何で僕を?

大器晩成らしい

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「何で、召喚を行う事を、知らされなかったんだろうね?」

召喚に失敗したら、俺が暴れると思い、成功してから呼んだ方がいいと判断したから、とは言い辛い。

間違ってはいないが、納得はできない。

「どうしてだろうね?召喚されて来たら、真っ先に逢って、安心させてあげたかったのに、ごめんね。すぐに逢いに来れなくて、不安だったでしょ」

「不安だったけど、しょうがないよ。月夜は知らなかったのだから。それよりも、さっきから謝ってばっかり、そんな申し訳なさそうな顔ばっかしてないで、笑ってよ」

くぅ~。

葵ちゃん、マジ天使。

やっぱり、他の奴等には会わせたくないな~。

見せなくても良くない?

悪影響にしかならない、ゴミもいるし。

もう、ぎゅ~してちゅうしちゃおう。

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ

「んっ・・んっ・・ふっんっ・ちょっ・ストップ、ストップ」

「え~」

「話しっ、話しして!」

「ん~、しょうがないなぁ・・俺は、勇者としてこの世界に召喚されたんだ。どんどん魔物が強くなっていって、レベルに限界のある、この世界の人達では、倒せなくなってしまうから。召喚されてきた人にはその限界がない。どんどん強くなれて、魔物にも対抗できる力をもてる、だから呼ばれた。ここに来て、まずは、この世界の事、常識を教わった。闘い方も学び、徐々に力をつけ、今では、この国の兵力では倒せない魔物を、一人で倒せるほどになった。葵ちゃんは違うよ。闘わせるつもりなんかない。召喚させる時に、そう約束をさせている。闘う事を強要するなって。同じ様に、力を貰っているとは思うけど、そんな事をさせる為に呼んでもらった訳じゃないからね。俺一人だけで充分だから」

「でも、同じように、闘えるんでしょ?すぐには無理でも、段階を踏んでレベルをあげれば、月夜の手助けくらいは、できるようになるよね」

「俺は葵ちゃんに、危ない事なんかして欲しくない。ただ傍にいて欲しいだけなんだ。癒して欲しいだけなんだ」

「月夜・・・僕は嫌だよ。月夜を、一人だけで闘わせるなんて。安全な所で、月夜が無事に戻ってくるのを、心配しながら待っているだけなんて。そんなの・・辛すぎるよ。考えただけで胃が痛くなる」

眉根を寄せて、本当に辛そうにそんな事を言う。

闘わせたくない。

でも、ここまで言ってくれるのは、正直、嬉しい。

葵ちゃんが強くなるのはいい。

自分の身を守る為。

俺が傍にいない時、何かあっても、傷つけられないように。

でも、積極的に、討伐に参加させたい訳じゃない。

刀で切りつければ、血が飛び散り、内臓も飛び出る。

ゲームのように、ドロップ品を残して、跡形もなく消えるわけでもない。

そんなのに、なれて欲しくはない。

俺の我侭で呼び寄せたのだから、日本にいたら、経験する事なんてない、魔物とはいえ、生物を殺すという行為を、感覚を、葵ちゃんには味あわせたくない。

そう思ってはいけないのだろうか・・・



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