何で僕を?

大器晩成らしい

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「そろそろどいて、私にも見させろ・・・・・・こっれは、凄いな。これ程までに美しい人は見た事がない」

聞いていた年齢にしては、随分と小さくて細い。

「軽いな・・・」

そっと掬い上げると、つい口を衝いて出た。

「何をなさっておいでです?王太子。お渡し下さい。私がお連れします」

「いやっ、私が運ぶ」

魔術師長の眉間が寄って、縦皺ができた。

「その方は、貴方様のモノには、ならないのですよ?」

「何故そう思う?まだ、判らないではないか」

「いいえ、ほぼ間違いはないでしょう。それに、万が一違っても、本人の意思というものがあります」

「私に惚れさせれば、文句はないだろう?(この者だったら、あいつが固執するのも解る。だが、これ程までとは思ってもみなかった。渡すのは惜しい・・・)」

「文句ではなく、問題があります。確認したら、さっさとあの方に知らせて、引き渡すべきです」

「嫌だ。まだ、いいではないか?」

「嫌だではありません。お渡し下さい。離せなくなったら困ります」

「・・・・・・そっ、そんな事はない(するどい!でも、もう遅い。この者を離したくない。私のモノにしたい)」

「その間は何です?この国は大事ではありませんか?」

「大事に決まってる・・・」

「あの方は、何の関係もなかったのに、私達の一方的なお願いを、既に叶えてくれているのです。こちらも、希望する報酬を払わなければなりません。お解かりですよね?」

「解っている。そんな事くらい」

「そうですか?それなら宜しいのですが」

コンコン

「失礼します。お部屋の準備が整いましたので、お連れ致します」

「私が連れて行くから、部屋まで案内しろ」

「いやっ、でも、しかし・・・」

魔術師長の眉間の皺が、さらに増したようだ。

「・・・ハァ、いいでしょう。但し、王太子。その方をベッドの上に下ろしたら直ぐに、部屋をお出になって、政務に向かって下さいね。宜しいですね」

「目が覚めるまで「駄目です。今すぐ政務に励んで頂いても宜しいのですよ」」

「クッ、仕方ない。ただ、目が覚めたら呼んでくれよ」

「それまでに、お仕事、終わっていると良いですね♪」

「急いで終わらす」

「そうですか?間に合うと良いですね。では、参りましょう。案内して下さい」

「はい、畏まりました」
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