何で僕を?

大器晩成らしい

文字の大きさ
58 / 358

57

しおりを挟む
「何で、召喚を行う事を、知らされなかったんだろうね?」

召喚に失敗したら、俺が暴れると思い、成功してから呼んだ方がいいと判断したから、とは言い辛い。

間違ってはいないが、納得はできない。

「どうしてだろうね?召喚されて来たら、真っ先に逢って、安心させてあげたかったのに、ごめんね。すぐに逢いに来れなくて、不安だったでしょ」

「不安だったけど、しょうがないよ。月夜は知らなかったのだから。それよりも、さっきから謝ってばっかり、そんな申し訳なさそうな顔ばっかしてないで、笑ってよ」

くぅ~。

葵ちゃん、マジ天使。

やっぱり、他の奴等には会わせたくないな~。

見せなくても良くない?

悪影響にしかならない、ゴミもいるし。

もう、ぎゅ~してちゅうしちゃおう。

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ

「んっ・・んっ・・ふっんっ・ちょっ・ストップ、ストップ」

「え~」

「話しっ、話しして!」

「ん~、しょうがないなぁ・・俺は、勇者としてこの世界に召喚されたんだ。どんどん魔物が強くなっていって、レベルに限界のある、この世界の人達では、倒せなくなってしまうから。召喚されてきた人にはその限界がない。どんどん強くなれて、魔物にも対抗できる力をもてる、だから呼ばれた。ここに来て、まずは、この世界の事、常識を教わった。闘い方も学び、徐々に力をつけ、今では、この国の兵力では倒せない魔物を、一人で倒せるほどになった。葵ちゃんは違うよ。闘わせるつもりなんかない。召喚させる時に、そう約束をさせている。闘う事を強要するなって。同じ様に、力を貰っているとは思うけど、そんな事をさせる為に呼んでもらった訳じゃないからね。俺一人だけで充分だから」

「でも、同じように、闘えるんでしょ?すぐには無理でも、段階を踏んでレベルをあげれば、月夜の手助けくらいは、できるようになるよね」

「俺は葵ちゃんに、危ない事なんかして欲しくない。ただ傍にいて欲しいだけなんだ。癒して欲しいだけなんだ」

「月夜・・・僕は嫌だよ。月夜を、一人だけで闘わせるなんて。安全な所で、月夜が無事に戻ってくるのを、心配しながら待っているだけなんて。そんなの・・辛すぎるよ。考えただけで胃が痛くなる」

眉根を寄せて、本当に辛そうにそんな事を言う。

闘わせたくない。

でも、ここまで言ってくれるのは、正直、嬉しい。

葵ちゃんが強くなるのはいい。

自分の身を守る為。

俺が傍にいない時、何かあっても、傷つけられないように。

でも、積極的に、討伐に参加させたい訳じゃない。

刀で切りつければ、血が飛び散り、内臓も飛び出る。

ゲームのように、ドロップ品を残して、跡形もなく消えるわけでもない。

そんなのに、なれて欲しくはない。

俺の我侭で呼び寄せたのだから、日本にいたら、経験する事なんてない、魔物とはいえ、生物を殺すという行為を、感覚を、葵ちゃんには味あわせたくない。

そう思ってはいけないのだろうか・・・



しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ
BL
 神の家でステンドグラスを作っていた俺は地上に落とされた。俺の出来る事は硝子細工だけなのに。  硝子じゃお腹も膨れない!硝子じゃ魔物は倒せない!どうする、俺?!  設定はふんわりしております。 少し痛々しい。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

僕、天使に転生したようです!

神代天音
BL
 トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。  天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。

処理中です...