何で僕を?

大器晩成らしい

文字の大きさ
104 / 358

103

しおりを挟む
召喚が再び行われ、成功した事を知ったのは、つい昨日の事。


カルサイト王太子補佐官が、兄上からの言葉を伝えに来てくれ、そこで初めて知る事ができた。

『月夜殿が、新しく召喚された者を紹介するから、同席するように』との事だった。

兄上は、召喚時に立ち会われていて、その方と、会話も交わしたらしい。

「補佐官も、お会いになられたのですか?」

「いいえ、王太子が召喚を見に行かれている間、どんどん溜まっていく書類をそのままにもできず、代理で出来る書類だけでもと思い、捌いておりましたので」

なんだろう、黒い圧を感じる。

「兄上が申し訳ない」

兄上は好奇心が旺盛で、少し、子供っぽい所はあるが、頭の回転は速く、やる時はやるタイプだ。

その気になれば、直ぐにでも仕事を終わらす事ができる程、優秀なのに、やる気にムラがあるから、いかにやる気にさせるかに、この補佐官は頭を悩ませているようだ・・・

補佐官が優秀すぎるのがいけないのかもしれない。

安心して任せる事ができるから、平然とサボっているのでは?

「ただ、かなり気に入られたようですよ(淡い初恋ですかね、恐らく)」

「そうなのですか?どのような方なのでしょう?私も、お会いするのが楽しみです」


初め、昼だと言われていた予定が、理由は分からないのだが夕刻に変わり、また変わるのではと思いながらも、指定された場所へと向かう。

父上はまだ来られていなかったが、メンバーを見て、各長を呼んだのだと認識。

「騎士団長がまだ来ていないみたいですね。私が最後かと思い焦りました」

「「あっ」」

宰相と、兄上が同時に声を上げましたが、何の「あっ」でしょう。

まさかの、呼び忘れ、タイミング悪く、今日、明日、明後日と休暇を取って、朝から旅行へ行かれてしまったらしい。

まぁ、今日しか会えないって訳じゃないでしょうし、その内、会えるでしょう。

たぶん。

父上が入られ、私達を見て一瞬、えって顔をされたけど、何でしょう?

私達が同席するのは、予想外って事ですか?

思わず、兄上の顔を見ましたが、見事なすまし顔で、スルーされただけでした。


コンコン

ノックの音が響き、月夜殿達が来られたのを告げられ、そちらを注目すれば、扉を開け入ってくるなり、兄上達を見て、何故か、とても嫌そうな顔をしながらも、後ろに居る方の肩を抱いて、そっと前へ出るようにと促がしていた。

・・・うわ~、可愛い。

月夜殿がこちらの者に、見向きもしなかった理由が、よ~く解かりました。

兄上がとても嬉しそうな顔をし、それを見た月夜殿が不機嫌になっていく理由も、ついでに解かった気がします。


私より背が低く、華奢で、とてもじゃないけど、戦いになんて送り出せそうにない、容姿。

何歳なのでしょう。

私より下でしょうか?

でも、召喚されてきた人は、そこらに居る騎士達より、ステータスが高くなる、と言われていますが、本当でしょうか?

月夜殿と違って、話し易そうですし、訊いたら教えてくれるでしょうか。


「アンバー・オー・アブソラーノと言います。どうぞ仲良くしてください」





*ちなみに、王太子は23歳、第2王子は13歳、歳の離れた兄弟です。



しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ
BL
 神の家でステンドグラスを作っていた俺は地上に落とされた。俺の出来る事は硝子細工だけなのに。  硝子じゃお腹も膨れない!硝子じゃ魔物は倒せない!どうする、俺?!  設定はふんわりしております。 少し痛々しい。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

聖獣は黒髪の青年に愛を誓う

午後野つばな
BL
稀覯本店で働くセスは、孤独な日々を送っていた。 ある日、鳥に襲われていた仔犬を助け、アシュリーと名づける。 だが、アシュリーただの犬ではなく、稀少とされる獣人の子どもだった。 全身で自分への愛情を表現するアシュリーとの日々は、灰色だったセスの日々を変える。 やがてトーマスと名乗る旅人の出現をきっかけに、アシュリーは美しい青年の姿へと変化するが……。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

処理中です...