何で僕を?

大器晩成らしい

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「こちらの部屋になります」

案内された部屋は、外国の要人が来た時に使用される部屋で、広く重厚感のある造りだ。

案内の者の後に続いて、部屋に入り、応接間を素通りし、続きの寝室へと運び込んだ。

「こちらに、寝かせてください」

毛布を捲りながら、寝かせるように言われたが、部屋付きの侍従が、靴を履いたままなのに気付き、待ったをかけた。

「あっ、靴を脱がせますので、恐れ入りますが、抱き上げたままでお願いします」

「ああ、ゆっくりでもいいぞ(よくよく考えたら、抱き上げる事が出来るのも、今の内だけかもしれないからな)」

「何を仰られているのです?ベッドへ寝かせたら、とっとと政務へ向かう約束ですよね?この方が目覚めても、仕事が終わっていないようなら、会わせてあげませんよ?」

「大丈夫だ。元々、仕事はそんなに溜めていない。少し位いいだろう?」

「お話中失礼します。靴は脱がせ終わりましたが、上着を着たままですと、寝苦しいでしょうから、ベッドへ寝かせる前に、脱がせたいのですが、協力してもらってもよろしいでしょうか?」

「もちろんだ♪」

「ハァ(仕方の無い方ですね・・・)」

上着のボタンを外し、ついでにネクタイも外す。

袖から片腕を引き出し、横抱きから縦抱きに抱きなおして貰うと、上着を脱がせながら、もう片方の腕も袖から引き抜いた。



王太子に手伝って貰うのは、如何なものかとも思ったが、表情を見るからに、離れ難そうにしていたので、お願いする事にした。

魔術師長の縦皺が気になったが、見なかった事に・・・

上着を脱がせ易いよう、王太子に抱きなおしてもらったのだが、密着度が増して、嬉しそうだった。

いい仕事をしたと思う。(by 侍従)



「もういいですね?ベッドの上に寝かして下さい」

「ムゥ・・・分かった」

そっと、横たえると、捲くっていた毛布を上にかけ、名残惜しそうにしながらも、約束どおり部屋を出ていかれた。

どうやら、凄い速さで走って行かれてるようだ。

「お待ち下さい。お一人で行かれないで下さい」

護衛騎士の呼び止める声と、急いで追って行く足音が、どんどん小さくなって行った。


「やれやれ、やっと離れてくれましたね。(一目惚れですかね。解らなくもないのですが、困りましたね)では、そうですね・・・私とプレナイト以外は、仮眠室で、ゆっくりと体を休めておきなさい。後、そこの貴方、この部屋付きの侍従ですか?」

「はいっ、ラピス・シ・ディープブルと申します」

「私とプレナイトは隣の応接室で待機します。貴方は此処で、この方の世話を頼みます。目覚められたら、もしくは、何か異変があったら、直ぐに教えてください」

「かしこまりました」
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