなかった。


「クスッ、過保護ですね」

「・・・それで?」

「いますよ。隣で荷物を纏めてます。教科書とか、だいぶ広げていたので、忘れ物がないか確認とかしてるんじゃないかと・・・」

荷物は、とっくに片付いてる。

喉を潤した後、マッタリする前に纏めておいたから、帰ろうと思えば、今すぐにでも帰れる。

もうちょっと、一緒に居たかったけど・・・

大輝が来たんじゃ、無理そうかな。




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