何で僕を?

大器晩成らしい

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街中をゆっくりと歩かせ、欅亭という名の宿屋の前で、馬車が止まった。

「月夜様、空き室があるか、確認に行ってまいります」

そう言うと、ラピスさんは御者席から降り、宿屋の中へと入って行った。

ラピスさんが戻ってくるまでの間、チュッチュ、チュッチュと、月夜からのキスを、受け続けていた。

モカにされた分だって。

モカは月夜から、無事、取り返してある。

僕の手に、感謝のスリスリをしているのを呆っと見ながら、月夜が気が済むまで、放っておく事にした。


コンコン

「開けて宜しいですか?」

「ああ」

カチャッ

「失礼します。手続きをしてきましたので、どうぞ、お降り下さい」

「ありがとう」

ローブを羽織り、フードを深くかぶる。

モカを肩に乗せ、月夜に支えられながら、自分で馬車から降りた。

抱き上げられてばかりじゃ、身体が鈍るからね。

俺の楽しみがどうのこうの、ぶつぶつ言ってたけど、一緒に闘う為にも、体力は必須だからね。


馬を馬房に入れた後、宿屋の中へ。

ラピスさんに続いて階段を上り、最上階の一番奥の部屋の鍵を開けた。

またしても、宿で一番いいお部屋。

冒険者は、ここしか空いていないとしても、まず泊まらないような、お高いお部屋らしい。

でも月夜は、僕にゆっくりお風呂に浸かって貰いたいからって言って、そういう部屋を取るよう、旅行に出る前に、指示をしていたみたい。

〝普通の部屋でもいいよ〟って、ラピスさんに言ったら、こそっと教えてくれた。

月夜のそんな気遣いが嬉しくて、ラピスさんが傍に居たけど、思わず、月夜に抱きついて、自分からキスをしちゃった。

「どうしたの?俺はいつでもWelcomeだけど」

って、とても嬉しそうに笑いながら、きつく抱き締められた。




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