シャム猫

大器晩成らしい

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部屋に戻り、鞄に、1日分の服とお菓子を詰めた。

ジョエルが服は用意したと言っていたけど、予備として置いておこうかと思って。

「スマホは持った、財布もOK、鍵に・・・忘れ物なし。電話もしたし、行くか」

鞄を手に持ち、さぁ出かけようと、靴を履こうとしたら、ノックの音が。

誰だろ。

「湖箔いるか?」

紫艶だ。

鞄を持ってるのを見られるのは、不味いかも。

そっと玄関から離れ、クローゼットの中へ。

「いるよ~。ちょっと待って~」

ポケットの中の財布や鍵も、念の為テーブルの上に。

カチャッ

「ごめん、お待たせ。どうした?」

「解からないのがあったから、教えてもらおうかと思って」

「いいよ、入って。ちょっとメールしていい?先、座ってて」

「OK」

ジョエルに《少し遅れる。また連絡する》って内容のメールを送った。

階段で、待たせたままになるから。


「何か飲む?」

「いや、いい。これ、解かんねぇんだけど・・・」

「ああ、これね。カードは持って来た?」

「もちろん。はいよ」

「はい、確かに。うちのクラスも、同じプリント渡されてさ、昨日やったんだよね」

鞄の中から、プリントを取り出し、見せながら、解き方を教えていった。

「なるほどね」

「他は大丈夫?」

「たぶんね」

「答え合わせとく?」

「そうだな」

二人のプリントを照らし合わせ、

「うん、二人して間違ってなければ、大丈夫かな」

「良かった」

「じゃあ、判を押すね。1つ2つ、はい」

「サンキュー」

カードにウサギの判を押し、返却。

紫艶は、プリントとカードをひらひらしながら〝また解からないのがあったらよろしくな〟って言って、帰っていった。


部屋を出る前で良かった。


クローゼットから鞄を取り出し、テーブルの上の財布と鍵をポケットに。

再び荷物を手に、ジョエルに電話をかけた。

トゥルルル

「はい」

1コールで繋がった。

それだけで何か、嬉しく感じる。

連絡を、待っててくれたんだなって・・・


「今から行くね」




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